現在も梅子の建学の精神を受け継ぐ「津田塾大学」を訪れよう

  • 東京都小平市の津田塾大学本館校舎外観

    東京都小平市の津田塾大学本館校舎外観

1931年に女子英学塾が移った東京都小平市には、現在も「津田塾大学」の小平キャンパスがあります。その中の「星野あい記念図書館」の2階に「津田梅子資料室」があり、希望者は見学することができます。

  • 津田塾大学内にある津田梅子資料室

    津田塾大学内にある津田梅子資料室

ここでは、梅子が1871年、初めてアメリカへ留学したときに着ていた着物や、津田塾大学本館の屋根裏から発見された梅子の書簡をはじめ、梅子と津田塾大学に関する貴重な資料を保存しており、毎年テーマを設定し、企画展示を行っています。今回は梅子の書簡が保管されていたアナ・ハーツホンのトランクなども見学することができました。当時の梅子やアナの息づかいが感じられるようなそんな空気が漂う場所でした。

  • 1871年アメリカに留学した津田梅子が着用していた着物 Copyright(c)2010/Tsuda College All Rights reserved

    1871年アメリカに留学した津田梅子が着用していた着物 Copyright(c)2010/Tsuda College All Rights reserved

  • アナ・ハーツホンの遺品、旅行用トランク

    アナ・ハーツホンの遺品、旅行用トランク

最後に、高橋学長が現代を生きる女性たちへメッセージを送ってくれました。

「日本において女性のリーダーはまだまだ少ない現状で、“女性自身が責任のある役職に就きたがらない”などとも言われています。女性たちには、梅子のように新しいことに果敢にチャレンジして、世の中を変革していってもらいたい。そして、そのチャレンジ精神を次世代にもつなげていってほしいですね」。

  • 高橋学長写真(津田塾大学提供)

    高橋学長写真(津田塾大学提供)


ここまで、津田梅子の生涯とその功績について、ご紹介してきました。現代にも通じるような新しい考えを120年以上も前から持ち、着実に女子教育の礎を築いた梅子。きっと誰もが参考にできる部分があったかと思います。梅子の思いを通じて、ぜひ自分自身の生き方についてもあらためて考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

■取材協力:高橋 裕子(たかはし・ゆうこ)さん

津田塾大学学長、同大学芸学部英語英文学科教授。津田塾大学英文学科卒、筑波大学大学院修士課程修了。米・カンザス大学大学院にてM.A.とPh.D.を取得。97年から津田塾大学助教授、04年同教授、16年より現職。専門はアメリカ社会史(家族・女性・教育)、ジェンダー論。著書に『津田梅子の社会史』(玉川大学出版部、2002年、アメリカ学会清水博賞)、『女性と高等教育―機会拡張と社会的相克』(昭和堂、2008年、分担執筆)、『家族と教育』(明石書店、2011年、共編著)、三成美保編著『教育とLGBTIをつなぐ―学校・大学の現場から考える』(青弓社、2017年、分担執筆)等。アメリカ学会会長、ジェンダー史学会常任理事、日本学術会議連携会員、日本私立大学連盟常務理事。

●津田梅子資料室
住所:東京都小平市津田町2丁目1-1津田塾大学図書館内
電話番号:042-342-5219
開室時間:月曜日~金曜日9:00~16:00(開室日は図書館開館日に準じる)
入館料:無料