毎年、自分がいくら税金を支払っているかご存知でしょうか。「支出は少なくしたい」といつも考えているのに、納めている税金の額を知らない人は意外と多いものです。たとえば、住民税。会社員の場合、住民税は給与から天引きされ、勤め先企業がまとめて納付してくれるため、無頓着になりがちです。では、住民税はどのくらい支払っているものなのでしょうか。今回は、住民税の計算方法や、年収400~600万円の場合のおおよその住民税をご紹介しましょう。

  • 住民税、年収400万と600万はどれだけ違う?

住民税とは

住民税とは、住んでいる地域の教育や福祉など行政サービスにかかる必要な経費を住民で分担し、支払う税金のことです。その年の1月1日現在の居住地で課税され、住んでいる地域と収入によって住民税の額は異なります。なお、住民税とは道府県民税と市町村民税の二つをあわせたものを言います。

住民税には、「所得割」と「均等割」があり、所得割とは前年の1月から12月までの所得金額に対して課税される住民税です。所得割の税率は、道府県民税が6%、市町村民税が4%、合わせて10%になっています。

この10%は標準税率と呼ばれるもので、ほとんどの地方自治体ではこの税率が採用されていますが、一部では例外的に、10.025%や9.7%などこれよりも高い税率や低い税率となっている地域もあります。また、標準税率は10%であるものの、道府県民税と市町村民税の割合が異なる(8%と2%など)自治体も存在しています。

一方、均等割とは一定以上の収入のある人に均等に課せられる住民税のことです。均等割の標準税額は、道府県民税が1,500円、市町村民税が3,500円、あわせて5,000円です。なお、東日本大震災の復興財源に充てることを目的に、2014年度から2023年度までの間は、500円ずつ(合計1,000円)税額が引き上げられています。この他にも、水源環境の保全等のために、均等割に加算をしている自治体は多くあります。

住民税の計算方法

では、実際に住民税の所得割を計算するにはどうすればいいのでしょうか。所得割は、以下の段階を踏んで計算し、求めます。なお、前述の通り、自治体によって税率が異なるケースがありますが、ここでは標準税率の10%にしています。

(1)給与所得を求める
会社員として給与をもらっている人の場合、まず、給与所得を求めます。給与所得とは、給与と賞与を合わせた年収から給与所得控除を差し引いたものです。給与所得控除は、給与所得によって控除額が異なります。なお、源泉徴収票を見れば、所得控除後の金額が記載されています。

(2)課税所得(課税標準額)を求める
次に、(1)で求めた給与所得から各種控除を差し引き、課税所得(課税標準額)を求めます。各種控除は、全ての納税者が差し引ける基礎控除のほか、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除などがあり、人によって該当する控除は異なります。

(3)所得割額を求める
(2)で課税所得を求めたら、これに住民税所得割の税率10%をかけると、所得割が算出できます。さらに、この所得割から「調整控除」を差し引くと、所得割額が求められます。調整控除とは、所得税と住民税の人的控除額(基礎控除、扶養控除など人に関する控除のこと)の差による税額増を調整するための控除のことです。

調整控除は、課税所得の合計が200万円以下の場合とそれを超える場合とで異なり、それぞれ以下のように求めます。

<課税所得の合計が200万円以下の場合>
(1)、(2)のいずれか少ない金額の5% (1)人的控除額の差の合計 (2)課税所得の合計

<課税所得の合計が200万円を超える場合>
{人的控除額の差の合計額-(課税所得の合計-200万円)}の5%
※この金額が2,500円未満の場合は、2,500円となる

(1)~(3)をまとめると、以下のようになります。

(1)年収-給与所得控除=給与所得
(2)給与所得-各種控除=課税所得(課税標準額)
(3)課税所得(課税標準額)×税率10%=所得割
 所得割-調整控除=所得割額

住民税の総額を求めるには、上記の計算式で算出した所得割額に均等割額の5,000円を足します。

年収400~600万円の住民税はいくら?

次に、前述の計算式を用い、前年度の年収が500万円、専業主婦の妻と16歳の子どもが一人いると仮定した場合の住民税を計算してみます。

まず、年収から引く給与所得控除は、年収500万円だと「360万円超、660万円以下」の区分に該当するため、「500万円×20%+54万円」で計算し、154万円となります。よって、所得控除後の金額は346万円です。さらにここから各種控除を差し引きますが、ここでは基礎控除、配偶者控除、扶養控除がそれぞれ33万円引かれるのに加え、社会保険料(全額が控除される)が50万円、生命保険料控除として7万円(住民税の場合の上限)を引くとし、課税所得は190万円となりました。

課税所得の合計が200万円以下なので、調整控除を考える場合は、人的控除額の差の合計と課税所得の合計を比べます。人的控除額の差の合計は、「基礎控除5万円+配偶者控除5万円+扶養控除5万円=15万円」。190万円と比較して15万円が小さいのでこちらに5%をかけると、7,500円となりました。所得割は課税所得190万円の10%となり19万円であることから、所得割額は「19万円-7,500円=18万2,500円」となりました。これに均等割額5,000円を足すと、住民税の総額は18万7,500円です。

家族構成や控除等が同じ条件とし、年収が400万円、600万円の場合も計算してみました。年収400万円の時の住民税は15万3,500円、年収600万円では27万2,500円となりました。ただし、実際の住民税は、個々のケースで異なります。ちなみに、実際に自分が支払っている住民税額は、計算せずとも課税証明書を見れば把握できますので、一度確認してみましょう。

住民税への理解を深めよう

住民税について改めて知ると、せっかく支払っている税金なのだから、有意義に使って欲しいという意識が芽生えますよね。「税金は会社が納めてくれるから関係ない」とは思わず、税金も含めて自分に関わるお金に関心を持ち、理解を深めることが大切です。