JR西日本は社長会見において、同社が取り組むSL動態保存を通じた鉄道文化活動に関して説明するとともに、京都鉄道博物館の扇形車庫で8月10~18日に「SL頭出し」とライトアップを行い、特別なヘッドマークを装備した「義経」号を転車台で展示するなど、特別なイベントを実施すると発表した。
同社は鉄道文化財の保存・管理の取組みとそれを活用する活動を「鉄道文化活動」ととらえ、積極的な取組みを行っている。とりわけ鉄道開業当初の姿を再現する蒸気機関車(SL)の保存運転は、鉄道文化を伝えるための欠かせない存在としている。
日本で最も歴史の古い蒸気機関車を使った観光列車のひとつである「SLやまぐち」号が、8月1日で運行開始から40周年を迎えたほか、動態保存されている蒸気機関車の保有数は国内最多の8機となっている。しかし、すべてが昔から動態保存されていたわけではなく、後世に本物のSL文化を継承するため、新たに整備を進めた車両もある。
具体的には、2014年に動かない状態で保存されていた「義経」号の構内運転を復活させ、構内運転でのみ使用していたD51形200号機の大規模修繕と保安装置整備を行い、2017年に本線での営業運転復活を実現している。
同社はこうした蒸気機関車の動態保存に欠かせない検査・修繕・入換ができる設備や車庫といったハード面の整備、動態保存車両を活用した社員の技能向上、ベテランから次世代への技術継承を図るといったソフト面の整備にも継続して取り組んでいる。
今回、新たに京都鉄道博物館の蒸気機関車および検修施設群が、2019年8月7日付で日本機械学会により「機械遺産」として認定。京都鉄道博物館では8月10~18日の期間、扇形車庫にて「SL頭出し」およびライトアップを実施する。「機械遺産」認定を祝した特別なヘッドマークを装備した「義経」号を転車台で展示するなど、特別なイベントを8月16日に行う予定(ヘッドマーク掲出は8月10~18日)となっている。
JR西日本は今後も地域活性化への貢献や文化財保存の観点から、ときに全国の同業他社とも連携しながら、将来にわたり「動態保存」という自力走行可能な状態の蒸気機関車をはじめとした文化財を大事に守り、継承し続けていくとしている。