いよいよイベント当日! 出走スタート

では、いよいよ出走。9時に会場に集合し、9時半から順次スタートしていく。ということで集合時間の30分ほど前に到着したのだが、もうすでに大勢の人で賑わっており、スタート地点には長蛇の列が! スムーズに出発したいなら、なるべく早めに到着しておくのがベターだ。

  • 出走前点検を受け、スタート地点に向かう

  • スタート地点はかなりの行列。待ち時間を減らしたければ、なるべく早めに到着しておくのがおすすめ

ようやく自分たちの番となり、スタートの合図とともに出走! 大勢の人たちが手を振って見送ってくれる中、65kmの初ライドが開始した。晴天に恵まれて気温も心地よく、まさにサイクリング日和。のどかな田園風景の中をスーッと走り抜けるのは、めちゃくちゃ気持ちいい。

  • ついにスタート! 65kmのライドが幕開け!

信号待ちの間は、メンバーの誰もが口々に「ロードバイクはなんて快適な乗り物なんだろう」「東北はいいところだなぁ」「これは楽しすぎる」などなど喜々として話していた。みんな胸中は多幸感でいっぱい。これなら65㎞もハッピーに走りきれそうだ。

  • 青い空、のどかな緑……とても清々しいサイクリング日和となった

  • スタート直後は、車通りのある市街地を走る。この頃はまだ、みんな元気いっぱいだったが……

山、山、山……の強烈な坂道攻めに絶句

そんな幸せな時間もつかの間、スタートしてさほど経っていないタイミングで、目の前に険しい山が姿を現した。「山あいを走るので坂が多い」とは聞いていたのだが、こんなすぐにやってくるとは……。

  • おや、目の前にどんどん山が近づいてくるぞ……

まるで巨壁のような坂道が行く手を阻み、皆のペダルをこぐペースが一気に落ちる。これまでチャリ部長にくっついて2番手をわがもの顔で走っていたハリポタ子さんは「ムリーッ!」と顔をゆがめながら、最後方へと下って行った。

  • 写真では伝わりにくいが、なかなかの急斜面。ペダルをこぐペースがガタ落ち……

しかも、この山道が意外と長くて、上っても上っても坂が終わらないのだ。運動不足の身にはかなり堪える……。ただ、山の合間から眺望できる大海原は、とってもビューティフォー。見るたびに少しばかり疲れを忘れさせてくれる。

  • 疲れが吹き飛ぶほどキレイな大海原

  • なんとかペダルを進める面々。そして、消えたハリポタ子さん

へばりまくりの我らチームをよそに、熟練のサイクリストたちは、とても坂とは思えないスピードで「抜きます!」「隣、通ります!」と声がけをしながら、筆者たちを追い抜いていく。しかも「がんばってください!」「もう少しですよ!」と、励ましの言葉をかけてくれる人までいる。カッコいい……。

またもや「抜きます!」と女性の凛々しい声が聞こえ、ちらっとライダーを見てみると、なんと先ほど遥か後方へ下って行ったハリポタ子さんだった。どういうきっかけで火がついたのかはわからないが、かなり軽快なスピードで坂をかけ上っていく。「ハリポタ子さん、ゾーン入ってる」「え、あのゾーンな人ってハリポタ子さんなの!?」と、完全にキマッてるハリポタ子さんに誰もが驚いた。会社にいるときの気だるい雰囲気とは大違い。あまりのギャップにちょっと引いたぐらいだ。このように、メンバーの知られざる一面が垣間見られるのも、職場仲間と参加する醍醐味と言える。

  • ゾーン中のハリポタ子さん。どんどんライダーを追い抜いていく

  • 坂を上りきり、誇らしげなハリポタ子さん。ちなみに普段、このようなポーズをキメるタイプではない

「エイドステーション」という名の天国

長かった山道が終わり、山を下りきると目の前は海岸線。キレイな海で目を保養しながら少し進むと、最初のエイドステーションである「女川AS」に到着した。

  • 初のエイドステーション「女川AS」

  • みんな、われ先にと水分補給。エイドステーションでは、天然水やグリーンダカラなどが振舞われる

自転車を降りた瞬間、ドッと疲労感が……。駆け足で冷たいお茶や水で水分補給を済ませ、名物の「女川汁」をいただいたのだが、これが衝撃的にうまい。疲れている身体に優しい魚介ダシがしみわたってゆく。あぁ生き返った。

  • 旨すぎて涙がこぼれそうになった「女川汁」。地元の方々が作ってくれている

  • 女川汁をがっつく女子ふたり

エイドステーションのあるJRの女川駅前は、駅舎も駅前のショッピングモールも近隣の住宅も、すべてが真新しい。その真新しさからは、震災によって受けた被害がいかに大きかったのか窺い知れる。海が望める場所にキッチンカーがとまっており、タピオカドリンクなどのスイーツが売れているのだが、そのご主人も「この一帯は、震災のときにほぼすべて流されたんですよ」と話していた。また、「毎年、こうやって大勢のライダーさんが来てくれるのは嬉しいですね」と言っていたのが印象的であった。

  • 大勢のライダーでにぎわうエイドステーション

  • 震災で被害を受けた沿岸部は、今なお工事が進行中の場所も

そうして、しばし休憩をしていると、チャリ部長が「どう? 完走できそう?」と皆に声をかけた。しかし、みんな「うーん……」と浮かない表情。なぜかというと、まだここは"18km地点"という驚愕の事実を知ってしまったから。もう気持ち的にはゴール手前ぐらいだったが、まだ半分にも到達していないのだ……。しかし、とにかく先に進むしかない! そう自分を奮い立たせて、再び自転車にまたがった。

  • カメラを向けて反応してくれるのは、一番若い沼メガネちゃんだけ。他三人は、すでに疲労困憊だった

鬼のアップダウン! 山深い峠道の過酷ライド

結論から言うと、この女川AS~次の雄勝ASまでの道のりが、一番しんどかった気がする。坂道をゼェゼェ言いながら上りきると、下り坂。下りきると、また険しい上りの坂道……の繰り返し。最初の頃こそ、みんな「また坂!?」「つらいつらい!」とか笑いながら話していたのだが、進むにつれて無言に。きっと疲労感のピークだったのだろう。

  • 女川ASを出発後すぐに、またもや山道が……

とはいえ、いいこともある。マイナスイオンたっぷりな木漏れ日の中を進んでいく心地よさ、颯爽と駆け下りていく下り坂の爽快感、そして山の合あいから臨める大海原の景観! これはライダーじゃないと体感できないものばかり。めちゃくちゃしんどかったものの、それを上回るような充実感があるからこそ、ペダルをこぐ足が止まることはなかったんだと思う。

  • 山の中腹から臨む美しい海原と、チャリ部長

  • 海が眺望できるスポットは多々あり、そのたびにライダーたちは足を止めて景色を楽しんでいた

  • 景色を楽しむ余裕のない女子ふたり

これは余談なのだが、もう走り始めて随分経ったが、よく見ると前を走る沼メガネちゃんのスタイルが若干おかしいことにも気がついた。なぜか『レオン』のジャン・レノみたいな丸サングラスをかけ、ハーフパンツはヒョウ柄。職場ではビジッとフォーマルにキメているのに、今日は「ジャン・レノ×大阪のおばちゃん」コーデ。また職場仲間の知らない一面が見られた。

  • チャリ部長に励まされながら、必死にペダルをこぐ沼メガネちゃん

ハリポタ子さんにも「おかしいと思わない?」と聞いてみたのだが、「あーごめんなさい。私、ゾーン入ってたんで気づかなかったです」と真顔で言われた。ちょっとだけイラっとした。

  • そして、またもやゾーンに突入し快走するハリポタ子さん