JR九州は7日、門司港駅の報道向け内覧会を実施し、復原駅舎の1階に出店する「スターバックス コーヒー 門司港駅店」、2階に出店する「みかど食堂 by NARISAWA」などを公開した。門司港駅の復原駅舎は3月10日にグランドオープンを迎える。
門司港駅では約6年に及んだ保存修理工事を経て、昨年夏頃から大正時代の創建当時の姿を復原した駅舎が姿を現し、11月には1階のコンコースや券売機、「みどりの窓口」といった駅機能が復原駅舎に切り替えられた。3月10日のグランドオープンに合わせ、復原駅舎の1・2階で新たに2店舗が営業開始するほか、1階に待合室と展示スペースも設置。構造補強を兼ねたエレベーターも新設される。
「スターバックス コーヒー 門司港駅店」は復原駅舎1階の旧三等待合室に出店。1・2階を行き来できるエレベーターはここに設置される。白い漆喰壁、淡い黄色に塗装された腰壁と天井など、建設当初の内観を復原した空間にオープンする同店舗のデザインコンセプトは「Storyteller」。門司港駅の復原駅舎や鉄道とともに、「コーヒーを通じて地域の語り部として歴史や先人たちの情熱を伝えていきたい」との思いを込めた。
店内でひときわ目を引くスターバックスの歴代ロゴマークは、列車のヘッドマークを用いて製作したものだという。ロゴマーク付近の「1971」「1987」「1992」「2011」と店舗入口の「STARBUCKS COFFEE」のサインは、蒸気機関車のナンバープレートをイメージしている。歴代ロゴマークとスターバックスのサインを掲げたバーカウンターの壁面にコルテン鋼を使用しており、北九州の工業地帯の歴史を表現した。壁面の足元やテーブルの脚、天井の鉄骨といった建築部材に、役目を終えた九州の鉄道レールが再利用されている。
バーカウンターとコミュニティテーブルは鉄づくりに使われる原料、副産物(鉄鉱石、コークス、スラグ)を骨材として使用。テーブル・いすの一部に福岡県産のセンダン材を使用し、地元の木工所が手がけたオリジナルの家具も設置している。八幡製鐵所や門司港駅をはじめ、北九州の歴史を伝える写真パネルも。店外にテラス席として16席を設け、店内も含めた合計の席数は48席となる。なお、電源コンセントを利用できる席は設置されていないが、Wi-Fiサービス(at_STARBUCKS_Wi2)は利用可能とのこと。
「みかど食堂 by NARISAWA」は、かつて高級洋食店「みかど食堂」が営業していた復原駅舎2階に出店。旧食堂に加え、旧貴賓室も同店舗の一部として使用される予定だという。2月の試食会に続き、今回は内装の仕上げを終えた店内の様子を公開。壁面や天井は創建当時の姿を復原しつつ、ものづくりの街である地元の技術者の高度な技法も取り入れ、格式と新しさをあわせ持つクラシックモダンなデザインとしている。
地元業者が製作したディスプレイ棚を店内に設置し、店舗オープン時には5名の作家(うち2名は北九州市を拠点に活動)による作品が展示される予定。その後は半年から1年程度をめどに、新たな作家の新たな作品も紹介していきたい考えだという。窓側の席では関門海峡や門司港レトロ一帯の景色を眺めながら食事することもできる。
門司港駅周辺では、復原駅舎のグランドオープンに合わせ、JR九州や北九州市、地域のまちづくり団体などによる各種イベントが開催される予定。3月9日に前夜祭として門司港駅のライトアップ点灯式を行うほか、グランドオープン当日も駅前広場を中心にさまざまなイベントが実施される。JR九州は門司港地区へ臨時列車を運転し、3月10日は門司港駅グランドオープン式典をはじめ、大正時代に製造された「SL人吉」の蒸気機関車8620形の特別展示も実施。811系のラッピング列車「わたせせいぞうラッピングトレイン」も同日から運行開始し、門司港駅で出発式を行う予定となっている。