米労働省が2019年12月6日に発表した11月雇用統計の主な結果は、(1)非農業部門雇用者数26.6万人増、(2)失業率3.5%、(3)平均時給28.29ドル(前月比±0.2%、前年比3.1%増)という内容であった。

(1)11月の米非農業部門雇用者数は前月比26.6万人増となり、増加幅は市場予想の18.0万人を上回った。大手自動車ゼネラルモーターズ(GM)のストライキが終結し、労働者が職場復帰を果たした影響で製造業の雇用者が5.4万人増加したほか、幅広い業種で雇用が増加した。なお、9月分と10月分の上方改定もあって非農業部門雇用者数の3カ月平均は20.5万人となり、10カ月ぶりに20万の大台に乗せた。

(2)11月の米失業率は3.5%に低下し、9月に記録した1969年12月以来の低水準に並んだ。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は63.2%となり、6年ぶりの高水準だった10月から0.1ポイント低下した。また、フルタイムの就職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)は前月から0.1ポイント低下して6.9%となった。

(3)11月の米平均時給は28.29ドルとなり、前月から0.07ドル=7セント増加。伸び率は前月比+0.2%、前年比+3.1%であった。10月分(前月分)が28.22ドルへ3セント上方修正されたことから前月比では市場予想(+0.3%)に届かなかったが、前年比では予想以上の伸びを示した。なお、前年比の伸びは16カ月連続で3%超となっている。

米11月雇用統計の結果は、米中間の貿易を巡る対立が深まったにもかかわらず米経済が堅調を維持していることを示す内容だった。そうした見方に沿って6日のNY市場では米国株とともにドルが上昇した。ただ、ドル/円については雇用統計の好結果による上昇を維持できずに小反落した。米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長が、米中は通商合意に近付いているとしながらも、合意がまとまらない場合は対中関税を予定通り12月15日に発動するとの考えを示したことで円が強含んだためと見られる。足元のドル/円相場が、米国の経済情勢よりも米中通商協議の行方に焦点を向けていることが窺える動きであった。