昨年12月に竜王を広瀬章人八段(当時)に奪われ実に27年ぶりに無冠となった羽生九段が、タイトル復位、タイトル通算100期達成への第一歩を踏み出しています。

船江六段下しベスト8進出

羽生九段が1回戦突破! 無冠返上、タイトル通算100期の足掛かりとできるか

3月13日、豊島将之棋聖への挑戦権を争う第90期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント1回戦の羽生善治九段―船江恒平六段戦が行われ、羽生九段が勝ってベスト8に進出しました。本戦はシード棋士8人と予選を勝ち抜いた棋士8人、合計16棋士によるトーナメント戦。同日はほかに佐藤天彦名人―八代弥六段戦が行われ、藤井聡太七段が第11、12回を連覇した朝日杯将棋オープン戦の第10回優勝者・八代六段が名人を破る殊勲の星を挙げました。

羽生九段はこの棋戦で五番勝負出場20回、棋聖獲得16期。1993年度前期(※当時棋聖戦は1年に2期行われ、1995年度から1年1期制に変更)、第62期で初めて棋聖位に就いてから1995年度の第66期まで4度の防衛を重ね、「通算5期」の条件を満たし永世棋聖の称号を獲得しています。1995年度と言えば羽生九段が七冠全冠制覇を達成した年。その七冠が崩れたのもこの棋聖戦(1996年度、第66期)でした。2008年度の第79期に2度目の復位を果たしてから2018年度、前期第89期で豊島将之八段(当時)に敗れるまで、10連覇の快挙も成し遂げています。

  • 第90期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント

昨2017年度は、竜王通算獲得7期となり永世七冠を達成した羽生九段栄光の年度であり、20代棋士の菅井竜也七段、中村太地七段にそれぞれ王位、王座を奪われ、棋界における世代交代の波を感じさせる年度でもありました。竜王、棋聖の二冠を保持して迎えた今2018年度は佐藤天彦名人への挑戦権を得るも敗退し、棋聖、竜王も奪われてついに無冠に転落、3度あったタイトル通算100期のチャンスをものにできず、その夢を来年度に持ち越しています。

届きそうで届かない大記録、タイトル通算100期。羽生九段ファンは心待ちにしていることと思います。最速で達成するとすればこの第90期棋聖戦です。13日の1勝を足掛かりに挑戦権を獲得し、「4度目のチャンス」を迎えることができるでしょうか。