戦術音楽ユニット・ワルキューレのメンバーとして、一躍脚光を浴びた声優・西田望見。待望のデビューミニアルバム『女の子はDejlig(ダイリー)』が、7月24日に発売された。

  • 西田望見(にしだのぞみ)。7月22日生まれ。岐阜県出身。マウスプロモーション所属。主な出演は『マクロスΔ』マキナ・中島役、『武装少女マキャヴェリズム』眠目さとり役、『奴隷区 The Animation』杉並ルシエ役など

今回はただ楽曲を収録しただけではなく、本作で楽曲の作詞も手がける児玉雨子が紡ぐ、ひとりの女の子を主人公にしたリーディングストーリーで楽曲を繋いだ、コンセプチュアルな作品となっている。本稿では、デビューにあたって西田へのインタビューを敢行。裏話や楽曲のねらいを聞けば聞くほどより本作を味わい深く楽しめる、興味深い話を次々披露してくれた。

■自分の表現欲の実現を目指したデビュー作に

――お披露目イベント拝見させていただいたのですが、お客さんも西田さんも両方すごく楽しまれていましたね。

よかったです。楽しい思い出で終われて(笑)。すごく緊張していたので・・。

――ステージ奥の扉が開く前に?

はい。隙間から覗いて「わー! いっぱい来てくださっているー!」って思ってより緊張していたんですけど、扉が開いたらみなさんが笑顔だったので、穏やかな気持ちになりました。ただ、ステージに出たら広場のうしろのほうまでいっぱいで……ほんとに驚きましたね。「こんなにたくさんの人が集まってくれるなんて、感動!」と思いながら、歌っていました。

――そのアーティスト活動自体には、西田さんは元々興味はあったんですか?

「すごく素敵な活動だな」とは思っていたんですけど、具体的に自分がするとはあまり思い描いていなかったんですよ。そんななか声をかけていただいたので、最初はすごく驚きました。でも、歌やお芝居での表現というものにはすごくトライしてみたいなと思っていたので、「ぜひお願いします!」とお返事したんです。

――『女の子はDejlig』は、まさに“声で表現をする”という作品になっていますね。

そうですね。いまお話したような表現欲を、どうCDで実現させようかと考えたときに、「朗読っぽいものを入れつつ、いろんなキャラクターとして歌もうたわせていただけたら、表現できるのかな?」と思って。打ち合わせでも、いろいろお話させていただきました。

――西田さんからも、アイデアはかなり出されていた?

自分からというよりは引き出してもらった感じですね。私自身、はじめはCDを製作していく流れがわからなかったので、最初は「普段はどんな音楽聴くの?」というところからディレクターさんとお話させてもらって。徐々に徐々に自分の中で「こういう曲が好きなんだ」「こういうの歌ってみたいんだ」ということがわかってきて、それをひとつずつお伝えしたものを、ディレクターさんがまとめてくださって今回の形になったんです。

■リーディングパートは、聴く人それぞれの想像で受け取ってもらえたら

――デビュー作からリーディングとあわせたひとつのコンセプトアルバムというのも、珍しい形だなと思いました。

それも、話の流れでふとした瞬間に言ったことがきっかけだったと思います。私、お話とか童話がすごく好きで、そういうものをCDで伝えることはできないかな? みたいな話がきっかけで決まった記憶があります。

――リーディングも含めて、アルバムの全体像が見えてきたときには、どう感じられましたか?

初めて全体像が見えてきたのは児玉雨子さんからリーディングの初稿を見せていただいたときで、「ひとつのアルバムとして、こういう感じになっていくんだ」ということがすごく明確に頭の中に浮かびました。ただ、「自分が表現したい世界観も、伝えたいこともすごく表現してもらえてる」と思ってうれしかったのと同時に、逆に「お客さんにはどう取られるんだろう?」と緊張感も生まれてきましたね。だから発売前の今は、喜びと緊張感というふたつの気持ちの間で揺れ動いている感じです。

――どう受け取られるかのドキドキがある。

そうですね。でも、「こういうふうに捉えてほしい」という想いは特になくて。聴く人それぞれが、自分の中で想像して物語のイメージを作っていただけたら。私も妄想をガッツリ入れたので、みなさんも妄想をガッツリ入れ込んで聴いていただけたらうれしいです。

――さて、ここからはその楽曲について、流れに沿ってお聞かせください。まず「Bubble Balloon Museum」は、日常に疲れた女の子のリーディングに続いて華やかな曲がくるところに、意外さを感じました。

冒頭の語りは、児玉さんが物語のスタートにふさわしい雰囲気をつくってくださいました。「いちばんはじめにガンッ! って落としてあえて差をつけることによって、その曲がさらに華やかに聴こえるっていうのを狙ったんです」とおっしゃっていました。全体のバランスを考えて聴こえ方までこだわって作ってくださったことに、さらに感動しました。

――サウンド自体は、すごくショーっぽい華やかな感じで。

そうですね。この曲はこのアルバムのOP曲と言ってもいいくらい「さあ始まるよ!」というイメージでお願いした曲で、ドラムで「のぞみるワールド開幕!!」みたいな世界観を表現していただいたんです。おかげで「これから何が始まるんだろう?」っていうわくわく感がすごくある曲になったなって思ってます。

――そのわくわく感や幕開け感は、歌うときにも意識されましたか?

そうですね。この曲は「跳ねるように歌ってください」ってディレクションしていただいたので、聴いてる人も心が弾む感じになってもらえばなと思いながら歌わせていただきました。