JR西日本は9日、在来線の京阪神地区を走行する電車に、指令所でリアルタイムに車両の状態を把握できる機能を有する「モニタ状態監視装置」を導入すると発表した。

  • 「モニタ状態監視装置」運転台計器盤のイメージ

  • 「モニタ状態監視装置」導入のイメージ

労働人口減少など将来の社会環境を見越し、JR西日本では少人数でも安全な鉄道サービスを持続的に提供が可能なメンテナンス体制の構築に向けて取り組み、その実現に向けて検査業務の装置化を進めている。取得された多くのデータをネットワークで共有し、装置から得られたデータにもとづき、機器の状態を判断する体制も構築する。

現在のメンテナンスは一定の期間に応じて検査を行う手法を多く用いているが、データから機器の状態を判断することで、機器の状態に応じてメンテナンスを行う、いわゆる「CBM(車両の状態に応じた予防保全)」の実現をめざしていく。

  • 「モニタ状態監視装置」車両位置表示イメージ

  • 「モニタ状態監視装置」編成一覧表示イメージ

今回導入する「モニタ状態監視装置」は、車両モニタ画面を遠隔地にリアルタイムで表示する「運転台計器盤」、状態を遠隔地にリアルタイムで表示する「車両の位置」、動作情報を取得する「各機器の稼働」を監視できる。車両不具合発生時に指令員がモニタ状態監視装置を通じて車両の状態をリアルタイムに把握できるため、運転士・指令間のやり取りにおいて、より早く正確な情報伝達ができるようになる。

これにより、さらなるダウンタイムの短縮が期待できると同時に、取得されるビッグデータを解析することで「CBM」の実現をめざすとしている。

京阪神地区を走行する1991年以降に新規製造された車両形式の電車(約610編成)を対象に導入され、今年度から機器を順次搭載。2020年度から順次、使用を開始する。全対象車両への搭載完了は2024年度を予定している。