――真咲の演技について、石田監督からはどんな要望がありましたか?

真咲は感情や思惑をストレートに出すのではなく、いろいろ胸に秘めるものが多い男なんですけれど、試写が終わったあと石田監督からは「違う色を出して、よく演じてくれた。大したもんだ」と言っていただけたので、アプローチとしては間違えていなかったのかなと思っています。

――映画では御前試合に出場する者たちは互いに得意技を駆使して戦うという見せ場がありますが、真咲は試合に出る役割ではないため、久保田さんとしては少々暴れ足りなかったところがあったのではないですか。

いやまあ、僕自身は与えられた役をこなすだけですからね。過去には、アクションシーンの連続みたいな作品もやってきていますし、逆にアクションがまったくない作品もありましたし……。そういう意味では、今回は立ち回りのない役柄でしたが、撮影前にみんなと一緒に殺陣の稽古をやったんですよね。僕は参加しなくてもよかったんじゃないかと今になって思います(笑)。もちろん、隠密としていざというときには敵と戦うんだ、という説得力をつけるには(稽古を)やったほうがいいんですけれど、アクションの分量的にはね。

――連日の撮影から離れて、お休みのときには京都の町を歩いたりされましたか?

宿泊先で京都ならではの美味しいものを食べたり、街を散策したりはある程度できましたね。府月藩の藩主・望月甲斐正を演じていた波岡一喜さんとは『仮面ライダー鎧武』以前からのお付き合いで、ご飯に連れて行ってもらったりしました。犬飼くんとも一度、餃子やラーメンを一緒に食べたことがありましたよ。彼のほうから誘ってくれて、撮影所の近くにあったお店に行きました。プロデューサー陣とは……あれ、誰からも声かけてもらわなかったぞ。5人もいたんだし、1日1人でローテーションが組めたはずなのに(笑)。まあ、撮影終了後の打ち上げは盛大にやってもらいましたけれど。

――久保田さんは犬飼さん、優希さんのお2人と絡む場面が多かったと思いますが、他の出演者で印象に残っている方はいらっしゃいますか。

流狂四郎役の元木聖也くんですね。以前に舞台でご一緒していて、最初向こうから「お久しぶりです」ってあいさつされたんですけれど、すごいメイクと衣装だったんで誰だかわからなくて(笑)。よくよく見ると「あっ、こいつ聖也だ!!」って気づきました。

――クランクアップのときの心境はいかがでしたか。

ひたすら寒かったのが思い出されます。もう、早く温まりたい!ってそればかり考えていました。出演者がみんなそろっている中で終ることができたのはうれしかったですね。その場ですぐ、軽い打ち上げをやりました。僕は打ち上げが好きなので。打ち上げのために仕事をしていると言っても過言ではないです(笑)。

――久保田さんにとって京都撮影所は馴染みやすい現場だったのでしょうか

この『GOZEN -純恋の剣-』の出演がきっかけとなって、京都に馴染み深くなったのは確かです。偶然にも、これ以来3か月、京都で舞台の仕事が連続しているんです。そうしたら、今や京都が第二の故郷と呼べるくらいになってきました(笑)。『GOZEN』のスタッフさんたちはみんな温かく僕らを迎えてくれて、撮影が終わったとき「またこっち(京都)へ帰っておいで」って言ってくださったんです。でも、そのすぐ後にお会いして「もう帰ってきたんかいな」というオチまでついた(笑)。僕としては、京都撮影所のみなさんとは非常に良い"ご縁"を感じましたね。『GOZEN』ではなく『GOEN』です(笑)。

――最後に、映画『GOZEN -純恋の剣-』の公開を楽しみにされているファンの形に、一言メッセージをお願いします。

「仮面ライダー」「スーパー戦隊」の各シリーズに出ていた役者さんたちが、石田監督のもとで新しいことにチャレンジした作品。今まで時代劇に馴染みのなかった若い方にこそ観てほしい、見せ場いっぱいの映画になりました。真咲がどういう結末を迎えるのかはここではお知らせすることができませんが、演じている僕自身が「まさか!?」と驚くような、衝撃的な場面が出てきます。ぜひたくさんの方々に劇場へ来ていただき、楽しんでもらいたいですね。

『GOZEN-純恋の剣-』あらすじ

幕府の隠密・青山凛ノ介は、幕府への謀反を企てている疑惑がある府月藩に潜入していた。その証拠となる書状が筆頭家老・神谷眞三郎の元にあるという情報を掴んだ凛ノ介は、神谷が参列する祭りに出かける。そこで美しい娘・八重と出会う。二人は瞬間的に惹かれ合うが、八重は他ならぬ神谷の娘であった。心を乱しながらも隠密としての使命を全うしようとする凛ノ介だったが、凛ノ介を隠密と疑う府月藩士・寺脇甚八郎が神谷と手を組み、八重との縁談を進め「御前試合で勝てば八重をくれてやる」と挑発する。だが、それは隠密たちを炙り出して公開処刑するため、藩主・望月甲斐正が企んだ死の宴であった――。

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