昇給しても、その分「所得税」が増えたのでは、がっかりします。身近なはずなのに、意外としらない所得税。たとえば、年収に対する所得税率はどのような段階があるのでしょうか。また、所得税にはいろいろな控除があります。知識がなければ、せっかく受けられる控除分が損失となってしまいます。大切な給与ですので、常に最新の所得税の知識を理解しておきましょう。

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所得について、正確に理解していますか?

「所得」とは給与の年収のことではありません。所得税の算出の手順としては以下のとおり。

1.給与の年収から給与所得控除を差し引いて「給与所得の金額」を算出します。

給与所得控除とは、一般的な経費です。サラリーマンでも背広や靴など、仕事をする上で必要なものがあります。それらを給与所得控除として、収入金額に応じて控除されるのです。自営であれば、それぞれ明細を示して経費として計上しますが、給与所得者の場合は一定の比率で控除されることになっています。

500万円の給与収入を得ているAさんの例で計算してみましょう。 Aさんの給与所得の金額は下記の表より、500万円-(500万円×20% +54万円)=346万円(※)となります。

(※)給与所得者の特定支出控除の特例の適用を受ける場合には、その金額を差し引いた後の金額

2.次に「給与所得の金額」から所得控除額を差し引いて、「課税所得金額」を算出します。

それがいわゆる「所得」となり課税の対象となるのです。所得控除には、基礎控除、扶養控除、配偶者控除、社会保険控除など14種類あります。

Aさんの所得控除額の合計が200万円とすると、Aさんの課税所得金額は、給与所得の金額346万円-200万円=146万円となります。

3.そして「所得税金額」を算出します。

Aさんの所得税額は下記の表より、146万円×5% =7万3千円です。

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税率は上記の表のとおりに段階的に変化しますが、実際はその年の所得控除額や特定支出控除額などによる影響が多いとわかります。

4.最後に、上記の所得税額から住宅ローン控除などの税額控除を差し引いた金額とその金額に2.1% をかけて計算した復興特別所得税額を合計して、「所得税+復興特別所得税」を算出します。

Aさんには税額控除分がないとして、Aさんの所得税+復興特別所得税は、7万3千円+7万3千円×2.1% =7万4,500円となります。※100円未満切り捨て

配偶者控除はどうなる?

本人の年収と税率の関係のほかに、配偶者の収入に対する変化も影響します。夫婦ともフルタイムで正社員として共働きしているケースの所得税額は上記の手順ですが、妻がパートで働いている場合は、さらに別の要素が加わります。

妻がパートで働くときに、よく言われてきたのが「103万円の壁」、「130万円の壁」などです。妻が一定範囲以上の収入を得ると、夫の配偶者控除が受けられなかったり、夫の扶養手当が無くなったり、夫の社会保険の扶養から外れるなどで、むしろ不利益があるとされたラインを「壁」と言われてきました。

では現在、給与収入によって、どのような変化があるのでしょうか。段階ごとに見てみましょう。

・93万円~100万円(自治体によって異なる)を超えると住民税が発生します。
・103万円を超えると、所得税が発生。会社によっては配偶者手当が無くなります。
・130万円を超えると、配偶者の社会保険の扶養から外れ、自分自身の健康保険と年金の保険料を支払うことになります。
※一定条件の企業等に一定条件のもと働く場合は106万円以上が該当するケースもある
・150万円を超えると、配偶者(給与年収1,120万円以下)は配偶者控除が受けられません。
※給与年収が1120万円を超えると配偶者控除が減額され、1,220万円を超えると0になる

上記のガイドラインで問題になるのは、130万円を超えると自分で保険料を支払わなくてはならなくなり、かなり負担が大きくなる点です。年収が20万円アップしても手取りが同じということもあり得るのです。

収入がアップすれば確かに所得税もアップしますが、収入以上に税金が増えることはなく上昇分はごくわずかです。働ける時間、働きたい時間をフルに費やして収入アップを図るのが健全と言えるでしょう。


所得税には総合課税と分離課税、課税所得と非課税所得、申告納税と源泉徴収など、いろいろな区分があります。働いている限り、原則支払い続ける所得税ですので、正確な知識は重要です。

また若い方は多少リスクがあっても、一定範囲の投資も必要です。その場合も税金の知識は重要となりますので、理解しておきましょう。