仕事ができない自分に悩んでいる人、もしくは「仕事が遅い」「ミスが多い」といった理由で上司からよく怒られる人、はたまた職場に仕事ができない部下や同僚がいるという人。『仕事ができない』という事実はわかっていても、『どのように改善したらいいのか』はわからない人も多いはず。

ここでは、世界で3,000万部売れたロングセラー『7つの習慣』のメソッドをもとに、研修やコンサルティングを実施する「フランクリン・コヴィー・ジャパン」の取締役副社長・佐藤 亙氏に『仕事ができない人の解決法』を聞いてみた。第一回は、「働くゆとり世代の弱点とは?」。

今、企業に求められるのは「人づくり」

少子高齢化によって労働人口の減少が進む昨今、これを改善すべく生産性の向上や就業機会の拡大を目的に推進されている「働き方改革」。この改革では、大きくは「長時間労働の解消」「非正規と正社員の格差是正」「高齢者の就労促進」の3つの課題解決が求められている。

その中でも、厚生労働省が2017年11月に行った労働経済動向調査によると、企業において「労働時間管理の強化」が最も取り組まれていることがわかっている。しかし、労働人口が減り、労働時間も減ってしまうと、これまでの生産性を維持できなくなるのは必至。

その問題を改善すべく、企業が力を入れているのは「人材」。いい人材を雇ったり育てたりすることで、従業員のパフォーマンス向上を図ろうというわけである。

これを雇用される自分たちの立場に置き換えて考えると、これから社会で生き残っていくには、これまで以上に「仕事ができる存在」になる必要性が見えてくるはず。冒頭で述べたように、これからの長いワークライフにおいて「仕事ができない」というのは、なかなかマズいのである……。

ゆとり世代の若手たちが抱える『闇』

デキるビジネスマンになるためには、何が必要なのだろうか。ここではまず、働き盛りの若手ビジネスマン(20~30代)たちが直面しがちな課題ついて、さまざまな企業で研修やコンサルティングを行ってきたフランクリン・コヴィー・ジャパンの佐藤氏に話を伺った。大きくは下記の3つ。

・コミュニケーションに自信がない
→コミュニケーション力がないわけではなく、必要以上に『過敏』になっている人が多く見受けられるそう。「学生時代から日常的にSNSを利用してきた世代とあって、『嫌われたくない』という思いが強く、対人関係に不安を抱えている人が多いように感じます」。

・努力をしない
→「わからないことはネットですぐに検索できることに慣れているので、仕事でも安易に成功や結果を求めがちかもしれません」。しかし、ビジネスにおいてはすぐに成功や結果が得られることばかりではないので、その壁にぶつかってしまう人も多いのだという。

・応用力がない
→上記の「努力をしない」同様に、すぐに結果を求めて物事の過程を軽視しがちとあって、イレギュラーなことに対応できない人も増えているそう。「マニュアル化されたことに対しては迅速に対応できるのですが、応用には頭を抱えてしまう人も多いと感じます」。

よりよいワークライフを送るためには?

次回からは、これら若い世代たちの課題を踏まえながら、「ミスが多い」「仕事が遅い」などのタイプ別に『仕事がデキない人の解決策』を紹介していく。そのベースとなるのは、フランクリン・コヴィー・ジャパンが提唱する『7つの習慣』のメソッドだ。

同書の著者は、アメリカのビジネス思想家であり、リーダーシップ論の権威であるスティーブン・R・コヴィー氏。代表的な書籍である『7つの習慣』は、全世界で販売部数3,000万部を記録し、20世紀に最も影響を与えたビジネス書として知られている。

その内容は、表面的な知識やテクニックではなく、もっと根源的な『人格』の強化を目指すために『7つの習慣』を日々の意識に取り入れよう、というもの。仕事において、いい結果を出すためには、自分の中で「いい物の見方と行動パターン」を確立することが必要。これを習慣によって身につけることで、いかなるシーンでも対応できる人材が育まれるということだ。 世界160カ国の企業で取り入れられたこの実践的なメソッドをベースに、当連載では「仕事ができない人の解決策」に迫っていく。

プロフィール: 佐藤 亙

1988年、モトローラ社に入社以来、一貫して人事畑を歩む。1993年にモルガン・スタンレー証券社に転職。パフォーマンスマネジメントを中心とした企画業務を経て、人事ジェネラリストとして人事業務全般に従事する。その後、日本ケイデンス・デザイン・システムズ社人事マネージャー、日本マイクロソフト社人事本部長、SAPジャパン社人事本部長・バイスプレジデント、日系ベンチャー企業の執行役員を歴任した後、2006年にフランクリン・コヴィー・ジャパン副社長に就任。「7つの習慣」をはじめとした研修全般のプログラム開発、講師マネジメント部門、オペレーション部門を統括している。