――キービジュアルには、『牙狼<GARO>』第1シリーズの主人公である冴島鋼牙の姿があり、最初期から『牙狼<GARO>』を応援してきたファンのみなさんが歓喜しましたね。映画の中で鋼牙がどんな"活躍"をするのかは公開されてからのお楽しみということになりそうですが、雨宮監督としては、鋼牙の"復活"についてどのような思いを抱かれていますか?

鋼牙に関しては『魔戒列伝』(2016年)のワンエピソード(第12話)の後、「パチンコ牙狼」シリーズの最新作(2019年7月稼働)映像に登場させていて、その次にこの『月虹ノ旅人』ですから、自分としてはそれほど久しぶりという感覚ではないんです。パチンコの映像もちゃんとストーリーのある台本を作って、ふつうの映画と変わらない熱量で撮っていますしね。

――すでに鋼牙は復活を果たしている、ということでしょうか。

今の段階では「必要なときに来てもらっている」という感覚です。そういう意味では、まだ「冴島鋼牙を中心に据えたドラマ」を作っているわけではないので、"復活"ではないですね。ちゃんと鋼牙が"復活"する作品を作るためには、環境がしっかり整わないといけません。その環境作りがいちばん大事なんです。

――ハリウッド映画の「パート2」「パート3」にしても、1作目を機に大ブレイクした俳優がいたりして、ふたたびオリジナル・キャストを結集させようとしても簡単にいかないケースがありますね。その点『月虹ノ旅人』では主演の中山麻聖さんをはじめ、『魔戒ノ花』のメインキャストがちゃんと結集し、それぞれに見せ場が与えられていました。世界観的には当然のように感じられますが、製作サイドからするとキャストの再結集を実現させるだけでもたいへんなことなんですね。

確かに、スケジュールを合わせる作業もかなりたいへんでした。昨年の6月に撮影したのですが、これが唯一のチャンスだったんです。京本政樹(特別友情出演)さんや渡辺裕之さんといったベテラン勢のスケジュールも含めてね。

――『魔戒ノ花』から年月を経て、ふたたび冴島雷牙を演じられた中山麻聖さんの"成長"ぶりについてはいかがですか?

俳優としても経験を積んで、たくましくなりましたね。アクションも久しぶりだったはずなのに、すぐにカンを取り戻して、かなり難易度の高い動きをこなしていました。『月虹ノ旅人』では、生身同士のアクションをいつも以上に見せようという狙いがありますので、アクションが好きな方は大いに期待していただきたいですね。

――列車のシーンに出てくる、つぶやきシローさん扮する「青ヒゲ」というキャラクターが、雷牙の"いちばん入り込んでほしくない部分"に入ってかき回し、ストレスを与える役割を担います。つぶやきさんの印象はいかがでしたか?

つぶやきさんはよかったですね。あの方がいなかったら、映画が締まらなかったと思います。もっとも触れてほしくない部分を突っつかれた雷牙の「痛み」であるとか「キツさ」を感じさせる表情が撮れたのは、つぶやきさんとのやりとりがあってこそでした。