ミュージカル『ラ・マンチャの男』製作発表会見が13日に都内で行われ、松本白鸚、瀬奈じゅん、駒田一、宮川浩、松原凛子、上條恒彦、東宝取締役演劇担当 池田篤郎が登場した。

  • 左から宮川浩、駒田一、松本白鸚、瀬奈じゅん、松原凛子、上條恒彦

同作は1965年にブロードウェイで初演を迎え、トニー賞ミュージカル作品賞ほか5部門を受賞したミュージカル。1969年に市川染五郎(現 二代目松本白鸚)主演で日本初演を迎え、今回で50周年となる。名作『ドン・キホーテ』の作者であるセルバンテスが、劇中劇として田舎の郷士アロンソ・キハーナと、キハーナが作り出した人物ドン・キホーテを演じるろいう、三重構造となっている。

2018年1月に襲名し、「真新しいラマンチャでございます。何しろ、主演の俳優の名前が変わりました。本当にまっさらな気持ちで、いつもいつも勇気付けられてきた『見果てぬ夢』という歌を、悲しみを希望に、苦しみを勇気に変えて」と意気込む白鸚。「昨年度松竹さんにて高麗屋三代襲名をさせていただきましたけど、『ラ・マンチャ』は東宝の襲名だと思っております」と思いを表す。

前回公演を観劇し、今回初参加となる瀬名は「終演後にはあまりの感動に涙が止まらず、心が震え立ち上がれないという感動を体験いたしました」と感想を述べる。「この舞台に立てるという想像もつかないことが今起こっていて、とても幸せな気持ちと、やらねばという意気込みと、両方入り混じった複雑な気持ち」と心境を吐露した。

また同じく初出演となる松原は「胸がいっぱいになってしまう作品なんですけど、中でも好きなセリフが……」と言葉を詰まらせ、「『あるべき姿のために戦わないことは愚かしい』というセリフ。もしかしたらなれるかもしれない自分の姿のために、私も戦っていこうと思わせていただきました」と語った。

50年という長きにわたって同作が上演されてきたことについて、白鸚は「東宝さんと、私という歌舞伎俳優の『ラ・マンチャ』出演を承諾してくださった松竹さん、ふたつの演劇会社の、演劇人としての良心が実現させてくれてると思います」と感謝する。さらに「平和だったからと思います。上皇ご夫妻がご退位なさったけど、30年間は平和だったから『ラ・マンチャ』を続けてこられたと思っています」と平和へ思いを馳せた。

1970年にはブロードウェイからの招待を受けて行なったが、「中村勘三郎くん、のりちゃんがニューヨークで公演を行なったときに、僕のところに電話をかけてきて、よっぽどいやなことあがあったんでしょうね。『あなたはすごい! 歌舞伎界の野茂だ!』って」とエピソードを披露する。「日本ミュージカルのパイオニア」と称されたが、「私はここから先しか見えません」ときっぱり。「随分無理をしてますね、77にしては」と苦笑しつつ、「常に先を観ていたいんです。そういう思いを感じていただけるようなミュージカル」と、同作の魅力を語った。

公演は東京・帝国劇場にて10月4日〜27日。大阪公演はフェスティバルホールにて9月7日〜12日、宮城公演は東京エレクトロンホール宮城にて9月21日〜23日、愛知公演は愛知県芸術劇場大ホールにて9月27日〜29日。