通勤時間が長かったり、電車の混雑具合がひどかったり、毎朝の通勤がつらいと感じている方は多いのではないでしょうか。通勤先や通勤時間帯が変わらない限り、混雑を回避することはなかなか難しいですが、乗っている時間が短ければそこまで苦にならない場合も。そこで今回は、会社近くやオフィス街に住む際のメリット、デメリットを不動産・住生活ライターの高田七穂さんに聞きました。
最大のメリットは『時間』
オフィス街は住む場所ではない、というイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、最近では、都心に多くのマンションが供給されているため、会社近くに居住できる可能性は以前と比べて高まっています。会社の近くに住むメリットは数多くありますが、まずは何と言っても、通勤時間が短縮される点が大きいでしょう。満員電車といえど、乗る時間が「1時間」と「10分」とでは、疲労度も大きく変わってくるはずです。
また、体力的に楽になるだけでなく、これまで通勤時間にかけていた時間分、自由な時間が増えることにもなります。仮に、片道30分短縮できるようになったとしたら、1日で1時間、1週間で5時間もの時間が浮くことになります。週に5時間も余裕ができれば、色々と有効活用できそうなものです。朝起きる時間を遅くするのもいいですし、朝ごはんをゆっくり楽しんでみてもいいでしょう。忙しい社会人の方にとって、これだけ時間の余裕が生まれるというのは、かなりのメリットと言えるのではないでしょうか。
さらに、街によっては、休日は電車がすいていて、出かけやすいという可能性もあります。美術館や映画館など周辺に自分の好みに合う施設があれば、休みの日に遠出せずとも充実した時間を過ごせそうです。そのほか、終電を逃してタクシーに乗ることがあっても、コスト負担が少ないというメリットも。また、もし地震があっても徒歩で帰宅できるのは、大きな強みではないでしょうか。
デメリットは家賃?
デメリットは、やはり郊外と同条件の部屋を探すとすると、家賃が高くなってしまうことでしょう。東京都心部のオフィス街で「駅近・築浅・バストイレ別」ともなると、どうしても家賃は値が張ってしまいます。家賃を抑えるには、築年古い部屋や室内が狭い部屋、駅から少し離れた部屋などを探す必要が出てくるでしょう。
会社近くに住みたいけど家賃が高い、と躊躇している方は、通勤時間をとるか物件のスペックをとるか、住んだ後の生活を想像してみて、どちらが自分にとって大切になるかを考えてみるとよいのではないでしょうか。
生活費は高くついてしまう!?
そのほかにデメリットを挙げるとしたら、都心部を選ぶほど、生活費が高くなるということでしょうか。場所にもよりますが、スーパーがあったとしても、高級店が多く、食料品はかなり高いと感じる可能性があります。食料品だけでなく、日用品やクリーニング代なども高くつくかもしれません。ただし、食料品や日用品はインターネットで購入したり、休日に車で安いスーパーに行ってまとめ買いしたり、近所の高級スーパーで買わずに済む方法もありそうです。
それから、車を所有している方の場合、避けて通れないのが、駐車場代の問題です。東京都心の駐車場代はかなり高いことで知られています。駐車場を利用することを考えている方は、その点も考慮して部屋探しをする必要があるでしょう。
ただし、ここ最近になってから開発が進み、オフィスが立ち並んできたエリアであれば、必ずしも上記のように物価や駐車場代が高いわけでないので、気になる方は、事前に周辺のスーパーに実際に入って値段を確認してみたり、駐車場の値段もインターネットなどで調査してみたりすることをおすすめします。
職住近接の部屋探しは優先事項の整理が大切!
会社近くに住むことで生まれるメリットは多くありますが、その分なにかを妥協する必要も出てきそうです。会社近くに住むことを検討している方は、自分の中の優先事項を整理して考えてみるとよいのではないでしょうか。
また、最後に、オフィス街の近くに住むことを検討している方に覚えていてほしいチェックポイントがあります。それは「時間帯による街の変化」です。昼は働いている人で多くにぎわっていても、夜は人けのない街になってしまうかもしれません。住まい選びには、「昼と夜の様子を見に行くと良い」と言われますが、オフィス街の近くに住むのであれば、なおさら夜の雰囲気は必ず確認しておきたいもの。できれば平日と土日どちらも、昼と夜の様子を見に行くことをおすすめします。
高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『最高のマンションを手に入れる本』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。
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