6月から厳しい暑さの日が続出し、7月ともなれば夏真っ盛り。何をなすべきかといえば、夏バテ予防。何よりも大事な食事から対策していきましょう。医師の木村至信氏(以下、キムシノ氏)に予防対策を聞きましたので、3回に分けて紹介します。

今回は、数あるファミレスの中でも「カレー」に力を入れているロイヤルホストから、夏バテ予防&健康効果を狙ったメニューです!

  • スパイスの配合や具材により変化するカレーは健康効果も多様

「夏こそカレー」は本当だけど、注意も必要!

確かに、「カレー=元気」というイメージがありますが、果たしてコレって本当? キムシノ氏は次のように教えてくれました。

キムシノ氏「スパイスの香りが食欲をよみがえらせ、体力が回復することもありますが、すでに夏バテしている胃腸にはカレーは厳しいです。なので、夏バテ「前」こそカレー!」。

カレーでおなじみのスパイスの話

カレーといえばスパイス。ターメリック、チリペッパー、コリアンダーなど、豊富なスパイスによる効能を期待できそうですが、夏バテ予防の観点からはどうなんでしょう?

キムシノ氏「コリアンダーにはビタミンやカロテンが含まれ、胃腸にも優しく、抗炎症作用もあります。クミンやシナモン、ローリエは昔、胃薬として使われていたことも。このあたりのスパイスはかなり有効です。食欲を増進させながらも、胃腸にも優しいので夏バテ予防にはピッタリ!

それから、辛味成分のチリペッパー。カプサイシン効果で血行は良くなりますが過剰摂取には要注意。激辛カレーは胃腸に大ダメージ。辛くするなら、大量のチリペッパーよりもブラックペッパーがお勧め」。

いわゆる「カレー色」となるターメリック。抗炎症作用がありますが、大量にとると肝臓に副作用がありますので、こちらもほどほどにとのこと。

食べる時間&つけあわせ次第で健康効果倍増!?

カレーはルゥが主役ですが、夏バテ予防効果が目的ならごはんとパンもしっかり選びたいところ。ロイヤルホストでは、ライスはブラウンマスタードシード+ジンジャー+ターメリック入りで、パンはクミンバター入り。なんだか健康に良さそうです。

  • 黄色いライスと、クミン入りのパンは見た目もユニークで食欲をそそる

キムシノ氏「ブラウンマスタードシードは、スパイスをパウダーにする前のシード(種のままの状態)。パウダーよりマイルドな辛味と、はっきりとした香りが良い刺激になります。夏バテ前でも夏バテ中でもいいですね。

ジンジャーは代謝アップと抗炎症作用があります。ターメリックも入って色も健康効果もGOOD。パンにもクミン入りということで、普通のパンよりもいいですね」。

食べ合わせの工夫としては、食事前に牛乳を飲んだり、サラダを食べたりするといいそう。ちなみに、横須賀海軍カレーは牛乳付き。これは、イギリスから入ってきた当初から「胃腸保護」のためらしいです。

自宅ならライスは玄米や雑穀米が理想的

キムシノ氏「夏バテ予防のためには、しっかりした食事が欠かせません。『3回食べるぞ』という意気込み(=食欲)が大事です。自宅なら、ご飯は玄米や雑穀米にすると最高です。パンなら全粒粉パンが理想的。

小麦の外皮(フスマ)を豊富に含む全粒粉は食物繊維が豊富で、血糖値の急激な上昇を防ぎ、血流改善効果もあり、腸内環境も整えてくれます。ミネラルも豊富で、疲れも取り去ってくれる効果まで」。

夏は暑くて料理も面倒。火を使わない簡単なものや冷たいそうめんだけ……のように単調になりがちな食事パターンに刺激を与える意味でも、カレーって良さそう。バテ気味で食欲減退中のみなさん、バラエティー豊富なカレーで夏を元気に乗り切ってくださいね!

  • 「2019カシミールビーフカレー」は辛さを抑え、ビーフがゴロゴロ

  • 「海老・イカ・ムール貝のシーフードカレー」はトマトの酸味がさわやか

  • 「ギャザリング・プラッター」はグリル料理を盛り合わせた一品。数名で取り分けて食べたい

取材協力 :木村至信(きむら・しのぶ)

女医。信州大学医学部卒業後、横浜市大医学部大学院にて医学博士取得。産業医・横浜市の往診耳鼻科医。夏バテの予防策や美肌、美声などについての監修仕事多数。 医師の傍らシンガーとしても活動中。