――生徒役の出演者の皆さんの魅力を教えてください。

今回はほとんど初めての方たちだったんですけど、みんなすごく良かったですね。大好きです(笑)。大島優子さん(=楠本しのぶ役)は本当によくしゃべるんですけど、まあまあ年長者として皆をまとめてくれて(笑)。アイドルで歌ってた?なんてところを全く感じさせないしっかりした芝居をする役者でした。

川口春奈さん(=菱沼羽津希役)にもびっくりしました。自他ともに認める運動音痴なんですけど(笑)、芝居はすごく器用という稀有な女優さんでしたね。彼女しかできないセリフの言い方を持っています。

  • 川口春奈 (C)フジテレビ

三浦翔平君(=日下部准役)はみんなをまとめてくれて助かりました。彼の、イケメンだけではない、泣き叫んだりカッコ悪かったりする部分が良かったなと思います。あと、井之脇(海)君(=南原哲久役)もすごく良かったですね。顔がキレイです(笑)。女性スタッフ陣のウケもすごく良くて、今の顔なんでしょうね(笑)

  • 三浦翔平 (C)フジテレビ

味方(良介)君(=都築耀太役)と村井(良大)君(=石山広平役)は、どちらも舞台では超注目されている若手俳優です。味方君は舞台を見てオファーしました。これまで何十年も監督をやって来て初めてです。そのくらい、都築という役は味方君しかいなかったですね。都築はみんなとは違うスタンスで、ある意味風間に対してもキーを握る存在なんですけど、それに十分応えてくれたし、舞台で見たときに「こいつ面白いな」と思ったものがそのまま良い感じに出ていました。風間とのバランスも良かったですしね。

村井君も、舞台を見てお願いしました。彼がやることによって、ずいぶん石山という役が広がりました。ムードメーカーとしてクラス全体も引っ張ってくれました。

  • 味方良介 (C)フジテレビ

工藤(阿須加)君(=宮坂定役)はね、今どきあんなピュアな青年がいるんだと思ってびっくりしました。だけどもっと性格が悪くならないといい役者にはならないと思います(笑)。人が良くて素直で、いつも不安そうで、何か達成しても次は大丈夫かな?って思うタイプがまさに定っていうキャラそのもので、最初に会ったときに「どうしたらいいんでしょうか」って言われたんだけど、そのままやってくれと言いました。

  • 工藤阿須加 (C)フジテレビ

葵わかな(=岸川沙織役)さんもテレビとかで見る印象よりしっかりしていてカンがすごく良かったですし、富田望生さん(=枝元佑奈役)も、まさにハマり役、泣ける泣かせる女優です。西畑(大吾)君(=樫村卓実役)もこれまたアイドルとは思えない、普通に役者でした(笑)。アップの顔がすごく良かったです。キャスティングでこれは失敗したかもっていうのが誰1人もいなかったですね。

  • 川口春奈(左)と富田望生 (C)フジテレビ

■“新生木村拓哉”が見られる

――では最後に、見どころを教えてください。

オールスターキャストで、旬の俳優たちが、それぞれが表と裏の顔を見せるので、見たことない魅力が出ていると思います。君塚さんの脚本がしっかりしているので、どんどん話がつながっていく楽しさがある、最近見ないドラマだなと思います。

前編はハードな仕上がりでしたが、後編は友情や恋模様もあって、最後にみんなで卒業できるのか…という話になるので、前・後編見え方が違う、見応えのある作品になっていると思います。あと、木村さんが舞台あいさつで言っていたように、見終わった後、警察官の皆さんの見え方がちょっと変わるはずです。交番に立っている「お巡りさん」が、みんなああいう訓練をしていたのかと思うと、すごくリスペクトできるし、感謝したくなります。

何より、ここまでダークヒーローをやる木村拓哉って見たことがなかったですけど、やってみたらやっぱりカッコいいし、いまこの歳になって白髪も似合うし、“新生木村拓哉”を見ることができるドラマになっていると思います。そこを楽しんでもらいたいですね。

  • 川口春奈(左)と味方良介 (C)フジテレビ

●中江 功
1963年生まれ。法政大学卒業後、88年にフジテレビジョン入社。これまで演出を手掛けた主な作品は『愛という名のもとに』『ひとつ屋根の下』『若者のすべて』『ピュア』『ギフト』『眠れる森』『空から降る一億の星』『Dr.コトー診療所』『プライド』『ようこそ、わが家へ』など。映画『冷静と情熱のあいだ』『シュガー&スパイス 風味絶佳』『ロック ~わんこの島~』の監督も務める。