トヨタ自動車は3月11日、キングコング・西野亮廣さんとコラボレーションし、高級セダン「クラウン」にオリジナルデザインを施したと発表した。「ニシノクラウン」と称されたこのクルマは、2019年3月12日~17日まで、表参道ヒルズおよびソーカルリンクギャラリー(東京都渋谷区)にて公開される。

  • トヨタ自動車の東京本社でお披露目された「ニシノクラウン」とキングコングの西野亮廣さん(左)、トヨタ自動車・第2国内販売部長の杉浦宏哉さん(右)

    トヨタ自動車の東京本社でお披露目された「ニシノクラウン」とキングコングの西野亮廣さん(左)、トヨタ自動車・第2国内販売部長の杉浦宏哉さん(右)

今回のプロジェクトの責任者であるトヨタ自動車・第2国内販売部長の杉浦宏哉さんは、西野さんの協力を仰いだ理由について、「クラウンの革新性をうまく表現してくれると思ったため」と説明した。一方の西野さんは、今回のトヨタとのコラボレーションを通じて「トヨタの凄み」を再認識したという。

発表会を終えた西野さんに、今回のコラボレーションについて、そして仕事をともにしたトヨタの印象について聞いた。

「情報解禁日がない」から生まれた話題性

――発表会、お疲れ様でした。改めて今の心境を教えてください

西野亮廣さん(以下、西野)
実物を見るのは今日が初めてだったのですが、いいものができたな、と思っています。今回のオファーを受けたときには、「あまり深く考えずに受けてしまったけど、クルマのデザインなんてしたことないし、本当に大丈夫か? 」という不安もありましたが、振り返ってみると、楽しかったですね。

今回のデザイン案は、僕のオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」(記事執筆時点での会員数は約2万2000人)のメンバーと一緒に考えたのですが、メンバーが色々と意見を出してくれて、スムーズに進められました。

――「トヨタからオファーを受けた」という話は、ブログでも書かれていましたね。なんでも、オファーを受けて、まだデザイン案が固まっていない頃からサロンメンバーに相談していたとか。そのやり方について、トヨタ側からの指摘はなかったんですか?

西野
そうですね。そもそも、今回のコラボにあたってトヨタさんからは「情報解禁日」を設定されなかったんです。

僕からも、「製作段階から表に出して進めていいですか、オンラインサロンのメンバーと一緒に作ってもいいですか」ということは確認をしていて、「是非やってください」という感じだったので、特に問題もなく進められました。

そのおかげで、今日の発表よりも早いタイミングで話題になり、注目を集められたのは良かったと思っています。

普通、トヨタさんみたいな、いわゆる「大企業」だったら、情報の取り扱いってすごく気にするじゃないですか。それでも、いい意味で”ベンチャー企業のようなノリ“で、今回のコラボを進めていくことを認めてもらったのは驚きましたね。

あんなに大きい企業なのに、守りに入らない姿勢を目の前で見せられて、「改めて凄い企業だな」と感じました。

コネクテッドを推す「錆びたクラウン」案も

――今回のデザインは、クラウンの「走行性」と「燃費」という2つの特徴から、2本の角を持つ伝説上の生き物「バイコーン」を連想し、ナポレオン・ボナパルトの「二角帽子」にまでイメージを広げ、カラーリングを決めたとか。ほかにもデザイン案はあったんですか?

西野
いくつかありましたね。実は、僕の第一希望の案は「錆びたクラウン」というものでした。

僕がデザインを手がけた新型クラウンは、専用の通信機を備えた「コネクテッドカー」。あらゆるものとネットワークを通じてつながることができるという特徴があります。例えば、クラウンとLINEで会話できる、という機能があったり。

これが非常に面白いなと思ったんです。そこで、「コネクテッド」を押し出すために考えたのが、"結合”という言葉に着想を得た「錆び」でした。錆びは、鉄と酸素がして生まれるもの。今回のクラウンが展示される表参道ヒルズの目の前に、錆びたクルマが置いてあったら、面白いじゃないですか。「革新」がテーマなのに、相反するイメージがある「錆び」を表現すれば、インパクトもある。結局、提案途中でボツにしたんですが(笑)。

  • 最終的に、デザインは「バイコーン」に落ち着き、ナポレオンの帽子と同じカラーリング(紺と金)になった。デザイン案はオンラインサロンメンバーと意見を出し合って決定した

トヨタとのコラボを終えて、次に目指すものは?

――西野さんは、絵本作家、オンラインサロン運営、最近では兵庫県川西市に新たに美術館を建設するなど、さまざまな領域に「挑戦」し続けています。そんな西野さんの目に、今回一緒に仕事をしたトヨタはどう映りましたか?

西野
トヨタさんほどの「歴史」のある企業で、挑戦をし続けているのは本当に凄いと思います。今回のクラウンのデザイン一つとっても、昔からクラウンを愛している人の「そんなことやめてくれ」という声もあったはずです。

守るべきものがたくさんある中で、今回のコラボの話を振ってもらい、さらには比較的自由に動かせてもらったことを考えると、「この会社は、長い歴史の中でずっとこんな『挑戦』を続けてきたんだろうな」と思い、感動しました。

――今回のコラボの経験は、今後の活動にどう影響しそうですか?

西野
僕が受けた仕事がサロンの1つのコンテンツになる、というのは面白いなと思ったので、それは続けていきたいと思います。何か仕事を受けたときに、それをサロンのメンバーに共有して、一緒に進めていく方法ですね。そうすれば、サロンメンバーの満足度にもつながるし、それが新規のメンバーの獲得にもつながるのではないかと思っています。

――次の新たな挑戦は?

西野
2020年には、僕が発売した絵本『えんとつ街のプペル』が映画化する予定ですし、建築に15億円かかる予定の「えんとつ町のプペル美術館」も作り始めています。「エンターテインメントで世界を獲る」という最終目標に向けて、さまざまな挑戦を続けていきます。

長い歴史があって、守るべきものがいくつもあるトヨタさんですら挑戦を続けているんです。それなのに、僕らが守りに入るわけにはいきませんからね。

  • 西野さんの手掛けた、「ニシノクラウン」は、2019年3月12日~17日まで、表参道ヒルズおよびソーカルリンクギャラリー(東京都渋谷区)にて公開される。西野さん曰く「インスタグラムで#ニシノクラウン を付けて投稿すると、僕がすべて『いいね』しに行きます」とのこと

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西野さんの手掛けた、「ニシノクラウン」は、2019年3月12日~17日まで、表参道ヒルズおよびソーカルリンクギャラリー(東京都渋谷区)にて公開される。西野さん曰く「インスタグラムで #ニシノクラウン を付けて投稿すると、僕がすべて『いいね』しに行きます」とのことだ。