プレゼン用の資料作り、締め切り間際。なんとか今日中にやらないと……いざ集中、集中。と思っていても、次々とかかってくる営業電話、上司や部下から声もかかる。さらにスマホからはメールやらチャットツールやら電話やらの着信音。SNSも気になってつい見てしまう。ああ~! 全然集中できねえ! そんなビジネスマンのために、「聴けば仕事に集中しやすくなる音楽"ENERGY MUSIC"」が誕生したと聞いて、発表会に行ってみた。

  • ウォンテッドリー代表取締役CEO仲暁子氏を交えてキメポーズ

聴けば仕事に集中しやすくなる音楽とは?

ENERGY MUSICは、ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーが、つながり管理アプリ「Wantedly People」の400万ユーザー突破を記念して開始したプロジェクト『ENERGY MUSIC PROJECT』から生まれたもので、仕事に集中・没頭することを目的とした、「聴けば仕事に集中しやすくなる音楽」。ビジネスパーソン2,000名への調査結果や、公開実験を経て制作した試作曲「m-flo 実験中」に対するビジネス・パーソンの生の意見を踏まえて、m-flo、Seiho、starRo、AmPmの4組が制作した作業用BGMが完成した。

発表会の冒頭では、映像によりプロジェクトに至るまでの経緯が紹介された。曰く、デジタルツールが発達した現代社会では、チャットツールやSNSの通知で集中が中断され、作業効率が低下してしまうため、音楽を聴きながら作業するビジネスパーソンが多いという。そこで、より作業に集中できるような音楽があれば、ということで開発が始まったのがENERGY MUSICなんだとか。計測には、センサーが内蔵されており集中を計測できる「JINS MEME」を活用したとのこと。

前半では、ウォンテッドリー代表取締役CEO仲暁子氏による挨拶に続き、m-floの☆Taku Takahashi、VERBAL、JINS MEME井上一鷹氏によるトークショーが行われた。プロジェクトに携わるにあたって☆Taku Takahashiは、「集中できる音楽を本気で作りたい」という話を聞いて、それをどうやったら作れるのか、自分もどうやったら集中できるのか? と興味を抱いて参加したという。VERBALは、「音楽を通してもっと集中力が高まって仕事がはかどるならいいなって思いますし、グッドヴァイブスな音楽を通してもっともっと成果が出るようなものが作れたら、社会に貢献できてる感じで良いのかなって思いました」と、ミュージシャンシップを感じさせるコメント。

  • 前半のトークでは楽曲を制作する上で意識した部分など、興味深い話が明かされた

m-floが手がけたビジネスマンのための音楽

ENERGY MUSIC は、楽曲と環境音を融合させ、集中のサイクルに最適化させた構造となっており、集中力を高める3つの特徴があるという。1つ目は集中状態に入るため、アーティストが制作した楽曲メロディ・ハーモニー・歌詞などによる「刺激」を導入部に採用。この部分を、m-flo をはじめとするアーティストが制作したというわけだ。2つ目は高まった集中力を継続するための「環境音」。自然界にある「1/f ゆらぎ」というリズムによりリラックス効果が得られるとのこと。3つ目は、作業は25分単位で繰り返すと効率が良く集中力を高めることができる、という研究結果を参考に、BGM全体の長さを25分サイクルに設定しているという。楽曲制作についてのトークで☆Taku Takahashiは、まずは集中する気持ちに着火させるために、気になるものを入れること、さらに「懐かしさ」を入れることを意識したという。そこで、m-flo「come again」に入っているものと同じ音を入れたり、ローファイ・ヒップホップのテイストを導入。また、気持ちに着火させるためにVERBALのラップを前の方に持ってくることで所謂"ゾーン"に入ってもらい曲へと進んでもらう工夫を凝らしているそうだ。さらに、飽きさせないための工夫を施し、LISAの声のサンプリングが入って、最後に環境音につないでいるのだとか。感覚的なものを大事にしつつ、楽曲の構造的には研究結果をもとにした科学的な部分を意識したという。

ここで、スペシャル・ゲストとしてm-flo のもう1人のメンバーLISA が加わり、完成曲を聴くことに。ゆらゆらと揺れるスペイシーなトラックにラップが乗り、ローファイで暖かいキックの音が心地よく、ノスタルジーも感じさせる楽曲だ。「今聴いていたメディアの皆さん、集中してめちゃくちゃ書いてましたね。仕事が捗ったのでは? (笑)」とLISA。確かに、一瞬にして集中できる自分だけの空間に入ったような感覚のある曲であった。トークの後半では、3人が作業をするときの様子が語られた他、もしアーティストじゃなかったらやってみたい仕事をそれぞれ紹介。VERBALが「ネコ科動物研究員」、LISAが「スタンドアップコメディアン」、☆Taku Takahashiは「脚本家」と、3人の個性が発揮された回答となった。

  • もしも、ミュージシャンじゃなかったら? それぞれ個性が発揮された回答に

最後は、日々仕事と向き合うビジネスパーソンへ、3人からメッセージが送られた。

「色んな職業がありますけど、やりがいを感じるときって集中できてる時だと思います。それと、違う業種でも同じ志を持った色んな人たちと繋がっていくと、日本がどんどん面白くなっていくと思うので、そういうことのきっかけにもなればいいなと思います」(☆Taku Takahashi)

「三度の飯より音楽が好きなので、こうやって20年やっていますし、ゾーンに入れる仕事って幸せなことだなって。みなさんもゾーンに入れるお仕事を見つけてください」(VERBAL)

「人生の大半は自分が働くっていうことにテーマを置いて生きて行くと思うんです。そう思うと、好きなことで生活ができていくというのは理想だと思います。だから、今これをやっていて苦しいなと思う人は、自分の心の声を真っ直ぐに聴いて変える勇気も大事だと思う。なるべく好きなことに取り組むことをお勧めしたいです。人生は短いから」(LISA)

「ENERGY MUSIC」の完成楽曲は、『ENERGY MUSIC PROJECT』オフィシャル・ウェブサイトから試聴できるほか、「Spotify」をはじめ各種音楽ストリーミングサービスでも配信中。ここぞというときの集中力が欲しい人は、早速聴いてみよう。