――時代劇の立ち回り全般を手がける「東映剣会」のみなさんとも今回の作品でアクション共演されているそうですが、みなさんの印象はいかがでしたか。

さすがみなさん大ベテランの方たちで、正直、かなりお年を召していらっしゃるにも関わらず、動きすぎてビックリしました。「もう無理だよ~」とか言いながら、撮影スイッチが入るとむちゃくちゃ動かれるんです(笑)。ふだんはとても優しくて、私が体を動かしていると「おっ、お姉ちゃん動けるね!」とか気さくに声をかけてくださるんですけど、いざ戦うシーンになると、すごい迫力で向かってくるので、「すごい!」「怖い!」って思っていました。後ろから襲ってくるときなんて、ものすごい緊張感がありました。みなさんそれぞれ、ご自分の役の"空気感"をちゃんと作られているんです。そういった大先輩の方々と組ませていただいている実感を噛みしめながら撮影していました。

――そして、山本さんと宮原さんのアクション女優同士の一対一の勝負も実に見ごたえと迫力がありました。山本さんとお手合わせしたご感想をお願いします。

千尋とは以前、別の作品で共演したことがあったんですけれど、同じチームに属していたので互いに"戦った"のは今回が初めてになります。私が演じるウトは素手で戦うのが基本で、相手を"殴る"アクション中心。一方の律花は状況に応じて、さまざまな技を使います。千尋は自分の得意な技からちょっと苦手な技まで、ひととおりのアクションをやっていましたね。2人でアクション練習をしていたときのことですが、初めて手を合わせたとき、私のちょうどいい距離感と千尋の距離感が違っていて、テンポが狂うことがありました。お互いに、相手に怪我をさせちゃいけないという気遣いもあり、戦いがスムーズにいかなかったことがあったんです。

――山本さんも宮原さんも、激しい動きと立ち回りがこなせるからこそ、両者のタイミングを合わせるのが難しかったということですか。

『仮面ライダーアマゾンズ』のときなんてまさにそうなんですけど、私が戦ってきた相手はみんな自分よりも大きい体をしていたので、自分からぶつかって行って、がむしゃらに戦わないと、映像にしっかりと反映されなかったんです。でも今回は、カメラがこっちにあるから、ここに拳を持ってこないとダメだよ、みたいなご指導をたくさん受けました。前に出した拳の位置ひとつで、画面の見え方がぜんぜん違う……という映像的な感覚を、今回とても教えていただいたんです。勉強になります!と思ったのと同時に、自分はまだまだだなと実感しました。

――宮原さんと山本さんの双方の動きを綺麗に見せて、戦いの構図がはっきりわかるような細かな撮り方をされていたんですね。

今まで自分は、とにかくがむしゃらに動いて、ちょっと手を間違えても勢いでやりとおすという感じでしたけど、今回はそのような必死さ、懸命さも残しつつ、相手(山本)が受けやすいように正確な位置に技を出すことを重視していました。考えながらアクションをやらなければいけない、ということを思い知らされましたね。今後、同じようなシチュエーションでアクションシーンを撮るのなら、もっともっと練習して、より気持ちよくやりたいなと思いました。

――劇中でも、律花とウトは同年代の女性ということもあってお互いをライバル視している風にも見えますね。実際の宮原さんと山本さんも、互いに力を高めあってハイレベルのアクションを繰り広げているように思えます。

それはもう、千尋とはずっと共演したかったですし、さらには坂本監督の演出ですから。こういう素敵な作品が実現して、とても嬉しいです。発表されたとき、ファンの方たちも「この2人のアクションが見たい!」と期待してくれましたし。そんな期待にも、いい形で見せることができているんじゃないかと思います。千尋は自分にとって、日本のアクション映画界で共に切磋琢磨していきたい"仲間"であり"ライバル"としてこれからも技を磨きあっていきたいです。