東京メトログループ中期経営計画「東京メトロプラン2021」と、同社の2019年度(第16期)事業計画が策定された。2019~2021年度にかけて有楽町線・副都心線や半蔵門線など5路線で新型車両を導入し、南北線で2022年度から8両編成化することも明らかにされている。

  • 東京メトロ有楽町線・副都心線の車両10000系。2020年度に新型車両17000系を導入する予定だという

新たな中期経営計画「東京メトロプラン2021」(2019~2021年度)では、グループ理念「東京を走らせる力」の実現をめざすとともに、SDGs(持続可能な開発目標)が対象としているさまざまな社会課題の解決に貢献すべく、「安心の提供」「持続的な成長の実現」「東京の魅力・活力の共創」の3つのキーワードを柱に、各種施策を積極的に推進。計画の初年度となる2019年度は、駅ホームの安全性向上や新型車両の導入、輸送サービスの改善、バリアフリー設備の整備などの取組みを着実に進めるとしている。

新型車両は2020年度に導入完了予定の日比谷線13000系、今年2月にデビューし、2023年度の導入完了を予定している丸ノ内線2000系に続き、2020年度に有楽町線・副都心線17000系、2021年度に半蔵門線18000系を導入開始予定とされた。2019年度は日比谷線13000系・丸ノ内線2000系の導入を積極的に進めるとともに、有楽町線・副都心線と半蔵門線の新型車両についても導入に向けた設計などを推進する。新技術を積極的に導入し、安全性のさらなる向上に加え、車内の快適性向上と省エネルギー性向上を図る。

輸送サービスの改善も進め、南北線では2019年度に早朝および朝ラッシュ時間帯の列車増発を実施するほか、現在は6両編成で運行される同社車両の8両編成化と、これに必要な駅設備等の改修を推進。8両編成での運行開始予定は2022年度とされた。

  • 東京メトロ南北線の車両9000系。相互直通運転を行う東急目黒線・埼玉高速鉄道線と同様、東京メトロ南北線も8両編成化されることになった

東京メトロ3路線とJR線・都営大江戸線が接続する飯田橋駅では、JR線ホームの位置変更にともない既存出入口の混雑が見込まれることから、南北線・有楽町線の駅において2020年度までに改札機を増設し、2025年度に新設出入口の供用を開始する予定。2019年度は改札内広間の拡幅、改札機の増設などの工事を推進する。有楽町線は2019年度に夕夜間時間帯の列車増発、日中時間帯の5分間隔運行を実施する予定となった。豊洲駅の混雑緩和対策として改札機増設などの工事を進め、2020年度の完了を予定している。

丸ノ内線では方南町駅のホーム延伸工事が完了し、2019年度上期から池袋~方南町間で6両編成列車による直通運行を開始する予定。日比谷線は2020年度、東武線との直通列車に有料着席サービスを導入するとともに、朝夕時間帯の霞ケ関~中目黒間で列車増発を予定している。丸ノ内線・日比谷線は2023年度、半蔵門線は2024年度にCBTC(無線式列車制御)システムの導入を予定しており、2019年度は導入に向けた取組みを推進する。

  • 東京メトロ丸ノ内線の新型車両2000系。丸ノ内線では2019年度上期から、6両編成列車による池袋~方南町間の直通運行が始まる予定

銀座線では移設した渋谷駅の新ホームが2019年度から供用開始する予定。2020年度に日本橋駅・京橋駅・銀座駅・青山一丁目駅・外苑前駅のリニューアルが完了し、2021年度には浅草駅構内の折返し線が供用開始する予定となっている。駅ホームの安全性向上に向けた施策として、東京メトロは2025年度までに全路線全駅へのホームドア整備完了をめざしており、2019年度は千代田線全駅への整備が完了する予定。整備の進む東西線・半蔵門線、2020年度から整備開始する予定の日比谷線においても設置工事を推進する。

東京都交通局と連携した東京の地下鉄サービスの一体化も積極的に推進。2019年度は九段下駅で東京メトロ東西線・半蔵門線と都営新宿線の3線共通改札口が設置され、乗換えエレベーターも整備される。両地下鉄共同で開発した旅行者向け券売機の導入、JR東日本を含む3社局による子ども見守りサービス「まもレール」の実施も予定されている。

2019年度はその他、関連事業の拡大、海外での事業展開、新規事業の創出・推進と新技術の開発・導入などに取り組むほか、沿線地域と連携したにぎわいの創出、まちづくりとの連携、オープンイノベーションの推進と新たなモビリティサービスの実現に向けた取組みも推進。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のオフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)として、開催都市の重要なインフラに寄せられる期待に応えるとともに、その先の東京の発展への貢献も視野に、各種施策を精力的に進めるとしている。