1月19、20日の両日、シード選手と予選通過者合わせて16人による第12回朝日杯将棋オープン戦本戦の4強2名を決める対局が名古屋市「ポートメッセなごや」で行われ、行方(なめかた)尚史八段と藤井聡太七段が勝ち進みました。

20日、稲葉八段、糸谷八段(左)を下し、2年連続の四強入りを果たした藤井七段

19日の勝ち上がり者、行方八段は2007年度に行われた本棋戦第1回の優勝者で、タイトル挑戦2回、A級通算6期の実力者です。今回は1回戦で菅井竜也七段、2回戦で久保利明王将と、現在の将棋界で振り飛車党ツートップとも言える両者をいずれも重厚な攻めで押し切り、ベスト4進出を決めました。

20日の勝ち上がり者、藤井七段は前回第11回の優勝者。この優勝は全棋士参加棋戦で史上最年少の優勝で、またこれにより史上最年少六段に昇段しています。今回は1回戦で稲葉陽八段、2回戦で糸谷哲郎八段のA級棋士2人を完璧とも言える内容で下し、ベスト4に進出しました。

これにより、準決勝は行方八段と藤井七段の一戦と決まりました。両者は公式戦では初手合となりますが、2017年、AbemaTVの対局企画「若手VSトップ棋士 魂の七番勝負」で対戦があり、藤井七段が勝利を収めています。

24日、28日に左のヤマの対局が行われ、ベスト4が出そろいます。こちらも19、20日に優るとも劣らぬ豪華メンバーです。

  • 第12回朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメント表

24日対局分は広瀬章人竜王、渡辺明棋王の現タイトルホルダー2人とタイトル経験者2人によるし烈な争い。現タイトルホルダーの広瀬章人竜王は2月初旬から始まる第44期棋王戦五番勝負で渡辺棋王に挑戦することが決まっていて、一方の渡辺棋王も13日に開幕した第68期王将戦七番勝負で久保王将に挑戦中と、両者とも複数冠を目指す戦いのさなかにいます。充実ぶりがうががえますが、スケジュールを考えれば体力的には大変でしょう。佐藤康光九段、深浦康市九段も超のつく実力者。抜け出すのは誰になるでしょうか。

28日対局分は羽生善治九段に若手が挑む構図となっています。2017年度に羽生九段からタイトル「王座」を奪った中村太地七段、タイトル挑戦経験を持ち、コンピュータ将棋を積極的に研究に取り入れる「AI」の申し子・千田翔太六段、今期は第4期叡王戦でも本戦入り、1回戦で佐藤天彦名人を破るなどブレイク中の渡辺大夢五段の戦いに注目です。羽生九段は基本的には居飛車党ですが、前回第11回の1、2回戦では裏芸とも言える振り飛車の一種「四間飛車」を披露、イキの良い若手を連破して四強入りしていますので、戦法選択にも見どころがあります。

24、28日の戦いを制するのは誰か。そして2月16日の準決勝、決勝を制し頂点に立つのは? 対局の模様は、朝日新聞デジタル、将棋連盟ライブ中継でご覧いただけます。28日の対局はAbemaTVでも放映があります。