――特に、白が得意としている剣術は、本来山本さんが得意とされている技ですから、それを"受ける"立場になるというのはとても珍しいことですよね。
そうなんです。藤岡さんの攻撃を自分が受けることで「もう、中国武術はイヤだ!」と思ったりしましたよ(笑)。こんなに複雑な動きで攻めて来るの~!? って、戦うのが本当にたいへんでしたから。いつもだと、こちらが中国武術で攻めていくほうだったのですが、攻撃を受けていた相手の方はずっとこんな気持ちだったのかな~、イヤだったんじゃないかなって分かりました。初めて自分が技を受ける立場になったり、追いつめられたりしたとき「ああ、中国武術っていうのは本当にたいへんなんだな」と痛感しました。だから、もし次に私が中国武術の型を披露することになったとき「自分の好き勝手に剣を振っちゃダメだな」と、相手のことを考えるアクションを心がけようかなって思いましたね(笑)。
――坂本監督のお話では、律花のアクションは山本さんがお得意の中国武術をあえて封印して、新たな山本さんの魅力を打ち出したいという狙いがあったそうです。それでも、まったく中国武術を使わないというのはさすがにもったいないと思っていたら、しっかりと剣を振るうシーンもあるようですね。
こちらが技を受けているときは、早く中国武術で反撃したい!ってウズウズしていました(笑)。ですから剣で戦うシーンはいちばんリラックスして、うまくやれたと思います。
――後半、亡き父親・亜廉(あれん/演:島津健太郎)が遺してくれた仮面と甲冑を身に着け、"黒い狐"=BLACKFOXとして戦いに臨む律花ですが、あのコスチュームは変身ヒーロー然としてとても凛々しく、カッコいい印象がありました。戦っていくうちに装甲が取れていき、部分的に素肌が露出していくのも実に素敵でした。
ありがとうございます。初めてヒーローのように"変身"できたことが嬉しくて、仮面の下で密かにニコニコしていたかもしれません(笑)。そして嬉しさと同時に、背筋がピンとなる感覚もありました。戦いの中で仮面が取れたり、装甲が外れたりするのも坂本監督の"愛情"であって、ちゃんと私自身がアクションしているんだよ、という部分を強調してくださってるんですね。あと、長い刀と短い刀を束同士組み合わせて"両剣"として戦うなど、この映画の中ではありとあらゆる武器を使った気がします。
――山本さんをはじめとするアクション派俳優さんたちがしのぎを削るバトルムービーとなった『BLACKFOX:Age of the Ninja』は必ず多くのアクション映画ファンをうならせると思いますが、山本さん的にはふたたび石動律花を演じてみたいという思いはあるでしょうか?
もちろんです。出来ることなら第2弾、第3弾と続けていきたいと願っています。撮影が終わった直後、またスイッチが入ってしまいまして、今もアクションをどんどんやっていきたい! という意欲に燃えていますね。ふだんから運動は欠かさず行っていて、週に2度アクション練習にも通っているんです。やはり『2』をやるのなら、山本千尋は常に成長し続けているんだということを坂本監督にお見せしたいですし、そうすることがみなさんへの"恩返し"につながると信じています。
――最後に、山本さんから映画『BLACK FOX:Age of the Ninja』の見どころを教えてください。
「特撮」と「時代劇」を本格的に融合させた新しい試みを、アクションを愛する俳優たちが全力で表現した作品です。キャストみんなが稽古の段階から、剣の一振り一振りに思いを込めて取り組んでいますので、その"熱量"が観てくださる方たちに伝わったら嬉しいです。多くの人々から愛される作品になればいいなと思います!
(C)PROJECT BLACKFOX Age of the Ninja