外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏が2019年11月の為替相場レビューと、今後注目の経済指標やイベントをもとにした今後の相場展望をお届けする。

【ユーロ/円 11月の推移】

11月のユーロ/円相場は119.251~121.296円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.1%の小幅高(ユーロ高・円安)となった。「ほぼ横ばい」と言っても差し支えない展開で、月間の値幅も2円程度に留まる小動きだった。

11月のユーロは独自材料に乏しく、「合意なき英国の欧州連合(EU)離脱」の可能性が低下したポンドや、米経済指標に良好な結果が目立ったドルに対して下落した一方、豪中銀(RBA)の利下げ観測などが重しとなった豪ドルに対しては上昇するなどマチマチの動きであり、ユーロ/円も総じて方向感に乏しい値動きだった。

【ユーロ/円 12月の見通し】

12月のユーロ相場は、11月に続き方向感を欠く展開となりそうだ。域内最大の大国ドイツを中心に、製造業企業の景況感が底入れしつつある点や、財政拡張への期待が高まっていることなどから欧州中銀(ECB)の追加緩和期待は後退している。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る不透明感が後退していることもユーロの支援材料だ。

ただし、米ドルの上昇がユーロ相場にとって最大の重しとなる構図にも変化はなさそうだ。米国景気が底堅く推移する中、連邦準備制度理事会(FRB)は利下げ休止を明確に打ち出しており、「年末のドル需要」も相まって米ドルが全面的に下落する展開は想定しづらい。ユーロ/ドルの上昇が見込みにくい中では、円安主導でのユーロ/円の上昇も期待しにくい。

12月のユーロ/円相場は「下値は堅いが上値も重い」展開が見込まれる。11月安値の119.25円前後が下値支持となる公算の一方、12月中に122.00円前後への下降が想定される52週移動平均線が上値抵抗となりそうだ。

【12月のユーロ圏注目イベント】