――さすがは子どもたちの憧れ、仮面ライダーの影響力はすごいですね。

『ジオウ』では、ソウゴの夢の中だけでしか変身していなかったし、後の「仮面ライダークイズ」みたいにガッツリとジオウやゲイツと絡んでいなかったのに、シノビのことをちゃんと知っていてくれるんだ~と思って、感動しました。でも、キンジだったら、明るく気さくに「お名前何でございやすか? ○○ぼっちゃんですか! お母さんの言うことよく聞くでございやすよー!」なんて語りかけやすかったんですけれど、蓮太郎ならどういう風に接したらいいかな?と考えてしまいましたね。キンジの方向が楽しいですから、思わずそっちで行こうとなりかけ、いや違う違う! 俺は仮面ライダーなんだって(笑)。結局、蓮太郎になりきって抱っこしてあげました。こういう瞬間に、新しい世代の子どもたちに僕がシノビだと認識していただいて、ヒーローとして子どもに夢を与えられるんだなと実感しました。

――仮面ライダーシノビのビジュアル面については、どんな感想を持たれていますか?

そりゃもう、シンプルに「カッコいい!」という思いですよ。実際にカッコいい~!って口に出してしまいましたからね(笑)。「紫」というカラーも、もともと好きでしたし、全体のシルエットもスタイリッシュだけれど力強さを感じさせて、とてもいいですね。何より、首に巻いている布がいかにも凄腕の忍者っぽくて、大好きです。テレビでは仮面ライダーウォズがシノビの力を使って「フューチャーリングシノビ」になりますが、これもまたカッコいいんです。「フューチャーリングシノビ」が出てくるたびに、うれしくなるんですよ。「これ、僕の力なんですよ!」と誰かに言いたくなります。

――シノビの変身ポーズはすでに『ジオウ』のテレビシリーズで披露されていますが、けっこう複雑で大きな動きを取り入れて、派手でカッコいいですね。

複雑でしたか? 僕としてはそれほど難しいとは思いませんでした。今回の『シノビ』では、『ジオウ』のときの変身を受け継ぎつつ、さらにワンアクション付け足していますので、テレビとの"違い"にも注意してご覧になっていただけるとうれしいです。

――アクション面で苦労されたことはありますか。

どちらかというと変身後のシノビのアクションが多かったので、キャラクターにアフレコで声を入れるのがたいへんでしたね。久しぶりに、アクションシーンの声をたくさん入れたな~と思うくらい、じっくりとやりました。また、蓮太郎がマスクを着けた状態で正体を隠し、戦ったシーンがありましたが、頭巾からは目だけしか出せなくて、息が苦しい中で動かないといけないのは、かなり大変でした。

――共演の財木琢磨さん、華村あすかさんと接するシーンが多いですが、お2人は現場ではどのような感じの方だったのですか。まずは財木さんの印象から教えてください。

イッチーの財木くんはミュージカル『テニスの王子様』で僕が演じた役を受け継いで活躍されていたこともあって、ご縁を感じていました。現場で印象に残っているのは、わりとロケバスで寝る人なんだなということ(笑)と、初めて仮面ライダーハッタリに変身するとき、とても緊張していたことですね。僕自身は『ニンニンジャー』で変身は経験済みですし、シノビとしてもすでにテレビでやっていますから大丈夫でした。

でも緊張している財木くんの姿を見て、自分も初めてスターニンジャーのシュリケンチェンジ(変身)を撮影したときは、あんな感じだったなあって、初心を思い出させてくれました。忍シュリケンにはめるブレードを天空に投げて、それをキャッチして忍シュリケンにはめて見せ、忍者スターバーガーにセットする、という凝った変身だったのですが、その日は風がとても強い上に花粉がすごい時期で、花粉症の僕は目や鼻がたいへんなことになっていたんです。これから変身シーンを撮るというときに、クシャミが止まらないという……。そんな状態でブレードを投げたんですけれど、そのとき吹いた風でブンと横に飛んでいってしまいまして「あっ、大丈夫? 壊れてないよね!?」って慌ててしまって、ずっとドキドキしていました。そんな経験があるので、財木くんが変身するときには「落ち着いてやればいいんだよ!」と声をかけつつ、見守っていました。

――では、蓮太郎の妹・紅芭役の華村あすかさんはいかがですか?

あすかちゃんとは、僕が彼女をおんぶするシーンから撮影が始まったんです。最初はとても緊張していて、僕と年齢が離れていることもあって気を遣ってくれていたと思うんですね。これはもう早く打ち解けるしかない、と思って、ロケバスの中で積極的に話しかけようとしました。兄妹で一緒にいるシーンを撮っていけばいくほど、仲良くなることができて、最後のほうでは僕がまるで本当の兄のような気持ちになって、「紅芭は絶対にイッチーには渡せない!」と思うようになりました(笑)。イッチーは"いい奴"なんですけれど、それでも今のイッチーには妹はやれません。妹を守る兄としては!

――蓮太郎に指令を与える「ガマノ師匠」とは、どんなキャラクターなのですか?

ガマノ師匠は、ふだんは掛け軸の中に描かれている水墨画のカエルなんです。撮影風景はかなりシュールですよ。僕は掛け軸に向かって真剣に会話をしていますから(笑)。師匠はときどき人間の姿になるんですけれど、これを演じられているのが姜暢雄さんなんです。姜さんといえば『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002年)のクワガライジャー/霞一鍬。忍者ヒーローの大先輩ですから、共演できてうれしかったですね。

――仮面ライダーとスーパー戦隊の両方に出演された多和田さんが思う、両作品の大きな違いとは何ですか?

スーパー戦隊の場合は仲間同士の絆を大事にしていて、みんなが力を合わせるところに重きを置いていますけれど、仮面ライダーの場合は単独行動が基本で、複数のライダーが出てきて複雑な絡み方をするのが特徴なのではないかと思います。どちらのシリーズも、長く続いている歴史を持っていますよね。過去の作品の積み重ねがあるからこそ、未来へとつながっていくわけで、僕が出演していた『手裏剣戦隊ニンニンジャー』をはじめとする作品たちが、今後も大切に語り継がれていってほしいと思います。もちろん『シノビ』も今後そうなっていくことを祈っています。

――過去の作品といえば、つい最近(2月17日~3月10日)まで『4週連続スペシャル スーパー戦隊最強バトル!!』に『手裏剣戦隊ニンニンジャー』のアカニンジャー/伊賀崎天晴役の西川俊介さんがメイン(変わり者チーム)の1人として出演されていましたね。かつて一緒に戦った仲間がふたたびテレビで活躍している状況についてはどう思われますか?

もちろんうれしいです! 『スーパー戦隊最強バトル!!』はずっと観ていましたよ。僕としては、ニンニンジャーやハリケンジャー、カクレンジャーといった"レジェンド"忍者ヒーローのみなさんの思いを背負い、忍者代表としてこのたび「仮面ライダー」へ進出したつもりなんです(笑)。

――最後に、多和田さんによる『仮面ライダーシノビ』の必見ポイントを教えてください。

今回、スピンオフドラマの主題歌を僕が歌わせていただくことになりました。ちゃんとオープニング映像も作っています。『ニンニンジャー』のときもキャラソンを歌いましたが、今回はオープニング主題歌ですからね。主演作品の歌を自分で歌うという、僕にとって忘れられない作品になりました。本編の見どころとしては、シノビへの「変身」をいろいろなパターンで撮ったことです。テレビでお見せした変身ポーズから、もう1モーション加えたスピンオフバージョンの変身があり、空から現れる変身あり、顔を隠している状態からの変身など、さまざまな変身をお見せします。いろいろな中から「この変身が好きだなあ」と、お気に入りの変身を見つけていただけたらうれしいですね。みなさん、明るい気持ちになって、2022年の世界に迷い込んできたような気持ちで楽しんでください。今後もまた、Vシネか何かで『シノビ』の世界をつなげていき、蓮太郎を演じてみたいと願っています!

『RIDER TIME 仮面ライダーシノビ』は、「東映特撮ファンクラブ(TTFC)」にて、全3話が3月31日、4月7日、4月14日の3週連続で配信される。

(C)東映特撮ファンクラブ (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映