プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会らフリーランス団体3者は10日、厚生労働省における会見で、フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態アンケート結果を発表した。
調査結果によれば、回答者の61.6%が「パワーハラスメントを受けたことがある」と回答。36.6%が「セクシュアルハラスメントを受けたことがある」と答えていて、中には「お酒を飲まされて性的な行為をさせられた」「打ち合わせと称してホテルでレイプされた」といった事例もあった。
パワハラから深刻なセクハラ被害まで
調査を行ったのは、日本俳優連合、MICフリーランス連絡会、プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の3者。日本国内で働いた経験のあるフリーランス1,218名から回答を得た。
回答者が体験したり、見聞きしたりしたハラスメントの内容としては「精神的な攻撃(脅迫/名誉棄損/侮辱/酷い暴言等)」(59.4%)が最も多く、次いで「過大な要求(不要/遂行不可能なことの強制)」(42.4%)、「経済的な嫌がらせ」(39.1%)と続いている。
また中には「不必要に身体を触られた」(20.5%)、「性的関係を求められた・迫られた」(17.6%)、「レイプされた(同意のないセックスをさせられた)」(4.4%)といった被害もあった。
被害を受けても訴えづらい
記者会見では、実際にハラスメントの被害にあった当事者も体験談を語った。
このうち、インターネット映像製作者としてフリーで仕事をしていた八幡真弓さんは、協業関係にあった男性からレイプ被害を受け続けたが、起業1年目ということもあり、仕事への影響を考え、訴えられなかったという。
「被害中はずっと加害男性の会社と協業しないと(被害者の会社が)つぶれると言われ続けていました。二社の関係が被害状態になっていることを知られてはならないと強く思いました」。
被害中に撮影された動画や写真の流出、業界内や当時の夫との信頼関係が崩れてしまうと、仕事上は平静を装ったが、のちに引退。その後、複雑性PTSDと診断されたという。
八幡さんは「打ち合わせなどにおける最低限のルール・管理」「被害補償の仕組み」「仕事が成立するまでのフローの確立」などが必要と語り、「このようなケースが積み重ねられずに、フリーランスが加害の温床にならないよう、切に願っています」と訴えた。
具体的なハラスメント防止措置を
今年5月に成立したハラスメント防止法では、労働者保護のための措置義務が事業者に課されたものの、フリーランスや求職者など、雇用されていない人については規定されていない。一方で、指針等でハラスメントについて必要な防止措置を講じることになっている。
同団体は今回の調査結果を参考資料として9日、厚生労働省へ提出。ハラスメント禁止の方針を明確にして周知啓発することや、相談窓口を設置・周知すること、ハラスメントに抗議・相談した場合の不利益取り扱いの禁止などをハラスメント指針に盛り込むよう、要望している。