――戦国時代の合戦シーンでは、一般公募によるエキストラの方々が参加されたそうですが、みなさんの演技についてはいかがでしたか。

1200人くらいの方が駆けつけてくださって、とても迫力あるシーンが撮影できました。これくらいの人数が集まると、しっかり映画ならではのスケール感が出ますので、ご参加のみなさんにはひたすら感謝しています。当日は運よく好天に恵まれ、ほんとうに撮りたいカットをぜんぶ撮ることができて、よかったです。雨が降ったりすると、予定通りカットを消化できなかったりしますからね。エキストラ参加のみなさんによる仮面ライダーへの愛が、晴天を呼んでくれたものだと思っています。

――後世に残っている史料では"魔王""暴君"として知られている織田信長ですが、ソウゴやゲイツが出会った信長は、史実とずいぶんイメージの異なる意外な一面を持っているそうですね。この「歴史に記されたことと実際との"相違"」という部分は映画の中でも重要な意味をもたらしているのではないかと思うのですが、こういったアイデアに至った経緯とは何でしょうか。

僕たちが学生時代に学んだ信長と、さらに研究が進んだ現在の信長とは人物像がかなり異なってきているという説も出てきているそうなんです。実際の信長がどういう人物だったかは、実際にタイムマシーンでもない限り知ることはできないんでしょうけれど、教科書や小説で読んだ織田信長のイメージは、後世にいろいろ作られたものが混ざり合っていて、歴史研究の観点からすると"違う"ってところがいくつも出てくるじゃないですか。反対に、今僕たちが観ている"現在"が、未来に遺される"歴史"になったとき、ぜんぜん事実と異なる内容になっているかもしれない。そういった"歴史"のあいまいさ、不確かさを信長という人物に担っていただいたということですかね。

――テレビシリーズとの"つながり"の部分としては、歴代19人の平成仮面ライダーの力を「ライドウォッチ」として受け取ったジオウが、唯一『仮面ライダードライブ』(2014年)のみウォッチを直接受け取っていないことから、力を継承できていないという要素がありましたね。

あの「ドライブライドウォッチ」は、ゲイツが番組開始当初から持っていたものでしたからね。この映画の中で、ソウゴがドライブライドウォッチを手渡されるのかどうか、というところにも注目してほしいです。

――映画のゲストとして登場し、主題歌も歌われるDA PUMPのみなさんについての印象を聞かせてください。リーダーのISSAさんは過去に『仮面ライダー555』の主題歌を歌われた上に、大の仮面ライダーファンでもあるので、今回の出演をかなり喜ばれているのではないでしょうか。

ISSAさんは長石(多可男)監督の『仮面ライダーTHE FIRST』(2005年)にも出演していますが、今回では「ようやく変身することができた」とおっしゃってくださいました。仮面ライダーバールクスへの変身にも、すごく愛を感じましたね。ISSAさんについては、最近『U.S.A.』などでファンになった若い世代の方たちにとって、にこやかな表情のイメージがある気がするんです。今回の映画の中では、かなりいかつい顔でソウゴに迫るという場面があったりするので、若い人たちには新鮮に映るんじゃないでしょうか。お会いしてみて、やっぱりISSAさんはカッコいいなと思いましたね。そしてDA PUMPのみなさんは、こちらも普段の雰囲気とは違うものを出していただこうと演出してみました。その結果、とても謎めいた集団(クォーツァー)になっていますので、楽しみにしていてください。

――映画に登場する仮面ライダーの「バールクス」の名前が出ましたが、バールクス、そして「ゾンジス」「ザモナス」という3人の仮面ライダーの名称の由来やデザインモチーフなどが、発表会見以来ファンの間で大きな話題になりましたね。

そう。最初はマスコミの方たちから「なんでこんな名前なのか」とか質問されましたけれど、いまここで答えなくても、ファンの人だったらすぐピンとくると、僕は思っていました。写真と名前が発表された瞬間、もう秒殺という感じで(笑)。あえてヒントを言いますと、バールクスは「BARLCKX」、ゾンジスは「ZONJIS」、ザモナスは「ZAMONAS」と、平成の世で活躍しながら「平成仮面ライダー」にカウントされていない仮面ライダーたちの名前のアナグラムになっているんです。

――冬の映画では、歴代平成仮面ライダー19人がそれぞれの得意技を披露し、見せ場たっぷりに活躍していましたが、今回も歴代仮面ライダーの大集合を期待してもいいでしょうか。そして、ジオウに続く新たな仮面ライダーとして先日発表があった『仮面ライダーゼロワン』の"初お目見え"があるかどうかも気になります。

すでに仮面ライダーマッハ/詩島剛(演:稲葉友)の登場は発表されていますけれど、他にも意外な仮面ライダーが姿を見せるかもしれません。詳しくは公開日まで言えませんが、仮面ライダーを本気出して"復活"させると、ここまでやるぞ、ということだけは申し上げておきます(笑)。そして、毎年夏のお楽しみですので、ファンのみなさんへの"お土産"として新たな仮面ライダーの姿もお見せできると思いますよ。

――楽しみです! 最後に改めて『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』の見どころを一言、お願いします。

『仮面ライダークウガ』(2000年)から『仮面ライダージオウ』までの20作が「平成仮面ライダー」と呼ばれるようになったのは、やっぱり平成という"時代"とミックスして仮面ライダーを捉えてくださっている――視聴者の方がそれぞれの時代の仮面ライダーの存在に、ご自身の思いを重ねられている――方が多いからかな、と思っています。最初のころはそんな呼ばれ方はしていませんでした。『アギト』『龍騎』『555』とやってきて、そのあたりから「平成仮面ライダー」シリーズと呼ばれていくようになったんです。今回の映画は「平成」の時代を生きたジオウたち「平成仮面ライダー」の物語を締めくくるにあたり、どういう作品を作ればいいかということを、作り手が真剣に考えて生み出した作品となっています。見せ場が満載された映画ですので、ぜひ多くの方々にご覧いただきたいです。

劇場版「ジオウ・リュウソウジャー」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映