――後編では美奈子さんの出産シーンもありますが、あれだけ多くのお子さんを産んでいる彼女が、あんなに不安を吐露するのは意外でした。
そうですね。35歳になって体力的、精神的な部分で、若い頃にはなかった不安な部分があるんだと思います。
――後編の予告は、離婚の危機や赤ちゃんの誕生など盛りだくさんですが、見どころをお願いします。
前半ではいろいろ問題提起もありながら、義人さんが長男・長女との関係に迷って奮闘している姿がありましたが、後半からはもっとジェットコースター的に事態が急変していきます。義人さんの感情がさらに爆発しますので、それに対して美奈子さんや子供たちがどのように反応するのか、そしてどう変わっていくのかというのが、見どころになると思います。
――予告では、義人さんが密着スタッフにブチ切れる場面もありました。
あれはロケのディレクターがよく粘って、義人さんの本心を引き出せたシーンだと思います。それはウソ偽りない姿だから、子供を持つ父親の悩みという姿も描けているはずです。離婚の危機という流れから義人さんが大人になっていく姿も見られますし、子供がさらに生まれての心情の変化というのも見ていただきたいと思いますね。
――『ビッグダディ』のナレーションは小倉久寛さんでおなじみでしたが、今回は野村宏伸さんが担当されました。その狙いはなんですか?
野村さんは『イチから住』(テレビ朝日)という番組で、3カ月間田舎暮らしを体験する中で密着してたんですよ。その時に飲みながら「『ザ・ノンフィクション』とかでナレーションとかできたらいいなぁ」なんて話をしていたのを覚えていたので、それでピーンときたんです。声のトーンもいいし、野村さん自身も最近結婚されて、小さいお子さんがいるので、共感できる部分があるんじゃないかなと思ってオファーさせていただきました。実際に収録して、想像通りナチュラルで優しい声で、聴いていて安心感がありました。
■野村宏伸「ケンカのシーンはグッときた」
さらに、同番組のナレーション収録を終えたばかりの俳優・野村宏伸を直撃。衝撃のドキュメンタリーの印象を語った。
――初めての番組ナレーションということですが、いかがでしたか?
僕も1人の父親として義人さんの思いというのが分かるんです。映像を流しながら声を録るということでいろんな感情を乗せることができて、意外とやりやすかったですね。
――義人さんに共感しながら読んでいたんですね。
でも、女性側の美奈子さんの気持ちも分かったので、ケンカのシーンのところはなんかグッときましたね。なかなか激しいシーンでしたけど、あそこはなかなかいいですね(笑)
――あらためて、今回のドキュメンタリーの感想はいかがですか?
これだけ夫婦がぶつかり合う姿を撮らせてくれるというのもなかなかないと思うので、結構貴重な内容になってるんじゃないですかね。義人さんが体育会系で生きてきたことがあるんだろうけど、夫婦の怒鳴り合いや、親父が息子を叱るというちょっと昭和っぽい姿も、グッときました。
――ご自身も実践しようということは…
僕はできません(笑)。うちは2歳の娘がかわいいので、あんな教育は難しいと思うんですけど、忘れかけているしつけみたいなところをちょっと感じたので、いいなと思いました。
――ナレーションのお仕事はかねてから熱望していたと伺いました。
「やってるんでしょ?」ってよく言われるんですけど、念願かなってという感じです。声だけで表現するというのは、いつものお芝居とは違う面白さがありますよね。今度、朗読の舞台も決まったので、これをきかっけにアニメの声優とか、いろいろやってみたいですね。
――『ザ・ノンフィクション』という番組には、どんな印象をお持ちですか?
ちゃんと真面目にストレートに作ってるっていう、なかなか今ちょっとありそうでない本物の番組ですよね。貴重な番組に出させていただいて、すごく光栄に思っています。