西日本鉄道は11日、地域を味わう旅列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」のデザイン・料理等に携った関係者らが一堂に会しての撮影会・試乗会を実施した。同列車は3月23日から運行開始し、金曜日と土日祝日に天神大牟田線を運行する予定となっている。

  • 地域を味わう旅列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」。試乗会の列車が天神大牟田線を走行(写真:マイナビニュース)

    地域を味わう旅列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」。試乗会の列車が天神大牟田線を走行

地域を味わう旅列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」は、天神大牟田線の既存の通勤用電車6050形を3両編成、座席数52席の観光列車に大規模改造。車両デザインはトランジットジェネラルオフィスの全体プロデュースの下、内装デザインをランドスケーププロダクツ、外装・ロゴデザインをグラフィックデザイナーの福岡南央子氏、車内壁面に設置したTINパネルのデザインをアーティストの鹿児島睦氏が担当した。

車内で提供するメニューのうち、メインディッシュのピザは「エンボカ」代表の今井正氏、アミューズ・前菜は料理家の渡辺康啓氏が監修。車内等で使用される音楽はBAGN(ランドスケーププロダクツの企画・ディレクションカンパニー)が担当する。3月11日の撮影会・試乗会では、「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」に携った関係者が西鉄福岡(天神)駅に集まり、西日本鉄道代表取締役社長の倉富純男氏、同社執行役員の藤田浩展氏、観光列車プロジェクト担当課長の吉中美保子氏とともに列車との写真撮影を行った。

  • 西日本鉄道代表取締役社長の倉富純男氏が挨拶する

  • 西鉄福岡(天神)駅に「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」が入線

  • 3番のりばで「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」の発車時刻の案内も

「今日を迎えられるのも皆様の助けがあってこそ。プロジェクトチームと鉄道事業本部が一緒になって頑張ってくれました。敬意を表したいと思います」と倉富社長。3月23日の運行開始を前に、「私としてはいよいよ、ようやくという気持ち」と明かし、関係者向けの試乗会を通じて、「未完成なところなど、ご指摘いただければ幸いです。いろいろ直していきながら、これから沿線地域の活性化に向かって一層頑張っていきたいと思います。引き続きのご支援・ご協力をお願いします」と述べた。

車両デザインの全体プロデュースを担当したトランジットジェネラルオフィスの代表取締役社長、中村貞裕氏は、「素晴らしい列車のプロジェクトに参画できたこと、尊敬するプロフェッショナルの方々とチームで仕事できたことをうれしく思っています。地元の方々をはじめ、九州、全国、さらには海外の方々もこの列車を知り、訪れていただけるような、素晴らしい列車に成長してほしいと思っています」と挨拶した。

  • 倉富社長をはじめ「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」に携った関係者の写真撮影。その後、試乗会の列車は西鉄福岡(天神)駅を発車した

「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」との写真撮影の後、倉富社長をはじめ関係者は車内へ。14時22分頃、同列車は西鉄福岡(天神)駅3番のりばから発車した。その後は途中駅での長時間停車もありつつ、2時間以上かけて天神大牟田線を走行。「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」のロゴデザイン、キッチンクロスをイメージした赤いチェックの外装デザインは沿線から見ても目立ち、これまでの西鉄電車のイメージを覆す列車の姿に驚く人もいた様子だった。同列車は16時44分頃、大牟田駅5・6番のりばに到着した。

大牟田駅到着後、外装・ロゴデザインを手がけた福岡南央子氏に話を聞いたところ、写真では見ていたものの、実車は今回が初めてだったという。

「多くの方々を巻き込んでいるので、どきどきしながら来たのですが、列車が駅に入ってくるときに『かわいい』という声が聞こえて、それで肩の荷が下りた感じがしました」と福岡氏。外装デザインに関して、「『台所のある電車』という企画自体が明快でユニーク。そこから『清潔感のあるキッチンルームのような空間だな』『キッチンクロスは赤・白のチェックだな』『それと(THE RAIL KITCHEN CHIKUGOの)ロゴが一体になったデザインがいいな』といった感じで、アイデアが出てきました。通常の電車のデザインとあまりに違うので、最初は『何だこれは』といった反応もあったのですが、そこは妥協なく進めていきました」と説明した。

車内は沿線地域の伝統ある工芸品などを用いたくつろげる空間となり、2号車には電気窯を中心とした大型キッチンを設置。沿線地域の新鮮な食材を使用した料理を提供する。試乗会でもメニューが提供され、福岡氏によれば、「地域の素材の味を引き立て、よそで味わえないつくりになっていたと思います」とのこと。間もなくデビューする「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」に期待することとして、福岡氏は「友達や家族などで観光と食を楽しんでほしい。電車というより『遊ぶ場所』として見てくれたらいいなと思っています」とコメント。「外装の前で記念撮影もしてほしいとずっと思っていたので、乗るときや降りるときに撮っていただけたら」とも話していた。

  • 「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」が大牟田駅に到着。その後は関係者へのインタビューなどが行われた

地域を味わう旅列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」は3月23日以降、金曜日と土日祝日に西鉄福岡(天神)駅から大牟田駅へ「地域を味わうランチの旅 -CHIKUGO LUNCH COURSE-」、大牟田駅から西鉄福岡(天神)駅へ「地域を味わうディナーの旅 -CHIKUGO DINNER COURSE-」を運行。6月1日からは太宰府駅へ「地域を味わうブランチの旅 -DAZAIFU BRUNCH SET-」を運行開始する予定となっている。なお、同列車の特設サイトも開設しており、クリエイティブメンバーや内装に使う伝統工芸の職人などが紹介されている。