『日本の人事部』(アイ・キュー)は11月13~16日、「HRカンファレンス2018- 秋-」を開催した。人の採用・育成・マネジメントに携わる方を対象とした、働く人と組織の明日を考えるイベントだ。

本稿では、特別講演「入社3年目の心得 ―1万人の若手・中堅を本気にさせた『7つの行動原則』研修―」を紹介したい。講師はクリエイトJ 代表取締役 堀田孝治氏。

  • クリエイトJ 代表取締役 堀田孝治氏

3年目社員が指示待ちとなる理由

一般的に新卒入社3年目の社員は、「ひとり立ち」する時期とみなされる。しかし、「指示待ち」社員のままだったり、上司がそばにいないと行動できなかったりする社員も存在する。

ひとり立ちできる社員、できない社員の違いは何なのか? 堀田氏は「仕事という種目を理解していないこと」「仕事用のOS(7つの行動原則)を体得していないこと」の2点だと言う。

堀田氏:多くの若手社員は言われたことは、きちんと対処します。しかし、言われないと、自らテーマを考えようとしないし、行動もしない。なぜか? 実は、仕事という「種目」を理解していないからです。

仕事を種目の違いで説明する

堀田氏:勉強と仕事は何が違うのか? 新人が先輩に尋ねると、「仕事とは厳しいものだ」「責任がある」などと返ってきますが、違いの説明にはなっていません。多くのビジネスパーソンは、具体的に説明できないのです。

スポーツでいえば、「『道具を使う野球、足と頭だけ使うサッカー』『プレー中に報連相ができる野球、報連相がほぼできないサッカー』」が違いの説明となるそうだ。

違いを理解しないままだと、野球しか知らない人にサッカーをさせた場合、ボールを手で扱ったり、勝手にタイムを取ってコーチに相談したりするかもしれない。

つまり、本人がそれまで経験してきた種目の常識を持ち込み、疑問に思わないのだという。

堀田氏:新卒で入社した社員は、「仕事」という種目を理解していません。ですから慣れ親しんだ「勉強」の常識で行動し、勝手が異なることで戸惑いを感じ、上司から間違いを指摘されます。多くの若手社員は「種目が変わったこと」に気づけません。そして最後には、指摘を理不尽だと感じるのです。ですから、私の研修では、まず「勉強と仕事の違い」を理解しているか、確認することから始めます。

  • 仕事と勉強の種目の違いを説明する

学校の先生に疑問を伝えると正しい解答を教えてもらえる。しかし、仕事の場面で上司に相談すると「君はどうしたい?」と返されるだろう。

なぜなら、仕事に唯一の正解はないので、まずは部下の「答え」を確認したいと上司は思うからだ。しかし種目の違いを理解していない若手社員は、この上司の対応を理不尽に感じるという。

仕事の生産性を高めるには

堀田氏:20代の私は「上司は正解を知っていて、困ったら自分をマネジメントで助ける人」だと思っていました。これは学校の先生と同じです。だから相談しても、先生のように、正解や解き方を丁寧に教えてくれない上司の対応に不満を持ち、ストレスを溜めていったのです。仕事という種目をわかっていないと、こうした間違いが起こります。

そして堀田氏は、新卒で入社した会社で経験した仕事の壁や失敗を振り返り、自己変革に取り組む中で、研修プログラム「7つの行動原則」のアイデアを得たそうだ。

堀田氏:仕事ができる=知的生産性を高めるには、まずは自分がやっている「仕事という種目」を具体的なレベルで理解すること。そのうえで、その種目に合った、仕事用のOS(7つの行動原則)を体得し、現場で実践すればよいのです。

  • 7つの行動原則 出典:クリエイトJ(画像の著作権は同社に帰属)


今の若手社員は「自身の成長」を非常に重視しているようだ。しかし、努力の内容が適切でないと、効果的な成長にはつながらない。

まずは、自分が行っている仕事の種目を理解することから始めるのが必要だろう。伸び悩む若手社員が周囲にいるなら、是非伝えてほしい。