今年、9月に開催された「ツール・ド・東北 2019」。東日本大震災の復興支援を目的にした同イベントは、今回で7回目を迎え、今や国内有数の規模を誇る自転車イベントにまで成長した。数あるイベントの中でも、この「ツール・ド・東北」が明らかに違うのは、大勢の人々の"絆"に支えられていること。会場を巡っていると、全国各地から集まった参加ライダーはもちろん、大勢のボランティア、協賛企業、自治体……さまざまな人たちの想いに触れることができた。彼らはどのような想いを胸に東北にやってきたのだろうか? この連載では、自転車が紡ぐ人々の絆を辿っていきたい。

  • 職場の仲間と「ツール・ド・東北」に出たら、仕事がうまくいくようになった

    職場の仲間と「ツール・ド・東北」へ!

イベントの魅力を知るためには、やはり実際に参加してみるのが一番。むしろ、参加もしてないのに魅力を語ることなんてできない。ということで、自転車ド素人ながら職場の仲間たちと"絆"を感じながら一緒に出走してみたので、第一回は「ツール・ド・東北」体験記をお届けしよう。

職場で一緒に走ってくれるメンバー集め

前述したが、自転車イベントの出走経験もなければ、長らく運動さえご無沙汰の筆者。とてもじゃないが、ひとりで参加するのは心細い。そこで、ロードバイクが趣味の部長に相談してみたところ「おれも出るよ」と力強い返事が。心強い助っ人を獲得できた。

……いや待て。自転車イベントの出走経験もあるサイクリング玄人の部長とふたりだと、ド素人の自分は背中を追いかけるのがやっと。サイクリング中、徐々に遠のいてゆく部長の背中を見つめながら、不甲斐なさに打ちのめされている自分の姿が目に浮かぶ。嫌だ。これは、他にも誰か誘うしかない。自分より走れないであろう人物を。

そうして白羽の矢が立ったのは、アイドル沼にずぶずぶのメガネ女子と、趣味は『ハリーポッター』と缶ビールという孤高のアラサー女子のふたり。運動とはまったく無縁のゴリゴリ文化系な後輩女子をチョイスした。われながら抜かりないのセレクトだと思う。

  • 左から、ハリポタ子さん、チャリ部長、沼メガネちゃん、筆者

【出走メンバーのプロフィール】
4人ともマイナビニュース編集部員。まだ一緒に働き始めて日は浅く、ビジネス上の付き合いしかない。休日、街で見かけても声をかけるか迷うぐらい関係性。

1.筆者…男性/30代前半/ミニベロで自転車通勤の経験あり
2.チャリ部長…男性/30代後半/ロードバイクが趣味
3.沼メガネちゃん…女性/20代前半/ママチャリを常用
4.ハリポタ子さん…女性/20代後半/学生以来、自転車に乗っていない

「ツール・ド・東北」と出走コースの紹介

ここで「ツール・ド・東北」の基本とコース情報について紹介しておこう。冒頭でも書いたように東日本大震災の復興を目的に、2013年から始まった自転車イベント。開催を重ねるごとに規模が拡大し、今や4,000人近い参加ライダーが集う。コースは南三陸沿岸を走り抜ける距離別の5つのコースと、仙台発のグループライドコースがあり、いずれも風光明媚な東北の魅力が詰まったコースとなっている。

  • 海山の景観、地元の料理など東北の魅力が詰まった大会

今回、参加を申し込んだのは、もっとも距離が短い「石巻発65km『女川・雄勝フォンド』」コース。山あいを駆け抜ける爽快感や、女川湾や雄勝湾といった海の景色も満喫できるコースとのことだ。"もっとも距離が短い"と言いつつも、65km。慣れている人なら余裕なのかもしれないが、自転車ど素人には「……そんな長い距離、走れるのかな」と不安になる距離である。

  • 石巻発65㎞ 「女川・雄勝フォンド」

ただ、自分よりも激しく不安にかられたのは文化系女子のふたり。それゆえ、出走が決まってからというもの、毎週末のようにロードバイクをレンタルして荒川沿いに繰り出すという文化系らしからぬ行動に出たのだ。イベントの一週間前には、「40kmぐらいなら余裕で走れるようになったけど、65kmはどうかなぁ」なんて会話も聞こえてくるように。あれ、おれより走れるんじゃ……? と不安を感じたときには、もう時すでに遅し。あっという間にイベント当日がやってきた。

サイクリング素人が出走に向けて"用意した物"

いざ出走! の前に、ずぶの素人による「ツール・ド・東北」体験記を見て、「来年、サイクリング初心者(未経験)のわたしも出走してみたい!」と奮いたつ方もいらっしゃるかもしれないので、大まかに「用意した物」を記しておきたい。

【用意した物】
・自転車
→事前にインターネットで調べて、会場近辺のサイクルショップにてロードバイクをレンタルした。価格は自転車のグレードにもよるが、一万円前後。必須アイテムのヘルメットやライトといったオプションもレンタル可能なら、別途用意する手間が省けるので借りておいた方が楽だ。

・サイクルウェア
→「フツ―のスポーツウェアでもいいんじゃない?」と思う初心者の方もいるかもしれないが、速乾性に優れていたり、バックポケットが付いていたり、お尻部分にパットが付いていたりと、とにかく機能的なので上下揃えるのがおすすめ。

・小物
→グローブやサングラスはマストアイテムなので、用意が必須。

・雨具
→今年は雨が降らなかったので使うことはなかったが、一応持って行ったのが防水のアウター・ウインドブレーカー。寒いときに着用することもできるのであると便利だ。

・お泊りグッズ
→基本的に「ツール・ド・東北」は前日受付なので、宿泊の準備も必要。夜は少し肌寒いので上記の防水アウターなど薄手の上着があるといい。

・健康保険証
→怪我をすることがあるかもしれないので、必須。

・その他
→大会事務局から事前に郵送物が届くので、当日持参が必須。あと、サイクリング中に携帯する飲料や飴などの補給物も事前に用意しておこう。

このように、自転車を現地でレンタルできれば、小旅行と変わらない程度のコンパクトな荷物で参加できてしまう。マイバイクで海岸線を走るのはさぞ気持ちいいだろうが、ビギナーはレンタルするのも一手だと思う。