相棒となる恐竜=「騎士竜」と力を合わせて、邪悪なドルイドン族に立ち向かう正義の騎士たちの活躍を描く特撮テレビドラマ『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(テレビ朝日系全国ネット、毎週日曜あさ9:30放送)の劇場版『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』が、7月26日より全国劇場にて上映され、大ヒットを飛ばしている。

  • 岸田タツヤ(きしだ・たつや)。1992年生まれ、東京都出身。2009年に俳優デビューし、2010年『大人になった夏』2011年『僕たちは世界を変えることができない』2012年『リアル鬼ごっこ3』『悪の教典』2013年『図書館戦争』などの映画作品や、2014年『相棒Season12』第17話、2018年『今日から俺は!!』といったテレビドラマ、舞台、CMなど幅広い分野で活躍する。『仮面ライダーウィザード』(2013年)の第38、39話にもゲスト出演している。『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(2019年)のリュウソウブラック/バンバ役でヒーロー役に初挑戦する。特技はマイケル・ジャクソンのダンス。撮影:宮川朋久

『リュウソウジャー』初の劇場版となる本作では、テレビよりも舞台を大幅にスケールアップし、6500万年前の恐竜時代へリュウソウジャーがタイムスリップ。2019年2月17日から3月10日まで放送された『4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!!』にも登場した謎の戦士ガイソーグとリュウソウレッド/コウが一騎討ちを行ったり、リュウソウ族のルーツが判明したり、古代の騎士竜・キシリュウジンの活躍が見られたりと、どこを取ってもゴージャスな見せ場だらけの映画となっている。

リュウソウジャー単独インタビュー、今回は、メンバー最年長で豊富な戦闘経験を持ち、弟のリュウソウグリーン/トワを優しく見守る兄である"威風の騎士"リュウソウブラック/バンバを演じる、岸田タツヤが登場。人前ではほとんど笑顔を見せず、周囲と打ち解けるのをよしとしないバンバと違って、岸田本人は気さくな笑顔を絶やさずに、撮影時に起きたさまざまな出来事や仲間とのチームワークのよさについてなど、バンバの熱烈なファン="バンバ民"にも喜んでいただけるような、興味深い話を聞かせてくれた。

――2019年3月の放送スタートから、早くも4か月が過ぎた『リュウソウジャー』ですが、最初のころから今までを少しふりかえってのご感想からお願いできますか。

第14話から追加戦士のカナロ(演:兵頭功海)が登場するなど、もうここまで来たのか、早いなあ、という感覚もあるにはありますが、ここに至るまで1話1話の"道のり"をしっかりと感じながら撮影をやってきたという思いが強いです。

――リュウソウジャーの中でもバンバは、当初の「多くの人間を救うためには(マイナソーを生み出した)個人の犠牲はやむなし」といったシビアな考えから、コウたちとの出会いによってだんだんと「優しい心」を受け入れていく様子が話数を追うごとに細かく描かれていきましたから、岸田さんにとっても、個別のエピソードを積み重ねていく思いがいっそう強いのかもしれません。

「他のみんなと空気感が違う」という部分を、現在は貫いていますね。いまの段階ではまだ完全にコウたちの仲間になったという意識を持っておらず、みんなが集まっている場所でもバンバひとりだけ離れて立っているとか、微妙な距離感は常に意識しています。

――これから先、バンバがコウたちと完全に心を通わせ、仲間になっていくという展開に期待が持たれますね。

以前、脚本の山岡(潤平)さんやプロデューサーの方たちとお話をする機会があり、そのとき「バンバがいちばん普通の人に近いメンタルだ」とうかがったことがあります。ある程度年齢を経ていると、1年間のうちにガラリと変化するようなことなんて、それほどないんじゃないかと思うんです。昨日は穏やかだったのに、今日になるとまたムスっとしていたり、変わった?と思わせてまた元に戻る、なんていうキャラクターでもいいのかな……って話をしていました。

――第8話「奇跡の歌声」で敵をだます作戦が見事に成功し、コウとトワが笑顔でハイタッチをした直後、隣にいたバンバがあえて顔を反対側に向けながら拳を突き合わせるという見事な"ツンデレ"ぶりを見せます。仲間と打ち解けるつもりではないのに、ノリは合わせる……みたいな部分がバンバの魅力を際立たせていましたね。

あのカットって、5人がそろっているところを長回しで撮影する中の、フリー演技のところを抜き出してもらっているんですよ。僕としては、まさかあそこが使われるとは思ってもなかったんです(笑)。これが放送されたとき、Twitterでたくさんの方から感想をいただいたりして、自分では何気ないシーンだと思って演じたことに、大きな反響があってびっくりしました。ハイスピード撮影(スローモーション)で、かなり長いこと撮っていて、いろんな動きをしていました。最初は何もしないつもりだったのに、コウたちがバンバにもハイタッチをせがむので、最終的にどうしようもなくなって、目を合わせずに拳を出すという芝居をしたんです。

――テレビを観ている子どもたちにとっても、強いけれどちょっと"怖い"感じのするバンバがああいった仕草をすることで、親しみが湧いたのではないかと思います。

それはあるんじゃないでしょうか。さきほど「バンバは変化しない」と言いましたが、コウたちと出会ったことにより、わずかな変化は絶対出てきているんです。最初はコウを「お前」と呼んでいたのに、だんだんと名前で呼ぶようになるとか。意識的に心を許さないようにはしているものの、やっぱり仲間意識が芽生えている部分もあるんです。

――意外にも……という言い方は失礼なのですが、バンバは子どもたちの人気が高いとうかがいました。岸田さんご自身がバンバ人気を実感するような出来事があったら教えてください。

外を歩いているとき、ありがたいことに声をかけてもらえることが増えましたね。僕は最初、バンバはお母さま方だったり、特撮ファンのみなさんにアピールできればいいのかなと思っていたのですが、意外と小さな子から「バンバが好き」という声が聞こえてきたりして。女の子のバンバファンもいるのだそうで、とてもうれしいです。インスタグラムを見ていると、お母さんが作ってくれたであろうバンバの衣装を着たお子さんの写真が上がっていて、「おお~けっこうイケてるなあ」なんて思ったりもします(笑)。

――リュウソウブラックだけに、黒を基調としたバンバの衣装は非常にカッコいいですし、子どもたちがコスプレしたくなる気持ちがよくわかります。

この衣装を着るとサイドにくびれができて、スリムに見えるんですよ。反面、ちょっとでも太るとすぐわかってしまって、周りから指摘されるので体型の維持には常に注意しています。

――そうなると、劇中でバンバが何か美味しいものを食べる、というシーンがあったりすると、あとあと大変かもしれないですね。

でも、今まで劇中に出てきた料理などは、よくみんなで食べているんですよ。アスナの(尾碕)真花なんてずっと食べてる(笑)。バンバが直接、劇中で何かを食べているところはないものの、スタッフの方がいつもアツアツで美味しそうな料理を準備してくださるので、スタジオの中がいい匂いに包まれるんです。だからどうしても食べたくなって、撮影が終わったものとか、映っていないところで美味しくいただいています(笑)。

――初対面のときと現在とで、もっとも大きく変化・成長がみられる方は、どなただと思いますか。

それはもう、間違いなく小原くんですね。彼はいま17歳で、人として成長する時期なんです。隣で見ていて「凄い!」と思います。顔つきがみるみる精悍になっていくのには、感動を覚えます。もともと、どこに行くのも10分前到着を心がけているなど、みんなの中でもいちばん行動がしっかりしているんです。僕たちは兄弟として一緒にいる時間が長くて、それだけに小原くんが僕からいろいろなものを感じ取ってくれたりして、何かいい影響を与えることができていたらとてもうれしく思います。

――まさに、優秀な弟を自慢する兄といった雰囲気で楽しそうな岸田さんを見ていますと、ほんとうに2人が兄弟のように思えてきます。

いやあ、たぶんほんとうの兄弟なんじゃないですか(笑)。彼の成長ぶりを近くで見ていると、僕自身も負けていられないなって思いますし、元気づけられることが多いです。

――岸田さんのTwitterを拝見していますと、かつて「仮面ライダー」「スーパー戦隊」シリーズなどに出演経験のある俳優さんとのツーショット写真があったりして、ヒーロー同士の素敵な交友関係がうかがえますね。

磯村勇人くんとはかつて『今日から俺は!』で共演していましたが、そのときは彼が『仮面ライダーゴースト』に出演(仮面ライダーネクロム/アラン役)していたとは知りませんでした。自分が『リュウソウジャー』に出演することになってから、過去の「スーパー戦隊」のことをいろいろ調べていくうちに、すごい仮面ライダーや戦隊のヒーローたちと知り合っていたことに気づいて、こんど会ったら写真撮ろう、なんて思ったんです(笑)。稲葉友(『仮面ライダードライブ』仮面ライダーマッハ/詩島剛役)くんや戸塚純貴(『仮面ライダーウィザード』奈良瞬平役)くん、菅田将暉(『仮面ライダーW』フィリップ役)くんたちとも仲良くしていて、彼らと写真を撮ったら特撮ファンの方たちに喜んでもらえるかな~と思いつつ上げています。

――現在はご自分も、子どもたちの憧れであるヒーローの仲間入りをされたわけですが、ヒーローにつきものの「変身」ポーズを取ったときはどのような思いを抱かれましたか。

しびれましたね。僕自身が、ヒーローの変身ポーズの細かい部分までよく見てマネをして遊んでいた子どもでしたから、こんどは自分の変身ポーズをマネしてくれる子どもたちがいるのかな、と思うとたまらない気持ちになります。