現在、日本・台湾で約30もの動画配信サービスにて配信されている時代劇アクション映画『BLACKFOX:Age of the Ninja』(主演:山本千尋、監督:坂本浩一)の特別上映イベントが12月16日に新宿バルト9にて行われた。

ステージには、主演の山本千尋をはじめとする主要キャストが勢ぞろいし、坂本浩一監督と共にファンをも巻き込んだ大盛り上がりの"お祭り騒ぎ"的なトークが繰り広げられた。ここではイベントのもようと、終了後に実施された坂本監督、山本千尋、矢島舞美によるミニインタビューをお届けしよう。

  • 狐(FOX)を模したハンドサインで決めた登壇者の面々。上段左から、中村浩二、宮原華音、出合正幸、島津健太郎、下段左から、坂本浩一監督、矢島舞美、山本千尋、大久保桜子、久保田悠来

『BLACKFOX:Age of the Ninja』とは、10月に劇場公開されたアニメーション映画『BLACKFOX』の連動企画として作られた実写映画のこと。アニメ版が科学技術の発達した近未来を舞台にしたSF忍者アクションヒロイン作品であるのに対して、本作はその"先祖"にあたるヒロイン・石動律花(演:山本千尋)が活躍する本格的な時代劇アクション映画となった。

配信開始以来、熱烈な『BLACKFOX』ファンからのエネルギッシュな応援を受け、10月19日には京都国際映画祭で、12月1日には第29回映画祭TAMA CINEMA FORUMで、12月13、14日には台湾の劇場で上映イベントが開催されて、いずれも大好評をもって受け入れられた。16日は上映イベントの最後ということもあって主要キャストが勢ぞろいし、劇場につめかけたファンを大いに興奮させていた。

本作の主人公、"狐"と呼ばれる忍者一族「石動家」の跡取りだが、人の命を奪うことをよしとしない心の優しさを備える石動律花を演じる山本千尋。特撮ファンには『ウルトラマンジード』のヒロイン・中国武術を得意とする鳥羽ライハ役でおなじみ。

アメリカで『POWERRANGERS』シリーズの監督、アクション監督、プロデューサーを務め、日本でも『仮面ライダーフォーゼ』『獣電戦隊キョウリュウジャー』『ウルトラマンジード』など多数の特撮作品を手がけ、ダイナミックなアクション演出と魅力的なヒロイン描写などでファンからの熱烈な支持を得ている坂本浩一監督。坂本監督にとって本作は「時代劇」の本場・東映京都撮影所で取り組んだ初の作品となった。

根来衆に命を奪われた父・呂連(ろれん)の仇を取ってほしいと"狐"に依頼したのがきっかけとなり、律花と友だちになる美少女・宮(みや)を演じる矢島舞美はかつて「℃-ute」のメンバーとして絶大なる人気を博し、現在は女優として多方面で活躍中。

石動家で家事全般を務め、律花とも仲良しの明里咲(めりさ)を演じる大久保桜子は、『宇宙戦隊キュウレンジャー』でカメレオングリーン/ハミィを演じて子どもから大人まで幅広い層から好評を博した。

根来衆の1人で、朝鮮武術の使い手。特に蹴り技が得意なジンを演じるのは、『轟轟戦隊ボウケンジャー』のボウケンシルバー/高丘映士役などで知られる出合正幸。

根来衆一の怪力自慢で、驚くほどの大食漢。相撲技で周囲を圧倒する黒龍(こくりゅう)を演じる中村浩二は、『ウルトラマンティガ』『ウルトラマンダイナ』『ウルトラマンガイア』でスーツアクターを演じたほか、俳優として多くの作品で存在感を発揮している。

根来衆の斬りこみ隊長という位置づけのクールな女忍者で、琉球拳法の達人ウトを演じる宮原華音は、『仮面ライダーアマゾンズ』の駆除班・高井望役などハードなアクションをこなし、今後の活躍にも注目が集まっている。

大名・武羅土(演:石黒英雄)の名により、根来衆を率いて宮の身柄を確保しようと企む公儀見回り役・戸田重次を演じる久保田悠来は、『仮面ライダー鎧武』の仮面ライダー斬月/呉島貴虎役や、『宇宙戦隊キュウレンジャー』のスコルピオ役など、クールなキャラクターで人気の高い俳優。本作では山本と激しい剣での立ち回りに挑んでいる。

今は亡き律花の父で、心優しいカラクリ職人・亜廉を演じた島津健太郎は『獣電戦隊キョウリュウジャー』のジェントル、『モブサイコ100』の教祖エクボなど、坂本作品の出演が多い。

『BLACKFOX:Age of the Ninja』は「特撮時代劇」と銘打たれており、本格的時代劇アクション映画の中に「特撮キャラクター作品」を思わせる要素が見受けられる。律花が父の残した仮面や防具を身に着けて、狐を思わせる"仮面の忍者"に変身するシーンなどがそれにあたるが、MC(笠井信輔氏)から坂本監督に、律花の変身についてどのように表現したかったのか質問が飛んだ。

坂本監督は「戦いに臨む戦士ということなので、『ランボー』や『コマンドー』といったアクション映画で主人公が装備をひとつずつ装着したり、ハチマキをキュッと締めたりするカットをオマージュとして入れ込みました」と、80年代のスタローンやシュワルツェネッガーが主演したアクション映画への憧れを組み込んでいることを明かし、客席を大いに興奮させた。

根来衆の頭目で、中国武術を使う美女・白(ハク)を演じる藤岡麻美こそ不在ながら、せっかく根来衆が3人そろったので、それぞれファイティングポーズを披露することに。中村はどすこーい! の叫びと共に力士のかまえ、宮原は拳を強調した琉球拳法の決めポーズを見せたが、出合は「ゴーゴーチェンジャー!」とボウケンシルバーの変身モーションを行い、宮原から「ズルい!」とリアクションされていた。その直後、中村はウルトラマンガイアの戦闘ポーズを取り、会場の特撮ファンからの熱い拍手を浴びた。

やがてスクリーンには、3日前に開催された台湾での上映イベントの写真が映し出された。律花の必殺技「九尾烈風」にちなみ、台湾では9回も舞台挨拶が行なわれたという。台湾のイベントには坂本監督、山本、矢島、宮原、久保田の5人が出演。矢島は台湾でのファンの反応について「とてもあたたかくて、作品を思いっきり楽しんでいるのが伝わってきた」と、積極的に作品を楽しもうとする姿勢を喜んでいた。

続いて、マスコミ向けのフォトセッションが行われ、出演者が客席のほうへと移動した。そのまま山本はステージの反対方向にターンして、大勢のファンに向かって感謝のメッセージを贈っていたが、わずかな時間だけ久保田と出合、島津がステージ側を向き、とっておきのサービスポーズを提供してくれた。

イベント終了後、坂本監督、山本、矢島を囲んでのミニインタビューが行われた。

坂本監督はこれまで行われた京都、多摩、台湾でのトークイベントをふりかえり「どちらの劇場でも共通しているのは、ファンのみなさまのあたたかさです。作品はもちろんのこと、キャストみんなのことを愛してくださって、嬉しかったです」と笑顔で応えた。

山本は「私と監督は全イベント参加なんですけど、どの会場でもみなさんがあたたかく迎え入れてくださって、感謝しています。京都は私の映画デビュー作を撮ったところで、故郷に帰ってきたような気持ちでしたし、多摩では家族と話しているような(笑)アットホームなトークショーでした。台湾だとどうなんだろう?と最初は心配していましたが、私たち以上に作品を楽しまれている方が多くて、感激しました。日本のファンの方はシャイな部分がありますけど、台湾の方たちはどんどん参加していこう、という意識があるようで、私たちの緊張もほぐしてくれました。そして今終えた東京のイベントは、これまでの集大成という感じ。1年前の撮影開始のことが懐かしく思い出され、ファンのみなさまとの出会いに改めて感謝!です」と、大きな目を輝かせながら語った。

矢島は「台湾は6年ぶりに行きましたが、2日間で9回ものイベントをやるなんて、初めての経験。でも、やるからには楽しまないと!と思って臨みました。ファンの方々がとてもチャーミングで、やさしく迎え入れてくださったので、緊張なんて全然しなくてとても楽しむことができました。千尋ちゃんや久保田さんたちとは、台湾でずっと一緒にいたことで距離がぐっと縮まったと思います(笑)」と、作品を通じて共演者やファンとの交流が深まったことを明かした。

台湾と日本のファンでは、映画を観たときの反応は同じか?という質問に対して、坂本監督は「おかげさまで、台湾のみなさんもこの映画のアクションシーンをとても高く評価してくれました。台湾にはアジア圏での激しいアクションを売りにした映画がたくさん入ってきていますが、それらと比べても劣らない、みたいな感想をもらったときは喜びました」と、ハイレベルなアクションを目指した本作の内容が台湾のファンにも通じていたことに喜びを見せた。また「台湾にも日本の方と同じような特撮ファンがたくさんいて、ウルトラマンジードのTシャツを着ていたり、変身アイテムの玩具を持って来ていたりして、雰囲気がそれほど変わらないですね(笑)」と、国や言葉の垣根を超えた特撮作品、アクション作品の楽しさを実感するように語った。

矢島もまた「台湾には℃-uteのころから私のファンだという方もいて、映画を観たあとは千尋ちゃんやキャストみんなのファンになりました~なんてお話をされていました(笑)」など、アイドルファン、特撮ファン同士の交流があったことを伝えてくれた。

山本は「日本から台湾のイベントに来てくださった方や、逆に台湾から今回の(東京の)イベントに来られた方がいたそうです。声援もすごくて、熱かったです!」と、今回のファンの熱気のすごさを改めてふりかえった。

イベントでも話題に出た、ファンとしては気になる「パート2」の製作について、坂本監督は「今回の映画はキャラクターの登場編にあたり、律花がBLACKFOXになるまでが描かれています。今後、明里咲にも何か秘密があるみたいですし、宮も律花の仲間になって、物語はやっとスタート地点に立った状態です。この先、アニメ版とも連動しながら時代劇版もどういうストーリーを作っていったらいいか、いろいろと構想を膨らませています。あとは、ファンのみなさんの応援を受けて、製作のOKサインさえ出れば……」と、すでにシリーズ化への戦略を着々と練っている状態だと語った。

最後に山本は「日本だけでなく、広く全世界に向けて"推して参る"作品だと思いますし、ぜひそうなってほしいですので、ファンのみなさまにはぜひ『BLACKFOX:Age of the Ninja』をこれからも応援していただき、続編シリーズが実現することを願っています!」と、「時代劇」と「特撮」と「アクションヒロイン」といった魅力的な要素が合体した本作を今まで以上に多くの人たちに観てもらい、好きになってもらいたいという意欲を燃やした。