JR四国は26日、特急形気動車の新型車両2700系が完成すると発表した。既存の2000系の老朽取替を目的に新製され、昨年デビューした2600系のデザインコンセプトを踏襲しつつ、特急列車が結ぶ地域性の表現をカラーリングに盛り込んだという。
2000系は世界初という振子方式を採用した特急形気動車で、予讃線・土讃線・高徳線などで特急列車として活躍してきた。その老朽取替を目的に、車体傾斜に空気バネ方式を採用した2600系が計4両(2両編成×2編成)新製されたが、走行試験を行った結果、曲線区間の多い土讃線において空気バネの制御に多くの空気を消費するため、空気容量の確保に課題があると判明。その後の特急形気動車の新製に関して、2600系をベースとしつつ、車体傾斜に実績のある振子方式を採用すると発表していた。
特急形気動車の新型車両2700系は今回、計4両を新製したとのこと。1編成あたりMc車・Mc’車の2両編成で、Mc車は定員46名、Mc’車は定員52名とされている。特急「うずしお」で運行される2600系と同様、日本の伝統意匠をアレンジした「Neo Japonism(ネオジャポニズム)」をデザインコンセプトに、安らぎと先進性をあわせ持つ車両としている。
エクステリアは四国の豊かな自然に映えるディープレッドを基調に、「筆の流れに見立てた真紅の流線、『赤』から『金』への色彩のにじみ、『赤』と『緑』の残像配色で、“速さ”というエネルギーの軌跡」を表現。特急列車が結ぶ香川・徳島・高知の地域性をカラーリングに盛り込み、ほとばしるディープレッドで徳島「阿波おどり」、高知「よさこい」の情熱を表現。「オリーブ」をモチーフに香川をイメージした緑のラインと対比させている。
インテリアはデッキの扉面やシートモケットに伝統文様をアレンジしたデザインを施し、徳島が育んだジャパンブルー、高知から望む太平洋のオーシャンブルーで彩った。腰掛は背もたれと連動して座面が前方にスライドするリクライニング機構を採用し、各座席にコンセント、ドリンクホルダー、コートフックなどを設置したほか、モバイルパソコン等の利用を考慮してテーブルを大型化した。客室照明は2600系と同タイプのLED照明とし、消費電力の削減とメンテナンスの軽減を図った。
Mc車の客室内に車いすスペースを設け、バリアフリー整備ガイドラインを考慮して車いす対応多機能トイレも設置。Mc車・Mc’車ともに連結部側の扉付近に荷物置場を用意する。乗客が安心して利用できるように、非常通報装置(SOSボタン)や防犯カメラも車内に搭載される。最高運転速度は2600系の120km/hに対し、2700系では130km/hとされた。