小野塚:確かにね。今回の作品は時代劇ということもあるんですけれど、それぞれの俳優が「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」をやっていたときと違うアプローチで芝居をしていますから。貴利矢やグラファイトのファンでいてくださる人たちに、異なる一面をお見せできればと思っています。

――クールキャラでありながら、どこか"笑い"を取ってしまうというのが、今回の右京とグラファイトとの共通要素ということになりますか。

町井:いや、僕は笑いを取っている気はぜんぜんないですよ(笑)。

小野塚:そうなんです。何が面白いかっていうと、町井くん自身がぜんぜん狙ってないところで笑いが起きていること(笑)。

――映画では「御前試合予選で兵庫と右京が対戦」→「屋台で酒を飲んでいた兵庫と凛ノ介(演:犬飼貴丈)が右京に絡まれる」というシーンの流れでしたが、実際の撮影ではこの2シーンが前後していたそうですね。

小野塚:そうなんです。町井くんに絡まれるシーンから先に撮ったので、翌日にあった「予選」の撮影ではその怒りをぶつけてやろうかと。

町井:右京に勝った兵庫が"雄たけび"を挙げるんですけれど、あれを聞いてマジで腹立ちましたよ(笑)。

小野塚:ウェアアアアッ!って、本気で叫びました。

――小野塚さんと町井さんが一対一で剣を手にして"戦う"のは『エグゼイド』ファンへのサービス的な要素だと思いますが、九条貴利矢とグラファイトが直接絡むことはほとんどなかったそうですね。

町井:僕はブレイブ/鏡飛彩(演:瀬戸利樹)とスナイプ/花家大我(演:松本享恭)と戦うことがほとんどでした。

小野塚:素面同士でこの2人が絡んでいた印象がなくて、町井くんとはアフレコの現場で会うことが多かったかな。

――「時代劇」というジャンルでお2人が共演したわけですが、それぞれ演じられた役柄の印象を聞かせてもらえますか。

町井:兵庫の役は貴利矢とは違うけれど、方向性としては似てるかなと思いましたね。

小野塚:貴利矢と比べると、すごくはじけてます。意味のわからないところですごく笑ったりするし。

町井:小野塚くんにすごく合っている印象を持ちました。

小野塚:兵庫は主人公の相棒、親友というポジションだから、そこは貴利矢に通じる部分があるかな。石田監督からは、「凛ノ介が陰なら兵庫は陽。兵庫が明るくふるまえばふるまうほど、それとの対比で凛ノ介の影のところが見えてくるんだ」と言われていました。ならば、ということで本当に底抜けに明るい人物を演じようと心がけました。

町井:右京は府月藩士・寺脇甚八郎(演:武田航平)に憧れていて、見た目も派手な格好で、刀も甚八郎と同じ長刀を使うという、ほんとうにイキがっているキャラクター。だけど、弱いという……。『ドラえもん』でいうところの"スネ夫"みたいなポジションで、と監督から言われていましたね。クールでカッコいい甚八郎を、いかに僕(右京)が引き立てるか……。こちらもまた"対比"のために置かれたキャラクターですから、そこは特に気をつけて演じました。

小野塚:……まあ、『エグゼイド』のときは仮面ライダーがよってたかってグラファイトをめった打ちにしてたから(笑)。

町井:その因縁がいまこういう形で来たか、って感じ?(笑) 乱闘になる直前、2人でこんなに顔を近づけ、感情をぶつけ合ったのは『エグゼイド』でもなかったですから、あの芝居は面白かったね。

――右京の衣装や髪型について、最初にご覧になったときはどんな風に思われましたか?

町井:なんで茶髪?って思いました(笑)。

小野塚:でもなじんでいたのか、すごく自然でしたよ。

町井:まあ、夜のシーンが多かったからね。衣装もすごく派手でびっくりしましたが、役柄の設定を聞いて「そういうことか」と納得しました。武田くんと僕だけが"中剃り"のカツラを被っていて、そこは本格的な時代劇に出演しているんだなと思い、嬉しかったです。

小野塚:中剃りは位の高い侍の証なんだそうですね。その点、兵庫は田舎道場の師範代なので、前髪を残しているんです。

――撮影スケジュールはどのような感じだったのですか?

小野塚:撮影が最初と最後に分かれていて、間が空いたのでそのとき町井くんと「東京に一度帰るか、京都にずっと居るか」で相談していたんです。

町井:結局、東京に3回くらい戻ったのかな? 東京でも仕事があったものですから。

――撮影の合間とかでは、京都の町に行かれたことなんてありましたか。

町井:そうですね。いろいろ渡り歩きましたよ。あと小野塚くんと一緒にゲームやってたり。

小野塚:ニンテンドースイッチでずっと『スマブラ』をやっていたんです。楽屋にいるときも出番になるまで、ずっとやっていました(笑)。

町井:航平くんや犬飼くんも途中から参加して、4人で対戦していました。

小野塚:さっき航平くんと話していたんですけれど、スイッチを購入したって言っていましたね。俺が『スマブラ』でボコボコにやっつけたのが、そうとう悔しかったみたいで……(笑)。

町井:外で出番を待っている間もゲームならできますからね。でも寒かったなあ。

小野塚:撮影が雨で1時間くらい中断になって、終わったのが夜の12時ってときがあったね。

町井:待っている間、ストーブの前に立って4人で待ちながら対戦していたのを思い出します。

――冬の京都はとても寒い、というウワサですが、今回の撮影もかなり寒さに悩まされたのではないですか。

小野塚:まだ12月だったから、寒すぎてどうしようもない、というほどではなかったんです。以前、京都で時代劇を撮ったときは2月で、しかも冷たい水をかけられて拷問される役でしたから、それがトラウマ級で「冬の京都、つらいな~」という印象を持っていました(笑)。

町井:凛ノ介と並んで井戸で話すシーンでは、上半身裸になってたから寒かったんじゃない?

小野塚:あそこはセット撮影だったので、それほど厳しい寒さじゃなかったんです。

――寒いといえば、『エグゼイド』の撮影時でも小野塚さんは「雨」の中での演技が多く、苦労されたそうですね。

小野塚:「雨降らし」の中で撮影するシーンが多かったんですよ。少しだけ降らせても画面ではわかりにくいので、もう滝のような雨が降るんです。一度、本当に雨が降ったことがあって、カットがかかっても雨に濡れたままずっと待っていたことがありました。夏の映画『トゥルー・エンディング』でも朝から晩まで天気はピーカンなのに、ずっと雨降らしの中で撮影していたのが、強烈な記憶として残っています。