自身初となるライブツアーも成功を収め、ますます高みへと上り続けるアニソンシンガー・亜咲花。彼女が4月24日に発売するニューシングル「この世の果てで恋を唄う少女」は、OPに起用された『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』の世界観を反映したミステリアスさを持ち、デビュー当初の彼女の楽曲も彷彿とさせるナンバー。

  • 亜咲花

    亜咲花(あさか)。1999年10月7日生まれ。愛知県出身。アミュレート所属。2016年10月に17歳の高校生アニソンシンガーとしてTVアニメ『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』EDテーマ「Open your eyes」でデビュー。TVアニメ『ゆるキャン△』OPテーマ「SHINY DAYS」、TVアニメ『ISLAND』EDテーマ「Eternal Star」、TVアニメ『『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』OPテーマ「この世の果てで恋を唄う少女」を担当
    撮影:稲澤朝博

近作とは少々方向性の違うこの曲ならではの試行錯誤など、制作の裏側について聞いた。

■ファンのエネルギーと、自分への“好き”を感じた初のツアー

――先日1stツアーを終えられたばかりですが、やはり思い出深かったことも多かったのでは?

そうですね。やっぱりツアーファイナルの東京公演がすごく印象に残っているんですけど、その中でも特に「feat. future」を歌ったときですかね。あの曲はライブで歌って初めて完成する曲だなと思っていたので、去年秋のレコーディングから半年越しに、ようやくその楽曲の完成を聴けたというのもすごくうれしくて。しかも名阪も含めて「一緒に歌ってー!」ってみんなにマイクを向けて歌ってもらったところでは、みんな完璧にサビの1フレーズ全部を歌ってくれたんです。それもすごく感動して!本当に自分の曲をみんな好きで、歌えるぐらいまで聴き込んできてくれたんだなって改めて実感できた場でもあったので、特に「feat. future」に対しての想いはめちゃくちゃありますね。

――今回のツアーは、アニソンカバーも含めて曲数も多いものでした。

ありましたね。20曲以上。でも、だからといって「つらいな」「大変だな」っていうのはありませんでした。ただ前半の怒涛の、通称“殺人セットリスト”が終わったあとに1回衣装チェンジのためにステージを降りたときは、なんか終わった感があって。「ライブ終わったー!あとはアンコールだけ!」みたいな感じだったんですけど、「いやいやいや、まだ6曲しか歌ってないから!」ってスタッフさんに突っ込まれたり(笑)。でもそれぐらいあの6曲にはそれぞれに魂込めてたんですよ。

――その分、序盤からのお客さんの盛り上がりもすさまじくて。

凄かったですね! 歌うたびに、みんな私が予想してるよりも遥か上のものをくれるんですよ。だから、私もそれ以上のものを返さないといけないとなって、でも私が返したらまたみんながそれ以上のものを返してくるから、果てしなくエネルギーが膨らんでいくような感じがして……そういうものも、特にこのツアーでは感じましたね。

――そのツアーで初披露されたのが、今回リリースのニューシングル「この世の果てで恋を唄う少女」です。まずは、OPに起用されている『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』という作品への印象をお伺いしたいのですが。

1996年発売のゲームが原作なんですけど、自分が生まれる前の作品を担当させてもらうのが初めてなので、そこへのプレッシャーもすごくありました。でもアニメを観させていただいたら、テンポよく話が進むし、登場人物もたくさん出てきて、色鮮やかだなっていう印象も受けましたね。特に、登場人物の女の子たちにそれぞれすごく個性があって。今後そういうキャラクターたちがどう交わっていくのかっていうのが、すごく楽しみだなと思いました。

■自らの“アニソンへのアプローチ”自体を考えさせられた新曲

――今回も、作品のシナリオなども頭に入ったうえで歌われているんでしょうか?

それがですね、『YU-NO』という作品の内容自体もすごく難しいうえに、志倉(千代丸)さんの楽曲もとにかく謎めきすぎていたので、歌詞の解釈をするのにもすごく大変で困難で、「どうしようどうしよう?」っていうループに陥っちゃったんです。なので作品に関しては、あえて途中で深掘りをやめました。

――全部が全部知っている状態で歌うのも、この曲の場合は違うかもしれないと思った。

そうですね。知りすぎてないからこそ歌える曲もあるんだな」って初めて感じました。今回は“無機質な感じ”というのがポイントになっていて。それはゲームを全部やったりしていないからこそ出せたものなんじゃないのかなと思っているんですけど、その感情を出さない・無になるっていうのが今回のレコーディングでいちばん難しいところでした。

――その結論には、レコーディング前に至れたんでしょうか?

いや、それはレコーディング中に試行錯誤してたどり着いたことだったんです。元々は女神とか神様とか、そういうちょっとふんわりとした、あまり芯が通ってないような歌声でのアプローチを用意していったんですよ。でもそう歌ってたら、サウンドの強さで声がか細く聴こえちゃって、声が置いてかれて音だけが先に突っ走ってっちゃうような感じがして……こんなにサウンドと声が合わないのも、初めての経験だったんです。でも、パワフルに行ったら行ったで私が出すぎて『YU-NO』感がまったくなくなってしまったんです。それで、現場にいたみんなの意見を聞きながら“無になる”という答えにたどり着いたんです。

――その楽曲がOP映像と合わさって、毎話観ていくうちにピースが埋まっていくのが、視聴者側の大きな楽しみで。

志倉さんは、いつも歌詞にちょっとネタバレになりそうな言葉や、アニメのキーワードを散りばめていることが多いんです。だから最初はまったくわからなくても、ストーリーが進めば進むほど皆さんの中でこの曲がどんどん完成されていって、最後には「え、こんなことがこの歌詞に詰め込まれてたの?」って感じると思うんですよね。だからたぶん自分の歌い方も、アニメが終わった頃には感情移入しちゃってだいぶ変わっていると思っていて。歌えば歌うほど味が出る曲になりそうで、とても楽しみです。

――『YU-NO』もですけど、この曲自体もイントロからだいぶミステリアスですし。

志倉さんの曲ってピコピコ音とかEDMの曲っていうイメージが強かったので、民族風の曲調からイントロが始まったときには驚きました。でも、曲が進むにつれていつものEDMのパキッとしたような、転調も利かせた曲になってるので、サビに入った瞬間にはちょっとホッとしました(笑)。それと、今回は珍しくサビが長めの尺で、最後にドバーン! といちばん盛り上がるところを持ってきているので、すごくサビらしいサビになっていると思います。

――志倉さんの曲を歌われるのも、久しぶりですね。

はい。「Play the game」以来1年半ぶりなので、だいぶホーム感がありまして。それ以降にリリースした楽曲って、「SHINY DAYS」とか「Eternal Star」みたいにポップで明るくて、等身大に近い曲が多かったんですよ。ここに来てまた自分のスタートであるクールとかミステリアスというジャンルに戻ってきて、初心に帰れたんです。ただMVの撮影では、最近明るい楽曲が多かったので、笑わないことが大変でした。

――逆に。

そう。心のどこかに「歌大好き! アニソン大好き! MV楽しい!」っていう感情がいるので、目の形が笑ってたり口角が上がったりと(笑)、それが顔のどこかに出てしまうんですよ。なので今回はMVも含めて、“感情のコントロール”っていうのがすごく勉強になりました。