10月10日から放送がスタートするTVアニメ『アサシンズプライド』。主人公クーファ=ヴァンピールが、公爵家に生まれながら無才の少女メリダ=アンジェルとともに、裏の任務や各々の運命と対峙していくファンタジー作品だ。

  • 楠木ともり(くすのきともり)。1999年12月22日生まれ。東京都出身。ソニー・ミュージックアーティスツ所属。主な出演は『アサシンズプライド』メリダ=アンジェル役、『メルヘン・メドヘン』鍵村葉月役、『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル』虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 優木せつ菜役など
    石川由依(いしかわゆい)。1989年05月30日生まれ。兵庫県出身。mitt management所属。主な出演は『アサシンズプライド』エリーゼ=アンジェル役、『アズールレーン』エンタープライズ役、『けものフレンズ2』キュルル役など

今回はそのメリダ役・楠木ともりと、メリダの従姉妹であるエリーゼ=アンジェル役・石川由依へインタビューを敢行。作品への印象やアフレコの裏話、さらにはメリダとして楠木が歌うEDテーマなど作品全体についてたっぷり語ってもらった。

『アサプラ』、そして演じるキャラクターの印象は?

――まずは、作品に初めて接されたときの印象からお教えください。

楠木 すぐ「面白そうな作品だな」とは思ったんですけど、読んでいくうちに「なにかひとつが欠けたら、この『アサシンズプライド』の面白さのバランスってすぐ崩れちゃうんだろうな」という繊細さが感じられて。そのバランスがちょうど保たれている素敵な作品だなと思ったんです。だから、普通にハマって結構なスピードでバーっと読んでしまって(笑)。作品独自の用語も多いんですけど、それにも何の抵抗なくスッと入り込めました。

石川 それにやっぱり、キャラクターがすごくかわいらしいですよね。それは絵ももちろんですけど、読んでいてどのキャラクターも平等に好きになってしまうぐらい、嫌になる部分がなくて。それって、メリダをはじめそれぞれがどうしても自分の力では抗えないものに必死に抗っている、すごいまっすぐなキャラクターたちだからなのかなって思うんですよ。家族間のあれこれとか、ちょっと胸が痛くなるようなこともありますけど……。

  • メリダ

楠木 こんな幼い子に突きつけていいような問題じゃないですよね…?

石川 ホントに! だってメリダなんてまだ13歳じゃない? でも自分がアンジェル家の子であることを示そうと、能力がなくても必死に努力でどうにかしようとしている姿を観ると、もう「頑張れ!」って思います。

――続いて、それぞれが演じられているキャラクターについてお伺いできればと思います。

楠木 メリダは最初に資料のイラストを見たときには、「金髪ロングでかわいいなぁ」って思いました(笑)。でも先ほど石川さんもお話されていたように、その年齢には大きすぎるんじゃないか? っていうものを抱えている子なんです。だけど、そこに負けることなくまっすぐに立ち向かって、自分でどうにか抗おうとする必死で健気で強い姿には本当に憧れるというか……自分で言うのもなんですけど、私もなにか問題に直面したときにはまっすぐ向き合いたいなと思ってはいるんです。でも、自分がもしメリダと同じ境遇だったら、彼女のようには強くはいられないなと思ってしまう部分があったので、ひとりの女性として尊敬できる部分がたくさんあるんですよね。

――そこは同時に、共感する部分でもある?

楠木 そうですね。だから、メリダから寄り添って来てくれているように思えるぐらいに親近感も湧いてきて。“作品としてのキャラクター”というよりも“ひとりの人物”として受け取れる部分もあるので、その生々しさも含めて、原作を読み始めてからすぐに近い存在に感じられました。

  • エリーゼ

石川 エリーゼは見た目の雰囲気から、感情をあまり出さないキャラクターだなっていうのが最初の印象でした。序盤は作品の中での見せ方としてもちょっと謎めいた雰囲気を持っていますよね。そうなった原因は、今後明かされていくんですが……でも色々なわだかまりが解け、メリダともちょっとずつ話せるようになっていってからのエリーゼが、本当の姿だったんだと今は思います。すごくテンションが上がるようなキャラクターではないんですが、いろんな表情ができるようになり、徐々に内面も見えてきて……それが、割とぽんこつなんですよ(笑)。設定としては戦闘能力の高い子のはずなんですけど、そのギャップがとってもかわいいんです。

キャラクターの変化と成長、そして刻々と変化する距離感の捉え方

――そういった部分も含めて、おふたりが演じられているキャラクターは、この1クールの中で特に変化や成長が見えるキャラクターのように思います。

楠木 メリダは、それこそ最初はみんなから“無能才女”と言われて冷たい目で見続けられている状態だったので、演じるうえでも変化というものはすごく意識していました。メリダは、本当は強い心を持っているけれども、1話の段階だとそれをまだ出せずにいるんです。そこから、まわりの人たちに少しずつ認めてもらいながら成長もしていって、力がつくことで彼女自身の自信にもつながっていって……というふうに、彼女がひとりの美しい女性としてだんだん晴れやかに強く成長していく姿を出したかったので、だいぶこだわったつもりではいます。あとはクーファとの距離感にも、だいぶ気をつけていました。

――それは、どのように?

楠木 先まで読んでしまっていた原作がどうしても頭にあったんですけど、それとアニメの時点のふたりの距離感って違うじゃないですか? なので、クーファ役の小野友樹さんといろいろ相談をしたりスタッフさんから指示をいただいたりしながら、距離感については詰めていきました。

石川 あと、アニメと原作でストーリーの流れが若干変わっている部分もあったので、アニメの流れで「今、この子たちはどのぐらい仲がよくなってるんだろうか?」というのもみんなで話し合いながら進めていきましたね。エリーゼに関しては、徐々にというよりもきっかけのできごとを境に一気に解き放たれるので、そこまでの話数は「伝えたいことが伝わらない」っていうところで、演じている自分にも苦しい気持ちがあったのですが、そこに到達してからはすごい安心感のような気持ちが自分の中にも生まれて、伸びやかに演じさせてもらっていました。