――時代劇の撮影では、どんなところがたいへんだったでしょうか。
撮影時期が今年の2月ごろだったので、とっても寒かったんですよ。私が演じる明里咲は、あまり裕福でない女の子という設定もあって、常に素足でいなければならなくて、それがとにかく辛かったです。あと、やっぱり着物を着慣れていないので、着付けをしていただいているときに帯を引っ張られると「ウッ!」ってなっちゃって、すごく苦しかったんですよね(笑)。お腹をずっと締め付けているので、お昼のお弁当もあまり食べられませんでした。
――坂本監督から、明里咲についてどんな説明を受けましたか?
明里咲の役どころは、律花と宮の"和ませ担当"だよって教えてもらいました。それを聞いて、なるほど!と思ったんです。映画をご覧になればよくわかりますが、律花も宮も、激しい戦いや悲しい出来事の連続なんですけど、明里咲だけは常に平和な雰囲気で……、頭の上で小鳥が「ピヨピヨ」って鳴いているような感じで(笑)、2人の重い空気を和らげるようなふるまいをしているのが明里咲なんです。
――明里咲のファーストカットは、寝ている宮を上から覗き込むという、ちょっとコミカルな場面でした。おっしゃるとおり、それまでの緊張感に満ちた空気が明里咲の登場によってふわっと和らいだ感じがしました。
あのカット、私はカメラのレンズを上から覗き込むようにして撮影したんですけど、画面にはどういう風に映っているのか、ぜんぜんわからなくて不安なままだったんです。でも、演じていてとても面白いなって思いました。
――明里咲は洗濯、料理、掃除など家事全般を見事にこなす腕前を持っていますが、大久保さんご自身はいかがですか?
1人暮らしをしてからしばらく経ちますので、私もある程度の家事はできますよ。毎日ちゃんとご飯も作りますし。もともとおばあちゃん子でしたから、洗濯とかお料理とか、よく手伝っていて、子どものころから家事全般を身近に感じていました。さすがに映画のように、洗濯物をタライで手洗いなんてしてませんでしたけど(笑)。最初、タライを見たときは「どうやって使うんだろう」とか思っちゃいました。こういう風にして洗うんだよ、と、あの時代の洗濯方法をしっかり教えていただきました。
――洗濯方法のほかに、時代劇ならではの「動き方」を教えてもらいながら演技をされたシーンなんてありますか。
畳の掃除をするシーンがあるんですけど、最初はどうやればいいのか知らなかったので適当にザザーッと雑巾で拭いていたら、記録さんが「畳の目に添って拭くんだよ」と優しく教えてくださいました。