――岸田さんが子ども時代、憧れた特撮ヒーローは誰ですか?

『超力戦隊オーレンジャー』(1995年)、『激走戦隊カーレンジャー』(1996年)あたりがもっとも古い記憶の中でのヒーローで、いちばんハマって観ていたのが『星獣戦隊ギンガマン』(1998年)ですね。ギンガマンの玩具で遊んだ思い出が鮮明に残っています。5人の戦士の中でも、レッドとブルーでは変身の仕方が細かく違っていて、僕はそういうところに目が行く子どもだったんです。ですから、バンバならバンバだけの動き、みたいなものを強く意識しています。エンディングのケボーンダンスにしても、リュウソウジャーそれぞれの個性が出ているよう踊っています。

――アクションシーンもひんぱんに出てきていますが、特に第7、8話と第15、16話での坂本浩一監督回では、ドルン兵と激しい立ち回りをしながらリュウソウチェンジを行うなど、アクティブな演出が際立っていました。

僕はもともとアクションが大好きで、坂本監督がじっくりとアクションシーンに時間をかける方ですから、とても相性がいいなと感じています。第7、8話よりも第15、16話のほうがいろいろなアクションに挑戦していますし、これからもさらなるアクションにチャレンジしてみたいです。

――記者会見でのフォトセッションなどでも、バンバとして写真に撮られる際はぜったいに"笑顔"を見せないなど、岸田さんのヒーローを演じるにあたっての"こだわり"はとてもすばらしいと思います。

ヒーローというのはふだんからイメージが大事だと思っているので、そこはしっかりとやっていきたいですね。でも、今困っているのは、街で「バンバ!」と声をかけていただいたとき、どういう反応をしたらいいのかというところです。バンバのノリで対応すると、僕がすごく冷たい男のように思われてしまいそうで。さすがに素の自分はバンバと違いますから、ふつうに優しく接したりすると、お母さん方から「えっ、バンバってそんな人だったんですか」みたいに言われてしまって、外で対応するのがなんて難しい役なんだ!と改めて思いました(笑)。ただ、「意外です」と思われるってことは、それだけ自分がテレビの中でバンバのイメージをしっかりと作り上げることができていたんだなと、安心する部分でもありますね。自分自身は子どもたちが好きなので、優しく接してあげたいんですけれど、どうしたものかと……。答えがなかなか見つからなくて、ヒーローの先輩たちにお尋ねしたいところです。

――今まで笑顔を見せなかったバンバですが、7月14日放送の第17話「囚われの猛者」では、ラストになんともいえない「フッ」という微笑みをもらして、Twitterで大評判を取りました。外を歩いていらっしゃると、これからもっと子どもたちが寄ってくるのではないでしょうか。

今までの傾向だと、子どもたちは自分からはこっちに来ないんですよね。なるべく僕は、子どもと目があったら、自分から近くへ行くようにしています。

――第13話「総理大臣はリュウソウ族!?」ではバンバとトワ兄弟のマスターの存在がほのめかされましたが、岸田さんや小原さんはこういったストーリー展開上の"謎"の正体を事前に聞かされているのでしょうか。

僕たち自身、新しい台本をいただくまで、この先に何が待ち受けているのかまったく知らずに演じているんです。やっていて「こうだったの!?」と思いながら芝居をするときもあって、それは初めての経験なのでとても難しいです(笑)。先がわからない状態での芝居は、役者としては不安ですし、楽しみなところもありますし……。ただ、謎の部分がわかってから過去(の演技)をふりかえって、「こうしておけばよかった」と後悔はしたくないですから。いま、何をどうやれば最善なのかを考えながら芝居をするというのは、役者として非常に勉強になります。

――リュウソウジャーのみなさんは非常にチームワークがよい印象を受けましたが、仲間たちとのいい関係がバンバの演技に影響を及ぼす、ということがあったりしますでしょうか。

ここ最近の場面写真を見ていると、最初のころと比べてバンバの表情がやや穏やかになってきている感じですよね。これは他のみんなも同様なのですが、一緒に過ごしている時間の長さゆえにそうなっていると思っています。僕自身、自分から発信するタイプではなく、いろんな人から芝居を"受け取る"役者でありたいんですが、いまの僕の表情に"カドが取れて"きているのは、仲間のみんなから何かをもらったことによる変化だということなんです。最初のころとは全然違う空気感が今はありますし、1つのことを言えば、5つ6つのことがわかってくるようになったということを、お互いが感じていると思うんです。

――メンバー最年長で役者としても経験を長く積まれている岸田さんだけに、他のみなさんから"兄貴"のように慕われているような印象がありますね。

わからないことがあればみんな「タツ兄タツ兄」って聞きに来てくれるのは、うれしい事ですね。誰かがだらしない部分があったら注意する、みたいなポジションでいないといけないかなと思っています。でも、注意をするときは口で直接言うんじゃなくて、僕自身が行動を示して伝えられる存在になれたらいいなと思っているんです。みんな素直でいい奴ばかりですし、新しく入った兵頭(功海)くんも野球をやっていてすごく礼儀正しく、気持ちのいい男です。

――さて、7月26日より待望の映画『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』が公開されていますが、この映画の撮影で特に印象的だったお話はありますか?

僕としては、もう1日じゅうやっていたんじゃないかってくらい、ぜんぜん(演技が)出来なかったシーンがあって、それが強烈な記憶として残っています。テレビの第17話を経て、劇場版でバンバの仲間たちへの態度が今までになく"変化"するというところなんですけれど、まだ第17話を撮っていない(台本を読んだだけの)状態で、先に劇場版の該当シーンに入ったんです。これまではバンバの感情の推移を最初から順番どおりに積み上げてきたのに対して、まだやっていない部分を残しながら、その先を演じるというのは経験がないので、芝居がとても難しかったんです。演技で悩んでいるところに、雨が降ってきたりして。ロケ先は天気が変わりやすいとは聞いていましたが、自分が焦っているときに追い打ちをかけるように雨ですから……。やっぱり、うまくいったところはすぐ頭の中から離れていって、苦労したところだけが思い出に残りますね。それだけ悩み苦しんで作り上げたバンバの表情の変化を、ぜひ劇場のスクリーンで確かめてみてほしいです。

――第1、2話ではまだバンバとトワの出番がなかったので、岸田さん、小原さんと上堀内監督は劇場版で初めてお会いしたんですね。上堀内監督はインタビューで「役者のみんなには厳しく接していた」とお話されていましたが、岸田さんは上堀内演出をどのように捉えていましたか?

うまくできなかったら"切られて"しまうような芝居を、むしろ拾っていただいて、使えるまで繰り返し演じさせてもらえている、というのは、監督の役者に対する"優しさ"なんじゃないかと僕は思っています。これからも監督の要求に応えられるよう、僕たちがどんどん役者としてレベルを上げていかなければならないとも思っています。

――映画ならではの、バンバの見どころを教えてください。

今回の映画では、コウが単独で行動するため、メルト、アスナ、トワ、バンバの4人でいる場面が多くなっています。台本を読んだとき、ふだん一緒にいるはずのコウがいない状況の中で、メルトとアスナの頑張る様子と、コウが戻ったとき、前よりもちょっと成長した2人とどういう関係性を築いていくか、がとても興味深く描かれていました。それゆえ、バンバとしては彼らを支え、見守っていくポジションに徹したいと思ったんです。合間にバンバの小芝居は入れていますけれどね(笑)。自分が前に出ていって何かをするのではなく"出ていかない"ことの難しさを感じました。戦隊は基本5人の仲間がいて、カナロが加わって6人になりましたが、1人がセリフをしゃべっているときでも後ろの5人はただ立っているだけではいけませんからね。むしろ、メインでセリフをしゃべっていない場所での「あのときのバンバが良かった」とみなさんから言ってもらえるようにするのは、どうしたらいいのか……といつも考えています。これからもバンバと『リュウソウジャー』の応援を、どうぞよろしくお願いします!

劇場版「ジオウ・リュウソウジャー」製作委員会 (C)2019 テレビ朝日・東映 AG・東映