NTTドコモとJR東海は30日、東海道新幹線の車内における快適なモバイル通信環境を実現するための検討の一環として、第5世代移動通信方式(5G)による無線通信実験を実施したと発表した。

  • N700S確認試験車

高速で走行する鉄道車内との5G無線通信を実現するためには、実際の走行環境における基地局の配置と移動端末への追従性、実利用シーンにおける周囲の遮へい物の影響など、技術的に検証すべき事項が多くある。これらの技術的検証のため、東海道新幹線沿線に仮設した実験用5G基地局(地上基地局)と、N700S確認試験車の車内に搭載した実験用5G移動端末(移動端末)の間で5G無線通信実験を行い、高速走行中の実験に成功したという。

5G無線通信実験は8月24日から9月7日まで、静岡県富士市内(東海道新幹線三島~新富士間)にて、列車走行速度283km/h、28GHz帯の周波数を使用して実施。200km/h以上で走行する高速鉄道車内と、地上との間の5G無線通信実験の成功は世界で初めてであり、将来の高速鉄道車内における5G通信サービスの本格利用に向けた重要なデータを得られたとしている。

5G無線データ伝送実験では、地上基地局と移動端末の双方が持つ機能(ビームフォーミング機能・ビーム追従機能)を駆使した超高速データ伝送や、移動端末が接続する地上基地局(3カ所)を順次切り替える連続ハンドオーバーを実施。最大データ伝送速度1.0Gbps以上と、地上基地局間の連続ハンドオーバーに成功した。

5G無線映像伝送実験では、超高精細の8K映像コンテンツを地上基地局から移動端末へ5Gを介した高速ダウンロード配信や、N700S確認試験車の車内に4Kカメラを設置し、撮影中の車窓映像を移動端末から地上基地局へ5Gを介したライブ中継を実施。8K映像コンテンツの高速ダウンロード配信と、4K車窓映像のライブ中継にも成功している。