人気音楽コンテンツの舞台『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage - track.1-が11月15日より、東京・品川プリンスホテル ステラボールにて上演され、1日に千秋楽を迎えた。
『ヒプノシスマイク』はキングレコード EVIL LINE RECORDS が手掛け、音楽原作キャラクターラッププロジェクトとして2017年9月に始動。当時無名だったプロジェクトにも関わらず、第1弾ミュージックビデオが公開直後にYouTube 急上昇ランキングにランクインするや否や、その斬新な世界観や楽曲のクオリティの高さから瞬く間に音楽シーンを席巻した。HIP HOP界の有名アーティストも作詞・作曲を手掛けたCDは常に音楽ランキングTOP10にランクインしている。
楽曲「ヒプノシスマイク -Division Battle Anthem-」は2019年11月現在で3200万回もの再生数を誇り、情報が発表される度にTwitterのトレンドを席巻するなど大きな話題に。現在イケブクロ・ヨコハマ・シブヤ・シンジュク、そして新たに加わったオオサカ・ナゴヤと6つのチームが盛り上げている。
舞台化第1弾となった今回は、イケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!“と、ヨコハマ・ディビジョン“MAD TRIGGER CREW“を中心に展開する。キャストはイケブクロ・ディビジョン代表チーム“Buster Bros!!!“の山田一郎役に高野洸(あきら)、山田二郎役に松田昇大 、山田三郎役に秋嶋隆斗が決定。対するヨコハマ・ディビジョン代表チーム“MADTRIGGERCREW“の碧棺左馬刻(あおひつぎ さまとき)役に阿部顕嵐(あらん)、入間銃兎(いるま じゅうと)役に水江建太、毒島メイソン理鶯役(ぶすじま めいそん りおう)にバーンズ勇気が揃った。さらに舞台オリジナルキャラクターとしてアカバネ・ディビジョン“North Bastard”が登場。堂庵和聖(どうあん かずさと)役の岸本勇太、狐久里梁山(こくり りょうざん)役の南部海人、蛇穴健栄(さらぎ けんえい)役の松浦司が登場した。初日を迎えると「最高に楽しかった!」「豪華すぎる」「ぶち上がった」といった感想がSNSにあふれ、上演回を増すごとに話題がふくらんでいった同作。今回は、ゲネプロのレポートとして、熱狂ポイントを紹介していく。
全編ラップが満載
第1幕はイケブクロ・ヨコハマ・アカバネの物語、第2幕はライブパートいう構成だが、どちらもラップ曲が満載に。上演前にはMCマエセツとMCチューイジコウと称した2人が現れ、客席とのコール&レスポンスで場を温める。さらに始まった瞬間から今作のテーマ曲ともいえる「Gimme The Mic」をキャスト全員で披露し、高まったテンションのままで物語が進んでいく。同曲は様々なアーティストに楽曲を提供し、カリスマラジオパーソナリティとしても名を馳せた井手コウジが手がけ、舞台オリジナルパートから、先に紹介した「ヒプノシスマイク -Division Battle Anthem-」につながっていくという、原作をリスペクトした楽曲となっている。
その後も“Buster Bros!!!”、“MAD TRIGGER CREW”それぞれの舞台オリジナル曲や、山田家の弟2人の喧嘩をポップに表した「兄弟喧嘩」、一郎と幼なじみのカズが心を通わせるバラード曲「2つの影」、一郎と左馬刻が心情をぶつけ合う「Red Thunder」など、1幕だけで10曲にも及ぶ曲が披露され、まるでラップによるミュージカルのように音楽に飲み込まれる構成に。曲中でキャストが客席を煽る場面もあり、ハンドサインを掲げ、声を出して盛り上がれるのも通常の舞台とはまた違った興奮を生み出した。第2幕ではさらにリングライトやライトブレスレッド、来場者特典の「ヒプマイホーン」を使い、より会場に一体感が生まれていた。
プロジェクションマッピング、世界的ダンサーによる演出
観客の目を奪ったのが、ステージだけでなく会場内の壁まで使ったプロジェクションマッピングの演出。場面によって街並みを表したり、スピーカーを表したり、夜空が会場全体に広がったりと、物語への没入感を高めていく。また舞台上でもスクリーンを駆使し、ヒプノシスマイクを使うと現れる「ヒプノシススピーカー」も再現する。
舞台をパフォーマンス面から盛り上げたのが、「ディビジョン・ダンス・バトル“D.D.B”」と称されたダンサーたちだ。世界タイトル保持者、シルク・ドゥ・ソレイユ登録ダンサーらが集まり、ラップで対決するキャストたちと一緒にダンスで物語を表現していく。LEDスーツでのパフォーマンスや、2幕のライブパートでのソロパフォーマンスなどが繰り広げられ、よりぜいたくな空間となった。
俳優陣の魅力が炸裂
そしてもちろん、メインキャスト陣も炸裂。“Buster Bros!!!”山田一郎を演じた高野は、圧倒的主人公感により登場するだけで場が明るくなる陽の魅力を見せる。すらりとした長身が目を引く二郎役の松田、生意気な天才中学生感に説得力をもたせていた秋嶋はともに舞台経験が少ないながら、今後の活躍を期待させた。
一方、“MAD TRIGGER CREW ”碧棺左馬刻役の阿部は妖しい陰の魅力で客席を惹きつける。2部のライブパートで客席に降りた時も、笑顔を見せないという徹底的な"キャラブレゼロ"っぷりも話題を呼ぶ。入間銃兎役の水江はビジュアルの説得力が随一で、役のテンションを使い分ける。低音ラップが特徴的な毒島メイソン理鶯役のバーンズだが、キュートな一面も見せ会場の笑いを誘っていた。
最後に、舞台オリジナルチーム・“North Bastard”のキャラクターを演じた岸本、南部、松浦は、原作のキャラクターがないという状態ながらも、ラップとダンスの実力で場を支配。舞台ならではのオリジナルストーリーが成立したのは3人の力も大きく、令和現在壇蜜と清野とおるの結婚にも沸くアカバネの勢いを感じさせた。
同シリーズはすでに2020年春にシブヤ・ディビジョン“Fling Posse“とシンジュク・ディビジョン“麻天狼“を中心とした第2弾『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.2-の上演も決定。今後の展開にも注目となっている。