長谷川博己が戦国武将・明智光秀を演じる2020年NHK大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜20:00~)がきょう19日にスタートする。大河ドラマ第29作『太平記』(91)を手掛けた池端俊策によるオリジナル脚本で描く本作は、若き明智光秀をはじめ、織田信長、斎藤道三、今川義元、豊臣秀吉、徳川家康など、戦国武将たちが群雄割拠した時代をドラマチックに描く。

■動物のキリンではなく、聖なる獣“麒麟”

『麒麟がくる』

『麒麟がくる』メインビジュアル

戦国大河は、主人公をタイトルに用いることも多いが、本作のタイトルは『麒麟がくる』。“麒麟”はここでは、実在する動物のキリンではなく、「王が仁のある政治を行う時に必ず現れるという聖なる獣」のこと。番組公式サイトには「応仁の乱後の荒廃した世を立て直し、民を飢えや戦乱の苦しみから解放してくれるのは、誰なのか…そして、麒麟はいつ、来るのか?」「麒麟は一体、どの英雄の頭上に現れるのか…」と記されている。

落合チーフ・プロデューサーは「麒麟のモチーフを持ちかけたのは池端さんですが、『すごくいいですね』という話になり、タイトルに使うことになりました」とタイトルに決定した経緯を説明。「我々としては、誰かが革命的なことをしたから今がある的なドラマにはしたくなくて。その時代にどういう人間が動いたかという大きな群像劇をやりたかったので、個人名をタイトルに入れたくなかったんです」と語った。

■麒麟は平和の象徴「穏やかな国にやってくる」

このタイトルに、美濃の守護代で光秀の主君・斎藤道三(利政)を演じる本木雅弘は強く惹かれたという。道三の人物像がわかる『国盗り物語』のセリフなどをまとめた自身のノートを見ながら、“麒麟”について調べた結果を楽しそうに話してくれた。

本木は「オファーをいただいたときに、『麒麟がくる』というタイトルの響きがとても素敵だなと思った」と言い、「第1回の最後に、ある方の『麒麟というのは穏やかな国にやってくる不思議な生き物だよ』というセリフがあって、すごくロマンがあるなと思った。それで『麒麟』を調べたら、中国の古い書物によれば仰る通り、『仁の心を持った君主が生まれたときに姿を現す一角の霊獣。角は肉で覆われていていかなる命も傷つけない』と書いてあった。『仁』は、他人に対する親愛や優しさという意味で、そういう心を持った君主が生まれたら平和がやってくる」と説明した。

そして、「これは普遍的な、どの時代になっても誰もが願っていること。現代は複雑で答えの出にくい世の中になっていますが、昔も今も誰もが願う平和の姿をこの物語でも追求したいという意思表示にも思えて、音もいいし、字もきれいだし、おまじないのように唱えたいタイトルだなと(笑)。勝手ながら、これになら乗れるという気がしています」と笑顔を見せた。

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■本木雅弘
1965年12月21日生まれ、埼玉県出身。元シブがき隊のメンバーで、1988年に解散した後、本格的に俳優活動を開始。映画『シコふんじゃった。』(1998)では日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。2008年には、自らが発案し、主演を務めた映画『おくりびと』が日本映画史上初となる米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した。そのほか、ドラマ『西遊記』(日本テレビ/1993)、『水曜日の情事』(フジテレビ/2001)、NHK大河ドラマ『徳川慶喜』(1998)、NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』(2009~2011)、映画『トキワ荘の青春』(1996)、『永い言い訳』(2016)などに出演。

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