俳優の東山紀之が主演するフジテレビ開局60周年特別企画ドラマ『砂の器』(28日19:57~22:54)の30秒スポット動画が14日、公開された。

  • 『砂の器』主演の東山紀之=30秒スポット動画より(フジテレビ提供)

松本清張による不朽の名作で、1974年の映画化以降、何度も映像化されてきた同作。今回の動画は、和賀英良(中島健人)が奏でる今作オリジナルの協奏曲「宿命」と共に、今西栄太郎(東山)の苦悩の表情へ。ピアノの音色はさらに盛り上がりを見せ、今西は和賀を追いつめたい思いと、一方で共感している気持ちに葛藤しているように見える。

そして、和賀は最初淡々と鍵盤に向き合っているように見えるも、その表情は次第に高揚。自分の宿命を向き合ったその時、父・本浦千代吉(柄本明)の姿が現れ、つらい過去を背負い、愛する息子との旅路を進むも、迷いながらそして自らの宿命を感じる表情を見せると、最後に今西の手元から砂がこぼれる…。

この動画を撮影したのは、まだクランクイン前だったが、東山はスタジオに入ると、今西の苦悩をくみ取りすぐに役に入り込んだ。演出から顔の角度などを指示されると「はい、こうかな」と答え、スムーズに撮影が進んだ。

しかし、砂を風で横から飛ばすカットを撮る際は、まず砂の大きさを選ぶところからスタート。スタッフでリハーサルをしたものの、東山の手のサイズや指の間からどうこぼれるかは実際にやってみないと分からず、砂のつぶの大きさを大・中・小で用意したスタッフからそれぞれ少しずつ渡され、風を当ててみると、こぼれ方や吹かれ方が一番美しかったのは「大」だということが判明する。

撮影中「手を動かさないでください」と指示された東山は「角度そのまんまだよ、全く動かしていないよ(笑)」と返し、スタッフの笑いを誘っていた。風を当てる方向によってはなかなかうまくいかなかったが、最後は「この砂どこで売っているの?」「何売り場にあるの?」などとスタッフに聞くなど、終始和やかな雰囲気で撮影を終えた。

中島はとにかくピアノを弾き、あらゆる角度から撮影。ピアノの練習を久しぶりに再開したとは思えない、指の動きにスタッフも感動し、カメラマンが「あー、これずっと聴いていたい」と発するほどだった。中島はカットの声がかかってカメラが止まっても、和賀英良のまま。スタッフと雑談することもなく、ピアノを一心不乱に弾いていた。

ようやく笑顔が見えたのは、最後の「OK」の声がかかったとき。ホッとしたのもつかの間、実はこの後、夜の渋谷で逃げるシーン(クランクイン)の撮影が控えており、まさに和賀英良の魂が宿ったまま現場入りした。

柄本は、お遍路の衣装に着替えてスタジオ入りすると、静かにカメラの前へ。スタッフから表情の説明を受けると「はい、わかりました」と答えすぐに本番に入った。笠を取って千代吉を演じると、一発「OK」に。その後、英良の子供時代を演じる子役・高橋來と歩くカットを撮影した際は「どんなスポーツが好き?」などと声をかけ、この日が初対面の子役の緊張をほぐしていた。

映像ディレクターの渡部識氏は「それぞれが背負う宿命と人間性を強く浮かび上がらせるため、シンプルな黒背景にこだわりました。東山紀之さん、中島健人さん、柄本明さん、みな当然ながら素晴らしい表現力で、顔の表情1つをとっても目が離せない映像に仕上がっています。世界観に深みを加えてくれたナレーションも聴き逃せません」とアピールしている。

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