返礼品がもらえるということで大人気になった「ふるさと納税」。利用したことがあるという人も多いのではないでしょうか。

そのふるさと納税ですが、2019年6月から返礼品の規制が実施されることになりました。何がどう変わるのか、しっかり理解しておきましょう。

そもそもふるさと納税って?

「2,000円の自己負担で返礼品がもらえる」という印象が大きいふるさと納税ですが、もともとは「地方に住む人が減ったことで住民税が減少するという事態を防ぐ」といった目的で2008年に始まった制度です。

「ふるさと」と言っていますが、特に自分の生まれ故郷ではなくても、応援したいと思う自治体に寄付をすることができます。そしてその自治体の収入が増えると、その地域に住む人たちの生活が便利になるというわけです。

このふるさと納税が一般的に知られるようになったのは、2011年の東日本大震災の時でした。被災地に寄付をして応援しよう、という人がたくさん現れたのです。そしてその後、寄付をしてくれた人にお礼として地場産品などを送る自治体が増えてきました。ふるさと納税のキホンは「社会貢献」なのですね。

まずはこのようなふるさと納税の趣旨を理解した上で、簡単にふるさと納税の魅力についてみていきましょう。

まず1つめは、ふるさと納税を行った自治体からお礼として返礼品が送られるということ。自治体それぞれの地場産品がもらえるのは嬉しいですね。

そして2つめは、税金が安くなるということです。ふるさと納税をすると「寄付金控除」が利用できます。この制度は、国や地方公共団体、一定の公益法人に2,000円を超える寄付をした場合、住民税や所得税の納税額が少なくなります。例えば、1万円を寄付すると1万円から2,000円を引いた8,000円が控除されます。

この2つのメリットを利用することで「ふるさと納税は自己負担2,000円で返礼品がもらえておトク」というイメージが大きく広がるようになったのです。

浮かび上がってきた問題点

ふるさと納税が人気になる一方で、この10年間でいろいろな問題点も出てきました。

自治体としては、自分の地域にたくさん寄付をしてほしいと思うようになります。そして、地場商品ではないiPadやパソコンなどを返礼品にする自治体や、還元率が高いAmazonギフト券や旅行券を返礼品にする自治体などが現れ、自治体同士での競争がどんどん過熱していったのです。

このような一部の自治体に寄付をする人がどんどん増え、他の自治体は寄付が減るという事態となりました。これは「地域貢献」という、もともとのふるさと納税の目的からかけ離れていると考えられますね。

そのため、総務省は高額な返礼品や地場産品以外の返礼品を取り扱っている自治体に対して見直しを求めていましたが、なかなか改善されない状態が続いていました。このような経緯から、今回の制度改正に到ったというわけです。

2019年6月から変わるポイントは2つ

上記のような問題点をふまえて、2019年6月の法改正によって返礼品が規制されることになりました。大きく変わるポイントは以下の2つです。

1.返礼品は寄付の3割以内
2.返礼品は地域の地場産品に限られる

先ほど例に挙げたような還元率が高いAmazonギフト券などを返礼品として人気を集めていた自治体がありましたが、6月からはそのような自治体は総務大臣によって除外されることになります。

ちなみに、6月よりふるさと納税の制度から除外される自治体は、

・静岡県小山町
・大阪府泉佐野市
・和歌山県高野町
・佐賀県みやき町
の4つの自治体です。

2019年6月からは、この4つの自治体に寄付をしても寄付金控除のメリットを受けることができなくなります。

ただし、ここで気をつけてほしいことは、これらの自治体に寄付ができなくなったわけではありません。純粋に寄付をして応援したい、という気持ちで寄付をするのはもちろんOKです。

ふるさと納税をする時は、「2,000円でいろいろな特産品が手に入るからおトク」ということだけにフォーカスするのではなく、自分が寄付をするお金がその自治体でどのように活かされるかということもしっかり考えたいですね。そして住民税が控除されるということは、皆さんが実際に住んでいる地域に入るべき税金が入らなくなるということでもあります。

これらのことをふまえた上で、ふるさと納税を上手に利用して社会貢献をしてくださいね。

著者プロフィール: 安部 智香

女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター
ファイナンシャルプランナー
安部智香ファイナンシャルプランニングオフィス代表

短大卒業後、証券会社に勤務。在職中は資産運用を担当。結婚退職後は「もっとお金のこと、家計のこと、資産運用のことを伝えたい」という思いで個人事務所を立ち上げ、個別相談、執筆業務、セミナー、マネーセミナー講師として活動している。エフピーウーマンでは、女性のための無料マネーセミナー「お金のmanaVIVA(学び場)」を無料開講中!