スカルプDボーテなどの商品を展開する予防医学のアンファーはこのほど、スタイリストの大草直子さんとウィメンズヘルスクリニック東京の浜中聡子院長によるセミナーを東京・南青山にて開催した。

同セミナーは「女性特有の変化・悩みに答える大草直子さんと浜中聡子医師による女性の #元気貯金 セミナー」と題し、年齢とともに複雑化していく女性ならではの不調や悩みについて、そのメカニズムや対処法を解説した。

  • 「女性特有の変化・悩みに答える大草直子さんと浜中聡子先生による女性の #元気貯金セミナー」が東京都で開催された

今回のセミナーは、Dクリニックグループのウィメンズヘルスクリニック東京とアンファーが7月3日より共同で始動した「女性の #元気貯金 プロジェクト」に伴い開催されたもの。同プロジェクトは女性がもっと楽しく生きられるよう、小さな発想の転換やちょっとした工夫を提案していくという。

このような「女性がずっと元気でいるための貯金」を「元気貯金」と提唱し、今回のセミナーでは、さまざまな女性特有の悩みについて解説やアドバイスが行われた。

  • スタイリストの大草直子さん

  • ウィメンズヘルスクリニック東京の浜中聡子院長

更年期障害をはじめ、女性にはライフサイクルの中で女性特有の悩みが存在している。そういった悩みを解消していくためには何よりもまず、「今の自分を知ることが大切」と浜中医師は指摘。自分を知るうえで重要になるのが女性ホルモンだ。

「女性ホルモンの分泌量は一生の中でわずかスプーン約1杯分しかありません。これは増やせませんから、減っていくことはしょうがないです。そのため、なるべく減らないようにしていくことが重要です」

  • 女性ホルモンの分泌量は加齢とともに減少していく

女性ホルモンは20代後半をピークにだんだんと分泌量が減り、40代から50代で極端に減少してしまう。分泌が少なくなってしまう時期が更年期と呼ばれ、女性ホルモンの分泌不足により、疲労感やめまい、イライラ、不安感、頭痛、関節痛、顔面紅潮、発汗などのさまざまな不調を起こしてしまう。

中でも、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが不足してくると、ホットフラッシュなどの更年期症状、肌の衰え、記憶力の低下、骨粗しょう症、メタボリックシンドロームなどにつながってしまうケースも少なくない。これらの不調や疾患については、自分自身のホルモン値を知ることで、今の自分の状況を詳しく知るパロメーターとなる。

  • ホルモンバランスの乱れはさまざまな疾患につながる

ホルモン値を把握しておくことのメリット

この女性ホルモンは、浜中医師のクリニックの「からだエイジングドック」と呼ばれる検査で知ることが可能。ホルモン値はもちろん、血管年齢や骨年齢、酸化ストレス、血液、内臓脂肪、体組成など、通常の人間ドックではわからないような部分までチェックできるという。実際、大草さんも浜中医師のクリニックで同検査を受けてきたと明かす。

「検査は1時間くらいですみました。仕事やプライベートなど皆さん忙しいと思うんですが、人間ドックは食事制限など、検査するうえでのルールも大変です。でもこの検査はそういう制限がありません。お付き合いで会食などもあるので、それもありがたかったです」(大草さん)

定期的に検査をしていれば、どのホルモンにどのような変化があったのか、経過を把握できる。何かしらの不調を感じてしまったときにホルモンの変化を自分自身で知っていれば、安心材料の一つになるだろう。

「私の母の世代だと、『女性ホルモンの話なんて人前でするものではない』と言われていて、後輩に話しても『まだお若いですよ』などと言われて相談できないし、先輩に聞くのもはばかられます。女性ホルモンの話題って、相談できる相手がいないんです」(大草さん)

だからこそ、しっかりと医療機関で相談できれば安心につながるし、体に負担の少ない形でホルモンを改善していくこともできる。日本は欧米に比べ女性ホルモンに対する認知や理解が進んでいないため、ホルモンのことを今後、広く女性たちに知ってほしいと話した。

髪は女性ホルモンの影響を多分に受ける

女性ホルモンが不足すると、先ほど挙げた不調や疾患とまでいかなくとも、女性なら誰しもが気になる部分に変化が起こってしまう。それが髪だ。

「髪については、女性ホルモンのピークである20代後半から30代が髪のハリやコシのピークです。それ以降はパサつきやうねり、抜け毛、細毛や薄毛などがどうしても進んでしまいます。これはどうしようもありません。髪の悩みでクリニックに来る人は非常に多いです」(浜中医師)

  • 髪は目につきやすい部分であるからこそ悩む人も多い

エイジングに伴う変化には個人差があるため、生活習慣の改善や場合によってはホルモン補充療法などで症状の緩和や改善が見込める。

大草さんは「ヨガをしたりお酒を飲んだりと、自分が楽しいと感じることはいろいろやります。逆に、ストレスに感じることはやりませんし、ストレスがかかりそうな場所には行きません」と女性ホルモンの大敵の一つであるストレスをためない工夫をしていると明かす。

また、女性ホルモンはストレスの影響も受けやすいので、ストレスコーピング(対処術)も大切になってくる。

「とはいえ、なかなかそれを実践できない人もいます。いざとなったらストレス源から逃げればいいので、『自分にとって何が一番大切なのか』という点はブレないようにしてください」(浜中医師)

ストレスをはねのけるようなレジリエンスの力を得られるような気持ちの持ちようが、ホルモンにも良いのだ。もちろん、自分の力だけでの解決が難しい場合は医療のアプローチを受けることもできる。

例えば、50代のエンジニアの女性のケースでは、内服薬や外用薬の塗布により、ホルモン値がエストロゲンで10未満pg/mlだったものが1年7カ月で25pg/mlに上昇。プロゲステロンは0.03未満pg/mlだったものが1.14pg/mlまで上昇し、頭髪も明らかに状態が良くなっている。

  • 女性ホルモン値の改善に伴い、毛髪も明らかに増えている

「この方は仕事柄、帰宅も遅い不規則な生活をされており、会議の席で自分だけ大汗をかいてしまうなどを気にされて受診に来られました。数値は決して驚くほど増えているというわけではありませんが、それでもこれだけ改善しました。髪の毛だけでなく、体調も大きく改善しています」(浜中医師)

夏は外気もうまく取り入れよう

さらにセミナーでは続けて、働く女性が元気に夏を過ごすためのホルモンバランスを保つ習慣にまつわる解説がされた。

まずは「エアコンの涼しさ+外気の暑さを上手にミックス」すること。空調が効きすぎて寒いくらいの場所とうだるような外の暑さの行き来を繰り返すうち、夏バテのような感じになってしまった、というのは誰しも覚えがあるのではないだろうか。

「近年の夏の暑さをみると、エアコンなどの電化製品を使わずに過ごすことは難しいですが、人工的な涼しさの中にずっといることも体に良くありません。外気を取り入れながらエアコンも併用する、つまり窓を開けつつエアコンも使うのが体には一番負担が少ないのです」(浜中医師)

浜中医師は髪の紫外線対策についても言及し、頭頂部をしっかりとケアするため日傘や帽子を日常的に使うことを推奨した。UVケアについては、「毎日塗っても負担の少ないものを使うことが重要で、顔などの肌だけでなく頭皮もしっかりとケアをしましょう」とアドバイスを送った。