アンクと同じく、800年の封印から甦ったグリードたち……ウヴァ(演:山田悠介)メズール(演:矢作穂香/当時:未来穂香)、カザリ(演:橋本汰斗)、ガメル(演:松本博之)は、人間の持つ「欲望」を感知し、自身のセルメダルと融合させて怪物ヤミーを作り出す。ヤミーは宿主である人間の欲望(金銭欲、食欲、物欲など)を強引に叶え、セルメダルを増やす役割を担っている。コアを持たずセルメダルのみで構成されているヤミーは、オーズに倒されると大量のセルメダルを放出して消滅してしまう。気性の荒いウヴァ、狡猾な策略家のカザリ、クールなメズール、子どものような心を持つガメルと、グリードたちもそれぞれ一筋縄ではいかない濃密な個性を有しており、メダルをめぐって互いに牽制しあうなど、緊張感を保った関係性が描かれた。

このようなグリードと戦うオーズ/映司の支援を行うのが、巨大企業「鴻上ファウンデーション」の鴻上会長(演:宇梶剛士)である。「欲望の力」を重んじる鴻上は、アンクや他のグリードと同じようにオーメダルの確保に努めている。独自にメダルシステムを開発し、自動販売機の形状からオートバイに変形する「ライドベンダー」や、ライドベンダーの中から取り出す小型メカ「カンドロイド」などを映司とアンクに提供し、その見返りとしてアンクが得たメダルの60%を徴収するという契約を結ぶなど、短気なアンクを手玉にとってしまうしたたかな人物でもある。

鴻上の秘書を務める里中エリカ(演:有末麻祐子)は、秘書業務はもちろんのこと、必要とあれば戦闘においても有能さを見せる美女であるが、ビジネスタイムとプライベートとのオン・オフの切り替えがはっきりしていて、どんな状況でも定時には業務を終了するドライな一面を持ち合わせている。

鴻上の命を受け、オーズの監視と支援を行っていたライドベンダー隊の後藤慎太郎(演:君嶋麻耶)は、「世界を救う」という高い理想を抱いた若者。生真面目な性格で、当初は映司やアンクとは距離を置いていたが、映司のペースに乗せられる形でいつしか「クスクシエ」に集う仲間のような関係へと変化していった。

中盤からは、セルメダルを変身ベルト「バースドライバー」に投入して変身する仮面ライダーバース/伊達明(演:岩永洋昭)が登場する。世界各地を回って人々を治療してきた医者だった伊達は、ヤミーから大量のセルメダルを"稼ぐ"ため、戦闘時に大きなメダルタンクを持って現れるのが特徴。陽気で軽い性格ながら鋭い観察眼、分析力を持つ大人の人物であり、その優れた戦闘能力でいかなるピンチもくぐりぬけていく。彼がセルメダルを稼ぐのには最終的に1億円もの現金を入手するためであり、その壮絶なる理由が明らかにされた後、後藤をバースの後継者として育てあげて日本を去った。やがて、オーズやバース(後藤)の援護をするべく帰国した伊達は「仮面ライダーバース・プロトタイプ」に変身して戦った。

ストーリーは人間の持つ「欲望」を毎回の題材に、オーズ&アンク、グリード、鴻上ファウンデーションによる「メダルの争奪戦」を描き、その中でアンクが入手したコアメダルの組み合わせによってオーズの「コンボ形態」が増え、強敵に打ち勝っていく姿が見られた。やがて、鴻上の下でメダルシステムの開発に携わっていた真木清人(演:神尾佑)がグリード側につき、彼の理想とする「世界の終末」を実現しようと策略を巡らせる。完全復活を果たしながらも次々にこの世から消えていくグリードたち、そして映司とアンクの対立など、さまざまにドラマチックな展開を盛り込みながら、オーズの戦いはクライマックスを迎える。あらゆる者の命を救うため、自らの手を伸ばしてきた映司の信念が貫かれた最終回は、観る者に切なさと心地よい感動を与えてくれた。

なお、テレビシリーズ第28話が第1作『仮面ライダー』(1971年)の第1話「怪奇蜘蛛男」から数えて1000回目となるため、第27話と第28話の前後編は豪華ゲストと「ショッカー戦闘員」を迎えた記念エピソードとして作られた。2011年4月1日には、『仮面ライダー』生誕40周年を記念した映画『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』が公開され、仮面ライダー1号からオーズまでのオールライダーをはじめ、『人造人間キカイダー』(1972年)『キカイダー01』(1973年)『イナズマン』(1973年)『快傑ズバット』(1977年)までも登場するという、記念作品にふさわしいスペシャルな映画として好評を博した。

また毎年恒例となった「夏の劇場版」では『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』(2011年8月6日公開)と題され、東映テレビ時代劇の傑作シリーズ『暴れん坊将軍』との奇跡の共演が実現。松平健の演じる暴れん坊将軍こと徳川吉宗と仮面ライダーオーズが「馬」と「バイク」で並走し、共に悪を追いかけるという夢のようなビジュアルで各方面に大反響を呼んでいた。

人間の「欲望」をテーマに、徹底してヒューマニズムの精神を貫いて感動的なドラマを作り上げた『仮面ライダーオーズ』は、その愛すべきキャラクターたちと共に永遠の存在として、ファンの心に残り続けるだろう。次回は「学園」の中で渦巻く邪悪な存在に挑み、無限の可能性を秘めた「宇宙」を目指す若き仮面ライダーと仲間たちの友情と青春をテーマに置いた意欲的なシリーズ『仮面ライダーフォーゼ』(2011年)をとりあげ、その魅力について語ってみよう。

映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』は現在公開中。なお、マイナビニュースでは平成仮面ライダー20作を記念した『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』大特集を展開している。

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