JR東日本仙台支社は17日、磐越西線郡山~会津若松間で導入する指定席車両の報道公開・試乗会を実施した。2月22日から3月13日まで乗車券のみで利用できる自由席期間とし、3月14日から快速「あいづ」として1日3往復の運転を予定している。

  • 指定席車両を連結したE721系が会津若松駅に(写真:マイナビニュース)

    指定席車両を連結したE721系が会津若松駅1番線ホームに入線

磐越西線の指定席着席サービスは、福島県と会津若松市、JR東日本の3者が昨年3月に締結した「会津若松駅前広場の整備等を起点とした会津地域の観光振興等に関する包括連携協定」の一環で導入される。

2両編成のE721系1編成を使用し、郡山方の車両(クハE720-12)の約半分を半個室空間とした上で、リクライニングシートを14席(うち1席は車いす対応座席)設けた。座席の前後間隔は960mmとされ、リクライニングシートのデザインは「リゾートしらかみ」の車両(HB-E300系)をベースにしているとの説明も。コンセントは設置されていない。指定席の位置がわかりやすいように、外観も一部変更され、ドア横や窓下に「指定席」と記したほか、鶴ヶ城の桜をイメージしたという花柄のデザインを施した。

  • 指定席の位置がわかりやすいように外観デザインも一部変更。地元中学生たちも見学に訪れた

  • 1両の約半分を使用し、リクライニングシートを配置。全14席のうち1席は車いす対応座席

報道公開・試乗会では、指定席車両を連結したE721系が12時20分頃、会津若松駅1番線ホームに入線。地元の中学生たちも見学に訪れ、ひと足早くリクライニングシートに着席する場面も見られた。報道関係者・地元関係者らを乗せた試乗会の列車は12時46分、会津若松駅を発車。車内において、地域と連携した会津の魅力発信も行うとのことで、指定席の背面ポケットに地元観光パンフレットが用意され、周囲の中吊りやドア横・窓上の広告スペースにも観光情報ポスターが集中的に掲出されていた。

列車は磐越西線を走行し、猪苗代駅で20分以上停車した後、折り返して会津若松駅へ。車内では地元関係者らがリクライニングシートに座り、乗り心地を確かめていた様子だった。会津若松駅には14時25分に到着。その後、JR東日本仙台支社運輸車両部設計課長の中神匡人氏が取材に応じ、試乗会を終えての感想を「安堵しています。快適にご利用いただけるのではないかとの感触を得ました」とコメントした。

  • 指定席の背面シートに地元観光パンフレットを入れ、観光情報ポスターも掲出。地元関係者らも指定席に座り、車内でのひとときを楽しんでいた

中神氏は指定席車両の特徴を「シートのクッション性をはじめ、快適さを求めています。暖色系のデザインで、ゆったり過ごせることをめざしました」と説明。想定される利用者層として、「観光で会津へ来られる方々を中心に、平日はビジネスで利用される方々も対象としています」と話し、「『あらかじめ席を確保したい』との要望は以前からいただいていました。新幹線から乗り換えるお客様も予定が立てやすく、利用しやすくなり、全体として福島県、会津地方に来られる方が増えてくれたらありがたいと考えています。地域の皆様にも愛される列車になることを期待しています」と語った。

指定席車両を連結したE721系は2月22日から運転開始し、3月13日までは自由席期間として1日3往復運転する予定。期間中は指定席車両も乗車券のみで利用できる。3月14日のダイヤ改正に合わせて指定席着席サービスが導入され、郡山~会津若松間の快速「あいづ」を1日3往復運転。乗車券の他に指定席券が必要で、指定席料金は530円(閑散期330円)。報道公開・試乗会が行われた2月17日の時点で、3月14日の指定席券は下り3本・上り3本とも完売したが、3月15日以降は若干残りがあるとのことだった。

磐越西線への指定席着席サービス導入にともない、3月14日に会津若松駅1番線ホームで記念セレモニーを開催。地元中学校の美術部がデザインを考案した記念ヘッドマークがお披露目され、5月31日まで記念ヘッドマークを掲出して運転する。なお、指定席車両を連結したE721系は4月13~17日に車両メンテナンスを行うため、この期間に運転される快速「あいづ」は自由席のみ(4月17日の「あいづ5号」は除く)となる。

  • E721系の指定席車両(クハE720-12)の車内・外観