女優の常盤貴子と俳優の佐藤二朗が、フランス・カンヌで日本が誇る時代劇ドラマのプロモーションに立ち会った。世界初となる8K制作の時代劇『帰郷』(原作・藤沢周平、主演・仲代達矢/2020年1月 劇場公開予定、2月 時代劇専門チャンネルで放送予定)が、世界最大級の国際テレビコンテンツ見本市・MIPCOM(ミプコム、10月14日~17日)のワールドプレミア上映作品に日本初、アジア作品で唯一選ばれたからだ。

カンヌのレッドカーペットを歩き、ワールドプレミア上映で舞台あいさつを行った2人に、現地で作品に対する思いと世界展開の可能性を語ってもらった――。

  • 佐藤二朗(左)と常盤貴子

    佐藤二朗(左)と常盤貴子 写真:MICHEL JOHNER 360 MEDIAS

■仲代達矢主演&杉田成道監督に「ぜひ」

『帰郷』は、「自然と人々の共存」や「人間の死生観」をテーマにした作品。主人公・宇之吉(仲代)が30年の時を経て帰る故郷・木曾福島の地で出会う女性・おくみを常盤が、渡世人の栄次を佐藤が演じた。世界に通じる普遍的なストーリーとして評価され、今回、MIPCOMのワールドプレミアに選ばれた。

佐藤は作品に対して「何より仲代達矢さんという雲の上のような存在の方と、監督の杉田成道さんと初めてご一緒できる作品ということで『ぜひに』とお返事し、参加させてもらった経緯があります」と答え、常盤も「私も仲代達矢さんと杉田監督とご一緒できること、それから好きな藤沢周平作品ということで、ぜひやらせてもらいたいと思いました」と続けた。

■開き直って撮影に臨みました

同作は、時代劇専門チャンネルのオリジナル時代劇第20弾として、史上初の8K時代劇としてもカンヌで注目された。8K作品は高精細さが売りであるが、時には女優にとって悩ましいことでもある。すると常盤は「現場に入り、スタッフの方が『8Kだからね』とおっしゃるので『あ!そうだったの!?』と、気づきました…。企画書をいただいた段階でそこ(8K制作)を読み落としていたんですよね」と話し始めた。

佐藤がすかさず「まあまあ(8K制作であることは)書いてあったけどね。企画書の一番上に」とツッコミを入れて笑いに変えると、常盤はその時の心情を思い出しながら「だから後になって焦り始めました。どうすればいいのかと。急にバタバタしました。でも『しょうがない』と開き直って撮影に臨みましたが(笑)」という思いを抱いていたことを正直に語ってくれた。

  • 『帰郷』メインビジュアル

そして現地では期間中、MIPCOM会場に設営されたNHKの8Kシアターでも作品を披露する場が作られた際、常盤はいさぎよく伝えた。「もう40を超え、50に近い年齢です。どういう風に(8Kで)映っているのか、興味はあります。これは世界中の全ての女優の皆さんが思っていること。皆さんにも確認していただきたい」。

その上映後も会場に残っていた常盤に早速、出演交渉を試みる海外のプロデューサーの姿もみられた。上々の反応だ。