――これまでにお話をうかがってきたなかで、使い方次第でスマホは育児にとってプラスになりそうだなと感じました。育児をするにあたり、スマホをより有効活用させるにはどうしたらよいのでしょうか。

まずは、子どものスマホ依存を防ぐため、パパやママが子どもの前でスマホをいじりすぎないようにしましょう。親の背を見て子は育ちます。そして「時間を区切って」「親子でルールを決めて」スマホを使用するように約束すれば、ルールを守る教育にもなります。

また、可能な限り、お母さんも一緒にスマホを見て時間を共有してあげてください。子どもの頃の記憶というのは長く残ります。見ているものに対して共通の話題ができ、話のネタにもなるのでますますよいと思います。

子どもと一緒に居られる時間は本当にわずかです。「あれもしてあげたかった」「これもしてあげたかった」などと悔やむ前に、「今、この瞬間」に我が子と十分にスキンシップを取ってあげてください。家事なんて、やらなくても死にません。部屋が汚れていても、ゴミがたまっていても、子どもがわかる時期になれば、それをゲーム感覚でやれるときが来ます。

つらいときにスマホで救われるお母さんはたくさんいます。実際に私もそうでした。小児科医が自分の子どもにスマホを見せていることに驚かれている方もいらっしゃいましたが、私自身は子どもにとって役立つアプリもあったので、活用しない手はないと考えて見せていました。

スマホは「敵」ではなく「味方」です。上手に使用すれば、親も子どもも頼れる存在になります。過剰な使い方や誤った使い方をしなければ、「活用はむしろすべき」と子育て中の私も考えていますよ!

※写真と本文は関係ありません

取材協力: 竹中美恵子(タケナカ・ミエコ)

小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。「女医によるファミリークリニック」院長。

アナウンサーになりたいと将来の夢を描いていた矢先に、小児科医であった最愛の祖父を亡くし、医師を志す。2009年、金沢医科大学医学部医学科を卒業。広島市立広島市民病院小児科などで勤務した後、自らの子育て経験を生かし、「女医によるファミリークリニック」(広島市南区)を開業。産後の女医のみの、タイムシェアワーキングで運営する先進的な取り組みで注目を集める。

日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得、メディア出演多数。2014年日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加する「En女医会」に所属。ボランティア活動を通じて、女性として医師としての社会貢献を行っている。