家探しには労力もお金もかかります。購入はもちろん、賃貸でも家賃は相当な負担であるはずです。そろそろマイホームがほしい、結婚するので新居を探す、手狭になったので引っ越したい、大学に入学した、転勤の辞令がおりたなど新しく住まいを探す際に、安くて便利な家を探すにはどのようにしたらよいでしょうか。

  • 12月は家探しにオススメの時期って知っていた? 専門家が解説

    12月は家探しにオススメの時期って知っていた? 専門家が解説

人の移動の時期はいつ?

人の移動が多いのは何月でしょうか。当然、入学や入社など新生活がスタートするのは4月です。研修などは、3月後半からスタートするケースもあるでしょう。新たな人員配置も4月に合わせて行われるはずです。つまり3月後半が最も多い移動時期なのです。

では転勤の辞令はいつ行われるのが最も多いのでしょうか。3月にはすでに赴任して、新しい任地で仕事に慣れ始める必要があるでしょう。それ以前に引継ぎなどで、出張も多くなります。家庭を持っている人にとっては、子どもたちの転校なども考えなければなりません。また単身赴任すべきかなどの決断も必要です。準備に数カ月はかかるでしょう。そのために12月に辞令ということもあります。それならばお正月にゆっくり考えられます。

一方、大学の試験結果がわかるのはいつでしょうか。推薦入学は11月下旬から12月上旬に結果が発表されます。一般入試の合格発表は、私立は2月中旬、国公立は3月初めから月末にかけて行われます。

つまり1月からはジワジワと新居の需要が高まっていくのです。

「12月」は先手必勝! の月

家探しの難しさは、対象が「学生や単身者向けなのか」「会社員の家族向けなのか」で異なってきます。学生や単身者であれば、いずれ住み替えも想定され、また物件も多く、さほど家探しに苦労しないとは思います。一方、世帯向けであれば、賃貸であっても購入であっても、子どもの教育や育児環境などを慎重に考える必要があり、家探しは簡単ではありません。

辞令が出たり、会社が移転になったりしたら、直ちに行動開始する必要があります。1月になると動きが早くなりますので、12月中に探すのが賢明です。1月から3月は物件数も多くなりますが、競争も激しくなります。良い物件から次々と成約されていくでしょう。出遅れないためには12月中にリサーチし、希望事項をしっかり不動産業者に伝えておきましょう。

12月中に希望の物件を探し出せなくても、1月以降になれば物件数も増えます。良い物件をいち早く教えてもらうことと、情報を得たら直ちに決断できるようにしておくことが、良い物件を確実に手に入れるためのポイントです。

ゆっくり探すのであれば「5~8月」!

大学の入学が決まった、転勤の辞令が下りたなどイレギュラーな時期に転居を行う場合は、1月~3月は避けましょう。人の移動が多く、よい物件は早々に無くなります。素早い判断も求められ、慌てて失敗するリスクも高まります。不動産業者も忙しく、親身に相談にのってくれないかもしれません。引っ越し業者も忙しく、希望日に空きがなかったり、割高になったりすることもあるかもしれません。

それでは何時が適切でしょうか。4月もまだ移動が続きます。また年度の後半10月にも移動がある場合もあります。それに対する動きが9月にあるかもしれません。そうなると5月から8月の間がゆっくり家探しする最適時期ということになます。この時期に集中して家探しを行いましょう。

物件数こそ少なくはなりますが、急な転勤や結婚などで転居するケースもあり、思いがけない掘り出し物に出会えるかもしれません。最適物件でも家賃が少し高い時などは、閑散期であれば交渉の余地もあります。多くの人が住まいを探す冬場であれば、交渉している間に他の入居者が決まってしまうでしょう。

オフシーズン期間に見つからなくても、不動産業者と懇意になれば、12月以降に空きがあった場合、いち早く優先的に良い物件を紹介してくれるかもしれません。

引っ越し前に「プレ家探し」を! 地域リサーチの重要性

「突然転居しなければならなくなった」というケースもあるでしょうが、大学入学や就職など事前に転居を予測できる場合も少なくありません。家探しまでに時間があるのであれば、これから住む場所をじっくり考えてみましょう。これも家探しの一環です。

例えば、通勤・通学や親の住まいの近くといった利点を考慮した地域選び、家賃の相場、教育や公園の有無といった育児に関わる環境状況、犯罪の有無……など、地域の選択はさまざまなことを踏まえながら選ぶ必要があります。

このほか、災害にも留意しましょう。何よりも子どもの命が大切です。地震やそれによる火災、河川の氾濫や下水管からの逆流、崖崩れ、津波など、日本は災害が多い国です。首都圏直下型地震が予測されている首都圏での子育てリスクを、親はしっかり把握しなければならないと、最近つくづく思います。私が育ったエリアも、昔は広い原っぱがあり、畑もありましたが、当然ながら現在それらはすべて姿を消しました。子どものためにも、少しでも安全なところを選びたいものです。時間をかけて丹念にリサーチください。

また地方から都市部へ就学や就職で転居する方の中には、自分の拠点は育った地方であり、都市部での住まいは"仮住まい"的なイメージで考えている方が少なくありません。しかしその考えは大いなる損失のように思います。独身時代から、性に合った地域で人脈を築いていく方が、どれだけその後の人生が豊かになるかわかりません。子どもが生まれれば、子どもにとってその地域が故郷となり、親から人脈を受け継ぐことができるのです。